Amazing Grace 北の大地での田舎暮らし

大自然の中での田舎暮らし
北の大地で生かされていることに心から感謝し、日々感じたことを綴っています

湖の麓より

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足跡

2012年03月25日 | 日記


北海道道東の田舎もだいぶプラスに近い気温になってきました


今の時期の雪は白銀の世界の雪とは違い


綺麗ではありません


ところどころ融けて


下の土が顔を出し


ぐちゃぐちゃになっています


そんな雪を見ながら思い出したのは


星野富弘さんの書いた文でした




フジコヘミングさんのピアノを聴きながら読んでくだされば嬉しいです



ここからは抜粋です



畑の土手に黄色い夕日が沈んでいくところだった


作業着を着た農協の人が、庭の前に並べれれていた花輪を、せわしなくトラックに積み込んでいる


...結構数があるなぁ...ずいぶん人も来てくれたし


花輪が取りはらわれると前の畑が見えるようになった


三月だというのに、雪でおおわれている


その雪の中に、幾すじかの足跡が残っている


少しがに股の足跡は、一昨日の夕方、父が歩いた足跡である


畑の真ん中あたにには、行ったり来たりしたたくさんの足跡がある


母の足跡である




父が突然死んだのは、その晩のことだった


心筋梗塞と診断書に書いてあったという


もう少しで80歳になる三月九日の夜のことだった


テレビドラマなどで俳優が演じる臨終の場面を見ていたせいだろうか


死というものは、静かにやってくるものだと思い込んでいた


子どもたちを前に長々と何かを言い残して


最後に丁度よいところで、がっくりと息を引き取るというパターンを


いつの間にか信じてしまっていたようである


しかし父には雷が落ちるようにやってきたのである


別の部屋で寝ていた私には、胸が苦しいと言いはじめた父のそばへ運ばれていく時間さえ


与えられなかった


一昨日、畑の雪の中に佇んで父が何を考えていたのか


日が落ちると雪の中の足跡は、黒い穴のように見えた


寒いとはいえ、もう春である


あの足跡も、二、三日後には雪とともに


土の中に沈んでいくことだろう


しかし決して消えることのない大きな足跡が


新たに私の心の中に残されたような気がした



鈴の鳴る道 星野富弘 偕成社より






この写真は亡くなった父が撮った写真です


私はどんな足跡を残してきたのだろうか


これから残していくのだろうか


しばし雪を見ながら考えてしまいました


ご訪問ありがとうございます








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