この本は、ロンドン帰りの飛行機の中で、うちの奥さんが貸してくれ、12時間のフライトの大半をこの本を読んで過ごしたものです。
オックスフォード大学史学部のネッド・ヘンリーは、レイディ・シュラプネルのコベントリー聖堂復興計画のため、かつて聖堂にあったという、主教の鳥株を捜し求めて、時間旅行を繰り返すうちに、ひどいタイムラグ(時代差ボケ)症状で健康を害してしまう。死にそうなネッドを捕まえて次の捜索場所へ派遣しようとするレイディ・シュラプネルの魔の手を逃れて療養するために、指導教官ダンワージー教授に送り込まれたのは19世紀、ビクトリア朝時代の郊外。ところが、そこで待っていたのは、安息の日々でなく、夢見る大学生テレンス・セント・トゥールーズと、獰猛なブルドッグのシリル、更にトゥールーズの恋人(?)トシーが溺愛する優雅な猫、プリンセス・アージュマンドも加わった一大冒険旅行でした。
とにかく、イギリスの多くの地名、イギリスの多くの書籍、そしてかつてイギリスで起きた多くの事件が交差し、きっとイギリスマニアにはたまらないのでしょうが、ロンドン帰りの僕も知らない地名が頻発、もう大変でした。この本の全てを理解できるのは、イギリス在住の一部愛書家だけじゃないかとも思うのですが、そういう知識を一切持っていなくても、次々と起こる事件、そして素早く切り替わる場所と時代、そしてそれらの醸す強烈なドライブ感で、一気に最後まで読まされてしまう小説です。
よくある時間旅行モノだと、過去に干渉することで、現代が変わってしまうというタイムパラドックスをどう処理するかというところが、作家の腕の見せ所なのですが、そこも見事で、
「歴史の自己修復能力を超える干渉はそもそも不可能」とする大学側と、なんとしてもコベントリー聖堂を復活したいレイディ・シュラプネルの間での対立が、歴史崩壊のきっかけとなるかもしれない事件を引き起こします。時間旅行の送り先の場所と時代がどんどん不正確となっていき、崩壊の兆候を予感させる中、無事にネッドとヴェリティは現在に戻れるのかというスリルも本書の醍醐味の一つとなっています。そして、これ(タイムパラドックス)にもきちんと解決編が用意されています。安心してドキドキしてください。(笑)
かなりのボリュームのある小説ですが、見事に飽きずに最後まで楽しめます。
まさにイギリスへ向かう飛行機の中とか、イギリスから戻ってくる飛行機の中で楽しむにはうってつけの小説でした。
ちなみに、イギリスミステリーの王道は「執事が犯人」だそうですが、その王道まできちんと踏まえている懲り様もとても面白かったです。
オックスフォード大学史学部のネッド・ヘンリーは、レイディ・シュラプネルのコベントリー聖堂復興計画のため、かつて聖堂にあったという、主教の鳥株を捜し求めて、時間旅行を繰り返すうちに、ひどいタイムラグ(時代差ボケ)症状で健康を害してしまう。死にそうなネッドを捕まえて次の捜索場所へ派遣しようとするレイディ・シュラプネルの魔の手を逃れて療養するために、指導教官ダンワージー教授に送り込まれたのは19世紀、ビクトリア朝時代の郊外。ところが、そこで待っていたのは、安息の日々でなく、夢見る大学生テレンス・セント・トゥールーズと、獰猛なブルドッグのシリル、更にトゥールーズの恋人(?)トシーが溺愛する優雅な猫、プリンセス・アージュマンドも加わった一大冒険旅行でした。
とにかく、イギリスの多くの地名、イギリスの多くの書籍、そしてかつてイギリスで起きた多くの事件が交差し、きっとイギリスマニアにはたまらないのでしょうが、ロンドン帰りの僕も知らない地名が頻発、もう大変でした。この本の全てを理解できるのは、イギリス在住の一部愛書家だけじゃないかとも思うのですが、そういう知識を一切持っていなくても、次々と起こる事件、そして素早く切り替わる場所と時代、そしてそれらの醸す強烈なドライブ感で、一気に最後まで読まされてしまう小説です。
よくある時間旅行モノだと、過去に干渉することで、現代が変わってしまうというタイムパラドックスをどう処理するかというところが、作家の腕の見せ所なのですが、そこも見事で、
「歴史の自己修復能力を超える干渉はそもそも不可能」とする大学側と、なんとしてもコベントリー聖堂を復活したいレイディ・シュラプネルの間での対立が、歴史崩壊のきっかけとなるかもしれない事件を引き起こします。時間旅行の送り先の場所と時代がどんどん不正確となっていき、崩壊の兆候を予感させる中、無事にネッドとヴェリティは現在に戻れるのかというスリルも本書の醍醐味の一つとなっています。そして、これ(タイムパラドックス)にもきちんと解決編が用意されています。安心してドキドキしてください。(笑)
かなりのボリュームのある小説ですが、見事に飽きずに最後まで楽しめます。
まさにイギリスへ向かう飛行機の中とか、イギリスから戻ってくる飛行機の中で楽しむにはうってつけの小説でした。
ちなみに、イギリスミステリーの王道は「執事が犯人」だそうですが、その王道まできちんと踏まえている懲り様もとても面白かったです。
未読でしたら、「いつか読むぞリスト」に入れてあげてください^^
この本が僕のコニー・ウィリス初体験です。
一発目でいいのにあたると、他の作品にも断然期待してしまいますよね。
でも、一番面白い作品が一番よく出回っているので、最初に読んだ作品が一番面白かったというのも、よくある話なのです。
コニーウィリスに関しては、他の作品もお勧めですか。航路は、早速読んでみたいと思います。
ご紹介ありがとうございます。
(TBの説明は非常に助かりました…)
自分の見た映画や本に対して他の人がどういう感じたかを知るのが好きなのですが、h_tutiyaさんの感想は頷かされるところが多いです。
(ハウル関連の疑問も!)
最近、SFの面白い作品がめっきり減っているので、面白そうなのを見つけたら、ぜひ教えてくださいね。
K2 さんのブログに書くかどうか迷ったんですが、トラックバックという概念は、やはりちょっと難しいようですよ。
他の方のブログでも、ときどきTBがわからないって書いている人がいらっしゃいます。
僕はブログをもっと盛り上げたいと思っているので、そういう人を見かけると、積極的にガイドして行きたいと思います。