11年7月23日 土曜日 07/23・各社社説
朝日新聞(社説)
その1
民主党謝罪―代表選へ論戦を始めよ(全文はここからお入り下さい)
20110723
とっくの昔に、謝るべきだった。どうしてここまで時間がかかるのか。
菅直人首相や政権幹部らが、民主党のマニフェスト(政権公約)について謝罪した。
首相は「財源などの見通しがやや甘かった」と反省し、「不十分な点があったことを、国民のみなさんにおわび申し上げたい」と語った。
政権交代から、はや2年になる。2度も予算を編成すれば、無駄の根絶などで16兆8千億円をひねり出すという公約が、いかに現実離れしていたかに、気づかないはずがない。
その2
ギリシャ支援―ユーロ圏全体で守れ
欧州連合(EU)を揺るがす財政危機の最大の地震源であるギリシャが再び窮地に陥り、ユーロ圏17カ国の首脳が協議し、1590億ユーロ(約18兆円)規模の2次支援策をまとめた。
昨年5月の1次支援が行き詰まり、善後策が必要になった。ギリシャは財政引き締めで経済が収縮。歳入減や利払いで、政府の資金繰りの展望が再び閉ざされたのだ。
2次支援のポイントは、民間銀行にも協力を求めた点だ。最大の支援負担国のドイツが「民間銀行にも応分の負担を求めないと国民が納得しない」と譲らず、盛り込まれた。
読売新聞(社説)
原発輸出見直し 国際信用損なう首相の不見識(全文はここからお入り下さい)
世界第3位の原子力発電大国・日本の菅首相が「脱原発依存」を発信し続けていることで内外に波紋が広がっている。
このまま国家戦略の根幹をなすエネルギー政策の方向性が定まらないようでは、国際的な信頼も失いかねない。憂慮せざるを得ない事態だ。
菅首相は参院予算委員会で、個人的な考えのはずの「脱原発」を正当化し、政府の方針を転換するかのような答弁を繰り返した。
ギリシャ支援 独仏主導で危機拡大を防げ(全文はここからお入り下さい)
財政危機が再燃したギリシャに対する欧州連合(EU)などの第2次支援策がまとまった。
これでひとまず信用不安は一服しそうだが、前途は多難である。独仏など主要国が主導し、欧州の財政不安を早急に払拭させるべきだ。
通貨ユーロを導入しているユーロ圏17か国の首脳会議は21日、難航していたギリシャ支援策でようやく合意した。
EUと国際通貨基金(IMF)が、1090億ユーロ(約12兆円)の金融支援に踏み切る。
毎日新聞(社説)
関西の節電要請 電力供給の実態示せ(全文はここからお入り下さい)
関西で電力不足による節電要請が混乱を招いている。政府は東京電力や東北電力管内のような強制力は伴わない形で、西日本の企業や家庭に節電を求めた。関西電力管内では10%の具体的数値を掲げたが、既に関電が15%、自治体で構成する関西広域連合が5~10%の節電を呼び掛けており、三つの目標値が混在する事態となっている。政府や関電は根拠となる明確なデータを示し、もっと分かりやすく説明すべきだ。
ギリシャ追加支援 これから試練の本番だ(全文はここからお入り下さい)
がけっぷちまで追い詰められて、欧州が再びギリシャの救済策をまとめた。これまでの支援は、市場で資金を借りられなくなったギリシャ政府に欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)がつなぎの融資を行うというものだったが、今回初めてギリシャの借金そのものを軽くする方策に踏み込んだ。
資金繰り支援の追加だけでは持たないという現実に対処しようとした点は前進だ。発表直後の市場の反応も悪くなかった。円の急騰など欧州以外に動揺が広がり、制御不能の混乱へと発展する恐れもあっただけに、ひとまず安心感が広がった形だ。
産経新聞(社説)
原発輸出「見直し」 日本経済をぶち壊すのか(全文はここからお入り下さい)
自らが表明した「脱原発」を正当化するために国家の基本であるエネルギー政策をもてあそんでいるとしかいいようがない。菅直人首相が、成長戦略の柱の一つと位置づけている海外への原発輸出について、見直しを示唆した。
成長戦略はデフレ脱却をめざす日本の経済政策の基軸である。景気への配慮を欠く首相発言の迷走で、電力危機が全国に広がっている。このうえ、成長戦略も台なしにしてしまうつもりか。首相は発言をただちに撤回すべきである。
外国人違法献金 首相は領収書を提出せよ(全文はここからお入り下さい)
菅直人首相の資金管理団体が在日韓国人から違法献金を受けていた問題で、首相は返金時の領収書の国会提出を拒んでいる。前例がないということだが、理由にならない。実際に返却したことを国民に証明するためにも、速やかに領収書を提出すべきだ。
日経新聞(社説)
ユーロ危機の克服へ道半ばの首脳合意(全文はここからお入り下さい)
欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国の首脳会議で、財政危機に陥ったギリシャを救う追加支援策が決まった。各国の政府だけでなくギリシャ国債を保有する民間金融機関にも負担を求める内容だが、これでギリシャの債務問題とユーロの危機を完全に封じ込めたとはいえない。
原発避難者法の早期成立を(全文はここからお入り下さい)
福島第1原子力発電所の事故収束が長引き、避難した住民は不安な生活を強いられている。こうした人々に行政サービスが行き届くよう、受け入れた自治体が行政事務の一部を代行する制度が必要だ。そのための法案が22日、閣議決定された。
総務省によると、原発事故に伴い警戒区域や計画的避難区域などから避難した住民は最大で10万人規模にのぼる。福島県双葉町の役場が埼玉県加須市に移転したように、役所が移った例も多い。行政サービスは住民登録をした自治体から受けるのが原則だが、役所の移転先と同じ地域に避難した人は全体の一部だ。
東京新聞(社説)
警視庁警部逮捕 正義と誇りを取り戻せ(全文はここからお入り下さい)
警視庁捜査一課といえば日本の刑事警察の代表格だ。その現職警部が捜査情報の横流しの疑いで逮捕された。警察全体の汚点である。正義と信頼の回復には自ら真相を白日の下に曝(さら)すほかない。
この捜査情報漏洩(ろうえい)事件は、品川美容外科(東京)をめぐる医療過誤の捜査が発端だった。地方公務員法違反の疑いで逮捕された三人は容疑を否認しているが、その癒着の構図には驚かされる。
アフガニスタン 自力の治安を支えたい(全文はここからお入り下さい)
アフガニスタンに駐留する米軍の段階的な撤退が始まった。テロ活動を鎮圧しながら、同国軍と警察に徐々に治安権限を移譲する戦略だが、貧しく政権の腐敗も広がる国の安定は容易ではない。
駐留米軍は約十万人。オバマ政権は来年夏までに三万三千人を撤退させる計画だ。
北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(ISAF)も、アフガンの一部州で同国政府に治安権限を移譲している。十年に及ぶ長い戦いはようやく出口に向かい始めた。
朝日新聞(社説)
その1
民主党謝罪―代表選へ論戦を始めよ(全文はここからお入り下さい)
20110723
とっくの昔に、謝るべきだった。どうしてここまで時間がかかるのか。
菅直人首相や政権幹部らが、民主党のマニフェスト(政権公約)について謝罪した。
首相は「財源などの見通しがやや甘かった」と反省し、「不十分な点があったことを、国民のみなさんにおわび申し上げたい」と語った。
政権交代から、はや2年になる。2度も予算を編成すれば、無駄の根絶などで16兆8千億円をひねり出すという公約が、いかに現実離れしていたかに、気づかないはずがない。
その2
ギリシャ支援―ユーロ圏全体で守れ
欧州連合(EU)を揺るがす財政危機の最大の地震源であるギリシャが再び窮地に陥り、ユーロ圏17カ国の首脳が協議し、1590億ユーロ(約18兆円)規模の2次支援策をまとめた。
昨年5月の1次支援が行き詰まり、善後策が必要になった。ギリシャは財政引き締めで経済が収縮。歳入減や利払いで、政府の資金繰りの展望が再び閉ざされたのだ。
2次支援のポイントは、民間銀行にも協力を求めた点だ。最大の支援負担国のドイツが「民間銀行にも応分の負担を求めないと国民が納得しない」と譲らず、盛り込まれた。
読売新聞(社説)
原発輸出見直し 国際信用損なう首相の不見識(全文はここからお入り下さい)
世界第3位の原子力発電大国・日本の菅首相が「脱原発依存」を発信し続けていることで内外に波紋が広がっている。
このまま国家戦略の根幹をなすエネルギー政策の方向性が定まらないようでは、国際的な信頼も失いかねない。憂慮せざるを得ない事態だ。
菅首相は参院予算委員会で、個人的な考えのはずの「脱原発」を正当化し、政府の方針を転換するかのような答弁を繰り返した。
ギリシャ支援 独仏主導で危機拡大を防げ(全文はここからお入り下さい)
財政危機が再燃したギリシャに対する欧州連合(EU)などの第2次支援策がまとまった。
これでひとまず信用不安は一服しそうだが、前途は多難である。独仏など主要国が主導し、欧州の財政不安を早急に払拭させるべきだ。
通貨ユーロを導入しているユーロ圏17か国の首脳会議は21日、難航していたギリシャ支援策でようやく合意した。
EUと国際通貨基金(IMF)が、1090億ユーロ(約12兆円)の金融支援に踏み切る。
毎日新聞(社説)
関西の節電要請 電力供給の実態示せ(全文はここからお入り下さい)
関西で電力不足による節電要請が混乱を招いている。政府は東京電力や東北電力管内のような強制力は伴わない形で、西日本の企業や家庭に節電を求めた。関西電力管内では10%の具体的数値を掲げたが、既に関電が15%、自治体で構成する関西広域連合が5~10%の節電を呼び掛けており、三つの目標値が混在する事態となっている。政府や関電は根拠となる明確なデータを示し、もっと分かりやすく説明すべきだ。
ギリシャ追加支援 これから試練の本番だ(全文はここからお入り下さい)
がけっぷちまで追い詰められて、欧州が再びギリシャの救済策をまとめた。これまでの支援は、市場で資金を借りられなくなったギリシャ政府に欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)がつなぎの融資を行うというものだったが、今回初めてギリシャの借金そのものを軽くする方策に踏み込んだ。
資金繰り支援の追加だけでは持たないという現実に対処しようとした点は前進だ。発表直後の市場の反応も悪くなかった。円の急騰など欧州以外に動揺が広がり、制御不能の混乱へと発展する恐れもあっただけに、ひとまず安心感が広がった形だ。
産経新聞(社説)
原発輸出「見直し」 日本経済をぶち壊すのか(全文はここからお入り下さい)
自らが表明した「脱原発」を正当化するために国家の基本であるエネルギー政策をもてあそんでいるとしかいいようがない。菅直人首相が、成長戦略の柱の一つと位置づけている海外への原発輸出について、見直しを示唆した。
成長戦略はデフレ脱却をめざす日本の経済政策の基軸である。景気への配慮を欠く首相発言の迷走で、電力危機が全国に広がっている。このうえ、成長戦略も台なしにしてしまうつもりか。首相は発言をただちに撤回すべきである。
外国人違法献金 首相は領収書を提出せよ(全文はここからお入り下さい)
菅直人首相の資金管理団体が在日韓国人から違法献金を受けていた問題で、首相は返金時の領収書の国会提出を拒んでいる。前例がないということだが、理由にならない。実際に返却したことを国民に証明するためにも、速やかに領収書を提出すべきだ。
日経新聞(社説)
ユーロ危機の克服へ道半ばの首脳合意(全文はここからお入り下さい)
欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国の首脳会議で、財政危機に陥ったギリシャを救う追加支援策が決まった。各国の政府だけでなくギリシャ国債を保有する民間金融機関にも負担を求める内容だが、これでギリシャの債務問題とユーロの危機を完全に封じ込めたとはいえない。
原発避難者法の早期成立を(全文はここからお入り下さい)
福島第1原子力発電所の事故収束が長引き、避難した住民は不安な生活を強いられている。こうした人々に行政サービスが行き届くよう、受け入れた自治体が行政事務の一部を代行する制度が必要だ。そのための法案が22日、閣議決定された。
総務省によると、原発事故に伴い警戒区域や計画的避難区域などから避難した住民は最大で10万人規模にのぼる。福島県双葉町の役場が埼玉県加須市に移転したように、役所が移った例も多い。行政サービスは住民登録をした自治体から受けるのが原則だが、役所の移転先と同じ地域に避難した人は全体の一部だ。
東京新聞(社説)
警視庁警部逮捕 正義と誇りを取り戻せ(全文はここからお入り下さい)
警視庁捜査一課といえば日本の刑事警察の代表格だ。その現職警部が捜査情報の横流しの疑いで逮捕された。警察全体の汚点である。正義と信頼の回復には自ら真相を白日の下に曝(さら)すほかない。
この捜査情報漏洩(ろうえい)事件は、品川美容外科(東京)をめぐる医療過誤の捜査が発端だった。地方公務員法違反の疑いで逮捕された三人は容疑を否認しているが、その癒着の構図には驚かされる。
アフガニスタン 自力の治安を支えたい(全文はここからお入り下さい)
アフガニスタンに駐留する米軍の段階的な撤退が始まった。テロ活動を鎮圧しながら、同国軍と警察に徐々に治安権限を移譲する戦略だが、貧しく政権の腐敗も広がる国の安定は容易ではない。
駐留米軍は約十万人。オバマ政権は来年夏までに三万三千人を撤退させる計画だ。
北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(ISAF)も、アフガンの一部州で同国政府に治安権限を移譲している。十年に及ぶ長い戦いはようやく出口に向かい始めた。