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先日、札幌の女子高校生が、顔に障がいのある女性の写真を無断で撮影し、「わらいとまんないしぬ」という言葉と共にネットに晒したという事件、心がそら寒く感じる思いがした。
離れて暮らしている娘とその事件について話していたら、娘が「小学校のころ、近所の友だちの家にとーちゃんと行ったら、友だちの妹のところに来ていた子が、とーちゃんを指さして「ヘンな顔、気持ち悪い~!」と言って笑ったことがあって、すごいショックだった。。。」と告白してくれた。
水頭症の頭でっかちに(水頭症と知ったのはつい昨年ですが。。)斜視。小さいころから、指さして笑われることはよくあったから、私はその娘が語った思い出の場面はほんの蚊が耳をかすめたくらいのことだったのだけれど、娘としてはショックだったらしい。
特によく指をさされたのが電車の中。さすがにずっと一緒にいる同じ小学校の生徒とかは、だんだん慣れてくるのか、あまり馬鹿にされたりはしなかったが、めったに見ない人にはやはりめずらしかったらしく、こちらをチラチラ見ながらひそひそ話をされたり、あからさまに指をさされたりしたものだった。そんなだったから、自分でも自分を「変な顔、気持ちの悪い顔」とだんだん思ってしまうようになった。
だから、人ごみが苦手、デパートが苦手。デパートは、よく柱が鏡張りになっているが、その鏡に予期せぬ時に自分が映ると、「うわっ!」と思い、動悸がした。
大人になるとさすがにそんなあからさまに指をさされるような機会は減るには減ったがゼロではない。何年か前にも、函館の松風町のバス停でバスを待っていたら、目の前に信号待ちで停まった観光バスの中から男子高校生数人が、「おい、見ろ!」というように回りの高校生に声をかけながら、私を指さして笑っていた。
その都度相手にしていては生きていけないくらいそんなことが、私の人生いっぱいあるのだ。若いころに求人を見て面接に行った動物病院の先生には、「きみのような斜視の人は人前に出なくていい仕事についた方がいい」と、シンセツに諭されたりもした。
そんなだったから、人目を気にするお年頃には、無邪気で遠慮なく残酷な子どもが、どうしようもなく嫌いだった。なにかあったら、目に物見せてやろうかくらい思っていた。
そんな私がひょんなことから、養護施設に遊びに行くボランティアのグループに誘われた。今にして思えば、残酷な子どもがわんさかいる場所になぜ行く気になったか不思議だが、なぜか子どもと遊んでみたいと思ってしまったのだった。
その養護施設は函館から2時間ほど離れた場所にあった。入って、園長先生とお話をしたあと、部屋にそれぞれ行き、遊ぶことになった。私が最初に会ったのは女の子たちだった。「こんにちは。」と言うと、女の子たちが集まってきた。そして、「あ、このお兄さん、目が変!」と、会って30秒もしない間に恐れていた言葉が私に向かって発射された。いつもなら、その言葉だけで後ろを向いて大急ぎで退却しているところだが、この時ばかりは自分から訪問している立場。列車の中でシュミレーションしてきた言葉を、あえてゆっくりと繰り出した。
「ん~、おにいさん、左目がね、ちょっと悪くて、小さいころに手術したんだけど、あんまり見えないんだ。」
すると、一人の子が私の視力のよい方の目をその小さな手でふさいだ。「なんだ、なんだ」と見ていると、ほかの子が部屋の隅まで、ダーっと走っていくなり、指を立ててこう言った。
「この指、何本だ~」
その途端、私は、それまでもっていた子どもへの恐れや恨みから、一瞬で解放された。
その子たちは、私の説明をすんなりと受け入れ、それを実験してみて、納得してくれたのだ。
私はそのあそびを通して、子どもの可能性とか素直さに感服し、そのとりこになり、保母の勉強をし、今こうして特別支援学校の寄宿舎で働いている。
そのきっかけをくれたのは、K町の養護施設の子どもたちだ。
あのころの子供たちも今は社会に出て活躍していることだろう。
私もこの容姿を晒しながら、これからも笑いたいやつには、「はいどうぞ」と、顔を晒して生きて行こうと思う。
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でもね、言っておくけれど、天に試されているのは、キミたちだからね。「あなたは、どんな人間なの?」と。
子供もいないため、普段子供と接する機会が全くないので子供はとても怖い存在です。
この記事を見つけ読ませていただきましたが、勇気をもらいました。ありがとうございます。
本当に子どもというのは、純粋さと同じくらいの残酷さを持っている存在だと思います。
これが、通りすがりさんと子どもたちが、話す機会があるとか、一緒に遊ぶ機会があるとかもう少し近い関係になるとまた違った面が発揮されるのですが、通りすがりの関係だとなかなか辛いですよね。こんな記事をあげている私も実生活ではいまだ子どもたちがたむろしているとちょっと近づくのを躊躇してしまいます。「勇気を出して!」と自分自身に言えない時も多くあります。
いずれにしても、通りすがりさんも私も、一番には自分を大切に守って、もし余裕があったら子どもたちに笑顔を返してやりましょう。
コメント、うれしかったです。ありがとうございました。