1830年代に活躍したイギリスの農村詩人の名前を持つイングリィシュローズ。(中心あたりのピンクのバラ)
産業革命の最中、イギリスの農村は大地主によるエンクロージャー(囲い込み)により、貧困の極みに達し、反体制分子対策として農民層は文字を読むことは許されても、書くことは禁じられていました。そんな環境の中で、豊かな才能をもった多感なジョン・クレアーは多くの詩を残しましたが、多感さゆえか晩年は発狂し精神病院で最後を迎えました。
彼の詩は近年になり再評価の気運が高まり、当時流行ったロマン派詩人というよりも、出自の農村での生活の中から生まれる詩が愛されています。また晩年精神を病んでからも詩作を続け、その中にも優れた詩を多く残しています。
バラが中世までの薬草としての歴史からブルジョワの愛玩品へと移行していった1800年代という時代はまさに産業革命の時代であり、この辺りの諸事情を合せて考えてみるのも面白いです。