北海道新聞-どうしんウェブ を見ていて驚いた。
児相保護指導員を増員 わいせつ事件受け道、来月から3人体制に
(09/08 10:33)
という記事が出ていた。室蘭児童相談所の一時保護所で、わいせつ事件が発覚し、北海道では一時保護所の宿直の人数の見直しを決めたというのだ。
まさに、「今更。。。」の感。
2005年、札幌で日本子ども虐待防止学会第11回学術集会北海道大会が開かれた。分科会の中で、西澤哲さんに初めて出会え、森田ゆりさんもいて、すばらしい大会だったのだが、、、、、
全体会の後に、”児童相談所について”だったか、”一時保護所について”だったか、そのような話題の座談会のようなものが設けられていたので参加した。いかに児童相談所職員はたいへんかみたいなパネリストの話を聞いた後、どうしても聞いてみたいと思っていたことをフロア参加者の立場で質問した。
「里親をやって、約5ヶ月、里子を預かりました。しかし、その間に接したジソウ職員は、私には、まるで「駐車場の係員」のように映りました。あちらの子どもをこちらの駐車場へ。こちらの子どもをむこうの駐車場へ。はたして子どもの気持ちは考えられているのだろうかと思いました。真面目にお仕事をされている方には申し訳ありませんが、私には、そう映りました。だから今はジソウに期待は持っていません。
ところで、私は、障がいをもつ子どもの寄宿舎の指導員をしていますが、私たちの業界で、女の子が泊まる日に、男性職員だけで宿直してくれなんて話が起きたら、ぜったい宿直できない。なにかあったと疑われるようなことになるから。しかし、北海道のジソウの一時保護所では、女児もいる中、男性職員だけでの宿直が行われている。それはどう考えてもおかしなことではないでしょうか。障がいのない子だから、身体に接したりしないからよいのでしょうか。保護される女児の中には、家庭で男性に乱暴されたり怒鳴られたりして、男性恐怖をもつ女児もいるのではないでしょうか。また、性虐待を受けた子も入ってくるのではないでしょうか。それらへの対策がとられないまま、男性職員だけの宿直が続いているのはなぜなのでしょう。」
私の質問の間、会場はシーンと静まりかえっていた。発言が終わると、4、5人の女性がパチパチと力強く拍手してくれた。あとでわかったことだが、その人たちは、乳児院で働く方たちで、乳児の一時保護という観点からも、男性職員のみの宿直に反対しておられたのだった。
私の質問に答えて、札幌の児童相談所の方だけが、真摯な答えを返してくれた。政令指定都市の札幌市の児童相談所では、その数年前から夜間の宿直者を増員し、女性の宿直者を入れたということだった。
”座談会”を取材していた毎日新聞の記者さんが、「一時保護所でのわいせつ事件の事例はあるのでしょうか?」と尋ねてきたが、私には具体的な事例まではなかったので、そのままになってしまった。
北海道大会を終え、家に帰った私に、函館児童相談所の当時の課長さんから電話がかかってきた。
あくまでも個人としての電話だと断りながら、「suzukiさん、誤解で発言されては困りますよ。一時保護所の宿直者が男性なのは、過去に虞犯少年などから暴行されそうになる事例などがあったから、男性なんです。また、虞犯少年を取り返しに、暴走族が一時保護所に乗り込んできたりすることだってあるんです。そんな時に、女性職員がいてレイプされたりしたとき、suzukiさんは責任が取れるんですか。そういったことも考えて、男性職員なんです。」といった内容をこんこんと説いてくれた。
私は、「職員の安全を守る問題は、大人が大人の対応で考えられるでしょう。私が言ったのは、子どものことは考えられていないんだなあということです。」と言ったが、話は平行線のままで終わり、それ以来里子もジソウも私の前から姿を消した。
数年前、里親制度が変わり、里親の認定講習が必要になったとのことで、ある児童相談所へ里親講習を受けに出かけた。本当に子どものことを考えている人だなあという里親担当の方が、「実習は、養護施設か、一時保護所でできます。」というので、一も二もなく、「あ!一時保護所が見れるんですかあ。ぜひ見せてください。」とお願いし、一時保護所で実習させてもらった。
女の子が圧倒的に多い中、数少ない男の子が私と遊んでくれた。一生懸命私と遊んでくれていたのに、一時保護所の職員が、「ちょっとお!ふざけすぎなんじゃないのお!」と怒鳴って、子どもたちをシラ~ッとさせていた。
夕方になり、職員の退勤時間が近づくと、40代くらいの男性と大学生くらいの男性が現れた。
どのような人間かは私は知りもしないが、子どもたちがその大人をどう感じているかは、悲しいほど伝わってきた。
私は、現実を知り、(あぁ、あれから5年以上たったけれど、男性だけによる宿直は変わっていないんだなあ。)と悲しくなった。
年齢差があるということは、若い方はもう一方の言われるままになりやすい。
『わいせつ”事件”、ばんざい!!』
事件によって、問題が暴かれ、改善された。いけにえのヒツジの血を代償として。
でも、それって、恥ですよ。北海道ジソウさん。
数多くの指摘が今までもありながら、改善を怠ってきた。
わいせつ事件は氷山の一角だろう。
事実を知っている人は、語る勇気をもってほしい。
【kenからのお願い】
この記事は、2011年時点での北海道の一部の児童相談所の一時保護所の体制についての批判記事ですが、一時保護所自体を批判否定しているわけではありません。むしろ私としては、問題のある家庭からは子どもは積極的に”保護”されるべきで、もっともっと児童相談所に活躍してほしいと願っている立場です。
そういった意味で、他の「児童相談所に子どもを奪われた」等と主張する一時保護所、児童相談所批判の記事とは立場を異にしますし、この記事をもって児童相談所が非難されるとすれば、私の願いとはまったく正反対のものになります。
検索等で、こちらの記事を読まれる方々にあっては、くれぐれも記事の主旨をご理解くださるようお願いいたします。2015年10月11日記す
タイトル名を変更しました
以前は、大変過激な言葉で児童相談所を非難していたのですが、「児童相談所もよくがんばっている」と思えるようになったので、タイトルを少し柔らかくしました。内容は変えていないんですけどね。
2016年12月7日