芹沢俊介さんの『《宮崎勤》を探して』(雲母書房1800円)を読んでいる。まだ3分の1だ。
だいぶ前に、ハコダテから持ってきていたが、ずっと取り組む気になれず部屋のすみに置いていた。
”宮崎勤”は、1988年に埼玉県などで連続4件の幼女誘拐殺人を犯し、起訴され最高裁で死刑が確定している死刑囚だ。
その宮崎勤が、どのような環境で育てられ、どのようにして幼女を手にかけるに至ったのかを詳細にわたり検証したのが、この本だ。
宮崎勤の父と母は長い年月反目し合い、事件後でさえ父は母を「足手まといな女」と警察の調書の中で語っていたそうだ。
そして、宮崎勤も成人してから勤めた会社で”どうしようもない足手まとい”として扱われていた。筆者は、「宮崎勤は会社の中で無意識的に、お母さんと同じ役割を演じてきたのではないか。」と指摘する。
宮崎勤は、両親の反目の中で、使用人の男性の手で育てられ、人間関係はおろか自分自身をも確立できないで育ったという。
読みながら、暴力と威圧と言い合いとうその中で育ってきた、身近なさまざまな人を思い浮かべ、苦しくなった。
その中には、里子として我が家に来たミナナとミカカもいるし、出会って亡くなっていったろうあ者もいるし、連れ合いもいるし、私のインナーチャイルドもいるように思った。
「あなたは大切な人」という思いとは対岸にある「足手まとい」という思い。
「足手まとい」と思われ生きることのつらさ・重さに思いをはせる。
地域でも職場でも社会でも、そのように言われる人たちとこそ、やっぱりともにいたいと思う。
そして、「あなたは”足手まとい”なんかじゃないです。あなたは大切な人なんですよ。」と話したい。
“宮崎勤”を探して | |
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芹沢 俊介 | |
雲母書房 |