エマニュエル
メアリーローズ
風の盆の行事は1日、2日は午後2時過ぎから6時頃までと、夕食を挟んで7時頃から夜の11時30分頃までが各町の正式行事となっています。時間は町毎に若干異なりますが大体このような時間帯で輪踊り、町流しが行われます。3日になりますと、昼間の行事は行われず、午後7時からやはり12時近くまでが正規な時間です。それから朝方までは、町としての拘束はなく、それぞれ各人の判断で町流しなどが行われます。午後2時から朝5時頃まで長丁場ですので、もちろん途中、大小休憩が入りますが、見学者も途中で休憩をとりながらの見学となります。昼間のおわらは2日間の夫々数時間しかありませんので、できるだけその時間に写真を撮っておかないと、カメラの性能にもよりますが、夜の写真は真っ暗で真っ黒だったという方もかなりいらっしゃると思います。今年は3日間で20数万人の観光客が訪れましたが、夜8時頃のピーク時には、歩行者が前にも後ろにも進めないすし詰めの満員電車状態になっている通りもあり、おわら踊りを見るつもりが、観光客しか見えない場合もあります。来年は風の盆に出かけようと思っている方やせっかく訪ねてきたのに見えなかったという方のために私の乏しい経験から、どうしたら良く見えないかを上げてみたいと思います。
良く見えないポイント
昼間編
① 人ごみを避ける人
人ごみの中に踊りの輪があります。
② 通りの横で立ち止まり、そこで通過して行く踊りを見る人
通過して行くのは一瞬で、次の踊りの集団はなかなか来ません。
夜編
① 諏訪町に行く人
人多すぎで、身動きがとれません。
② 鏡町の階段でいつまでも待っている人
町流しの間は留守。舞台踊りは時間が決まっている。
③ 上新町通りなどの大通りで動かず待っている人
町流しは狭い通りでも行われます。
深夜編
① 鏡町階段で待っている人
例年朝5時近くまでは鏡町本隊は来ません。
(但し他町の集団はそれ以前でも来ることがあります。)
② 諏訪町で待っている人
深夜も人が多いのですが、なかなか町流しに合えません。
4日 朝 今年の風の盆最後のおわらです。
風の盆が終わり、当初は月見のおわらまでには今年のおわらネタを終わらせようと思っていたのですが、まだ少し写真が残っていることと、まだまだ話足りませんので、月見のおわらが終わった後も気分でいろいろ載せて行きたいと思っています。月見は当然見に行きますが、その後しばらくは同じおわらネタでも、風の盆と月見の写真が順不同で、出ると思います。月見のおわらについては、イベントとしては大変時間が短いのですが、絶対風の盆本番では見ることができない、諏訪町や上新町での天満町などの町流しを見ることができますので、楽しみにしています。
今日は仲秋の名月で、珍しく全国的に晴れで良く月の見える夜でした。ということで、上田城にかかる月を撮りに出かけましたが、同じ事を考えているおかしな人がもう一人いて驚きました。更に外灯のみの暗い堀の外周を走っている人も多く、夜とはいえ多少賑やかです。カメラには70mmのレンズがつけっぱなしだったので、思うようなアングルではとれず失敗でした。
こちら↓は300mm側で撮影
女性は月を見ないほうがいいそうです。
7月に行われた演技発表大会の時もすばらしい演技で印象に残った福島支部の皆さんですが、八尾駅前通りという大変混雑する場所にあることと、旧町内の上新町通りなどからは大変離れているので、今年も行くことはありませんでした。3日午前4時頃に始まった西町での各町若手有志の演技を偶然目にすることができましたが、中でも福島支部男子の踊りはずば抜けて迫力があり、感動しました。後から考えると、掛け声が一際大きく、踊りも揃っており、福島は地方がしっかりしているだけでなくさすがおわら人口が一番だけあって総合的でも優れているのだと思ったわけですが、如何せん期間中は行ったことがないでの、情報そのものが少ないのも事実ですが、駅前にありますので、体力に自信のない方などには特にお勧めできると思います。
午前0時を過ぎると、どこからともなく集まりはじめた踊り子が、気の合ったもの同士で新踊りが始まります。おわら踊りは情感を内に秘め感情を外に現さない踊りで、昼間は笠で顔を隠しますが、深夜は笠を取り素顔を出して踊ります。表情は能面のように硬く喜怒哀楽を表に出して踊ることはありません。緊張感ある踊りの所作や、祈るよう眼差しに踊り手それぞれの様々な思いを感じることができます。おわらの美はそういったストイックな美しさでもあります。
かつて比叡山の日吉大社に偽って巫の真似をして忍び込んだ若い女性が深夜、十禅師の像の前で、鼓を打ちながら、とうとうと詠っている姿を人に見られてその気持ちを問われると「生死無常のこの世のことはともかく、ただ後世(来世)は助け給えと祈る気持ちでした」と話していた。 これは小林秀雄が「無情ということ」の中で引用したことで大変有名な一言芳談 の中にある文章を私が意訳したものですが、一言芳談は鎌倉初期の念仏修行者の法語を集めたもので、浄土宗の本質を現している文章ですが、この文章以外はすべて修行男性の記述でおもしろみにやや欠けますが、こちらの文章はその中で唯一の一般女性の記述となっており、そこには優しい趣や風情があり、名文となっています。小林秀雄がこの文を冒頭に引用して続けた後の解釈については、いずれ感想を書きますが、深夜のおわら踊りを前にしてふとこの若い女性達と鎌倉時代の若い女性(原文ではなま女房ですが)が重なってくるような錯覚を感じました。
おわら風の盆の3日間、昼夜繰り広げられる踊りは他所では見ることができない高い精神性を持った踊りのような気がします。
四季踊り 秋
四季踊り 冬