簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

労使協定方式 労使協定の作成方法③-1  派遣労働者の賃金の決定方法

2021年08月31日 | 労使協定方式


労使協定方式における労使協定の締結事項は、以下の通りです。












前回、労使協定に定めなければいけない項目として

「労使協定の対象となる派遣労働者の範囲」

について説明しました。







今回は、「派遣労働者の賃金の決定方法」ついて説明したいと思います。







今回の内容が労使協定に定める事項の中で一番重要な部分となります。







「派遣労働者の賃金の決定方法」については以下のことを定めなければ

いけません。









【派遣労働者の賃金の決定に関する事項】



 (イ)派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の

    平均的な賃金(以下「一般賃金」という)の額と同等以上の賃金の

    額となるものであること

     → 職業安定局長通知で公表されている派遣労働者専用の職種ごと

       の最低賃金表に示されている時給額よりも高い時給額を派遣

       労働者に支払うことを比較して示した派遣労働者用の賃金

       テーブルを記載すること

       ※ ちなみに、上記では「職業安定局長通知」と記載していま

         すが、たまに「職業安定局長通達」と記載する場合があ

         ります。これらは同じものとしてご理解ください



 (ロ)派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他

    の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善される

    ものであること

     → 派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて昇給

       するような内容のものを記載すること

       (どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルでは

        ダメ!)







上記の内容を分かりやすく言い換えると、

 ・職業安定局長通知に示された「賃金額+賞与額+手当額(通勤手当を除く)」

  以上の額を派遣労働者に支払うような賃金テーブルを作成すること

 ・職業安定局長通知で示された「通勤手当額」以上の額の通勤手当を派遣労働者に

  支払うことを労使協定に定めること

 ・職業安定局長通知で示された「退職手当」以上の額の退職手当を派遣労働者に支

  払うことを労使協定に定めること

 ・派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて昇給するような内容の

  ものを定めること

  (どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルではダメ!)

ということになります。







派遣先均等・均衡方式では、派遣先の正社員に支払われている手当の種類や額に

応じて派遣労働者にもその手当や額を支給することになりますが、労使協定方式

では有無を言わせず

 ① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)

 ② 通勤手当

 ③ 退職手当

を支給しなければいけません。







いくら派遣元が「うちは派遣労働者以外の社員にも通勤手当や退職手当を支払っ

ていないのに派遣労働者にだけ支払わなければいけないのはおかしい!」と言っ

ても、上記の①~③の賃金等を支給しなければ労使協定の内容としては不備と

なり、その派遣元では派遣先均等・均衡方式が適用されてしまうことになります。







つまり、労使協定方式では絶対に上記の①~③の賃金等を支払う内容を記載し、

実際に支払っていただく必要があるわけです。







では、上記の①~③の賃金等をどのように労使協定に定めたらいいのか?という

ことになりますが、ここからが非常にややこしい内容となるので、実際の記載内

容については次回以降、複数回に渡り説明していきたいと思います。















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また、令和3年8月6日に公表された「令和4年度から適用される労使協定の記載例」及び令和3年1月と4月に行われた派遣法改正に対応した派遣関係書類(ワード形式)も税務経理協会様のホームページからダウンロードしていただけます。



派遣元の担当者の方や派遣先の担当者の方、社会保険労務士の先生方など派遣業務に携われる方は是非、ご一読ください!



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 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2021年4月)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/all.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和2年度適用)」

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労使協定方式 労使協定の作成方法② 派遣労働者の範囲

2021年08月30日 | 労使協定方式




前回、労使協定に定めなければいけない事項について説明しました。




締結事項については、以下の通りとなります。





      ※ 画像をクリックすると拡大表示されます











今回から、その労使協定に定めなければいけない各項目の具体的な記載方法について

説明していきたいと思います。











【労使協定の対象となる派遣労働者の範囲】

労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を記載します。記載方法は次のような

感じになります。

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、すべての派遣労働者を対象とする。

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、プログラマーの職種に派遣する

  派遣労働者に限る。

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、有期雇用派遣労働者に限る。







性別、国籍等、他の法令に照らして不適切な基準によることは認められません。

例えば、

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、女性の派遣労働者に限る。

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、日本国籍を有する者以外の派遣労働者

  に限る

などがこれに該当します。







また、恣意的に派遣労働者の賃金を下げるために労使協定の対象となる派遣労働者

を限定することも法の趣旨に反するため認められません。

例えば、

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、賃金水準が高い企業に派遣する労働者に

  限る。

 ・労使協定の対象となる派遣労働者は、○○○○株式会社に派遣されている派遣労

  働者に限る。

などは認められません。





上記の内容を踏まえた上で、実際にどのような範囲を定めるかは労使で話し合って

決めていいただくことになります。













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労使協定方式 労使協定の作成方法① 労使協定の締結事項

2021年08月27日 | 労使協定方式



労使協定方式における派遣の手続きの流れは以下の通りとなります。












労使協定方式で一番大事な手続きは何と言っても「労使協定を作成すること」

です。







そこで、今回から複数回に渡り、労使協定の作成方法について解説していきたい

と思います。







まずは、「労使協定の締結事項」について説明いたします。









労使協定で締結しなければいけない事項は次の通りとなります。



 ・労使協定の対象となる派遣労働者の範囲

   → 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を記載



 ・派遣労働者の賃金の決定に関する事項

   (イ)派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の

      平均的な賃金(以下「一般賃金」という)の額と同等以上の賃金の

      額となるものであること

       → 職業安定局長通知で公表されている派遣労働者専用の職種

         ごとの最低賃金表に示されている時給額よりも高い時給額

         を派遣労働者に支払うことを比較して示した派遣労働者用の

         賃金テーブルを記載すること



   (ロ)派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他

      の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善される

      ものであること

       → 派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて

         昇給するような内容のものを記載すること

         (どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブル

          ではダメ!)



 ・公正な評価に基づき賃金額を決定する旨

   → 例えば「派遣労働者と面談して成果目標を設定し、一定期間後に達成

     状況について改めて面談を行って評価を決める」というように、具体

     的な評価方法を定めること



 ・賃金以外の待遇の決定方法

   → 賃金額については職業安定局長通知に示された額以上の額を支払って

     おればいいので、それ以外の待遇については「派遣元の派遣労働者以

     外の正社員」と「派遣労働者」との間で整合性が図られる待遇を取る

     ことを記載すること



 ・段階的かつ体系的な教育訓練

   → 2020年4月以前の派遣法でも規定されていた、教育訓練計画に基づく

     教育訓練を派遣元は派遣労働者に対して実施する旨



 ・その他の事項

   (イ)労使協定の有効期間

       → 労使協定の有効期間を記載すること



   (ロ)労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定

      する場合には、その理由

       → 労使協定の対象となる派遣労働者については客観的な基準に

         基づいたものであれば限定することができる(例えば、職種

         や有期雇用か無期雇用の違いなど)が、その場合は、限定した

         理由を労使協定に記載すること



   (ハ)特段の事情が無い限り、一の労働契約の契約期間中に、当該労働契約

      に係る派遣労働者について、派遣先の変更を理由として、協定対象派

      遣労働者であるか否かを変更しないこと

       → 派遣労働者の待遇決定方式(派遣先均等・均衡方式又は労使協

         定方式)が、派遣先の変更を理由として、一の労働契約期間中

         に変更されることは、所得の不安定化を防ぎ、中長期的なキャ

         リア形成を可能とする労使協定制度の趣旨に反する恐れがある

         ことから、特段の事情が無い限り、認められないことを記載す

         ること











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労働者派遣契約の流れ

2021年08月23日 | 派遣法改正

2020年4月1日に労働者派遣法が改正され、すでに1年以上が経過しました。





しかし、今回の労働者派遣法の改正は非常に大きな改正で、また、複雑な内容と

なっているため、いまだに改正の内容を正確に理解されていない派遣元の事業所

様や派遣先の事業所様も見受けられます。





そこで、改正後の派遣関係書類の正しい作成方法や、派遣法に基づいた正しい事

業運営方法について、当ブログでわかりやすく解説していきたいと思います。





まずは、改正後の労働者派遣の手続きの流れについて解説します。





改正後の労働者派遣の手続きの流れは以下の通りです。


(1)派遣先均等・均衡方式











(2)労使協定方式











図を比較していただいたら分かる通り、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の

派遣の流れの違いについては労使協定を事前に締結するかしないかの違いしか

ありません。





しかしながら、「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」の内容や

「待遇に関する事項等の説明」の内容が派遣先均等・均衡方式と労使協定方式

では異なることになります。





以前のブログでもご紹介しましたが、派遣元事業所の約9割が労使協定方式を採

用しています。

これは、派遣先均等・均衡方式を採用した場合、派遣元事業所、派遣先事業所と

も非常に煩雑な手続きを要するため、比較的手続きが簡便な労使協定方式を採用

しているものと考えられます。





したがって、当ブログでも次回以降、労使協定方式における派遣関係書類の作成

方法について解説していきたいと思います。











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(資料)

 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2021年4月)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/all.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和2年度適用)」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000595429.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用)」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000685419.pdf

令和4年度「職業安定局長通達」のポイント(労使協定方式)(令和3年8月6日公表)

2021年08月18日 | 労使協定方式


令和3年8月6日に厚生労働省から、

「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和4年度適用)」

が公表されました。





(出典:厚生労働省「令和4年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について) 」)





これは、労使協定方式を採用する場合における令和4年4月1日からの派遣労働者の

賃金決定の際に適用しなければいけない賃金統計(以下「局長通達(令和4年度)」

とする)のことを意味します。



この局長通達は毎年6月~7月頃に公表されます(毎年、数値等が更新されたものが

公表されます)が、今年は、コロナウイルスの影響もあってか少し遅めの8月6日に

公表されました



この「局長通達(令和4年度)」を運用する際には以下の3つのポイントに気を付け

なければいけません。

 ① 一般賃金額等の変更(別添1、別添2、別添3、別添4の変更)

 ② 通勤手当の額が昨年の時給74円→時給71円に引き下げられました

 ③ 一般賃金額等の特例適用なし




これらについて解説していきたいと思います。





【東谷解説】

① 一般賃金額等の変更(別添1、別添2、別添3、別添4の変更)

 「局長通達(令和4年度)」と「局長通達(令和3年度)」では別添1・別添2

別添3・別添4の各データの数値が変更になっているため、令和4年4月1日以降

に有効期間の開始日となる労使協定においても賃金額や退職金額の見直しを行う必

要があります。

 ・別添1,別添2

   殆どの職種で、「局長通達(令和3年度)」の賃金額より「局長通達(令和

  4年度)」の賃金額の方が上昇しています。

 ・別添3

   地域指数も多くの地域で変更となっているため、労使協定の賃金額表の計算

  を改めて行う必要があります。

 ・別添4

   「中小企業の賃金・退職金事情(東京都)」の退職金のデータが平成30年

  →令和2年に変更となっているため、「中小企業の賃金・退職金事情(東京都)

  のデータをもとに退職金制度を作成した事業所は見直しが必要となります。



 ・局長通達(令和3年度) 別添1

            https://www.mhlw.go.jp/content/000685358.pdf

 ・局長通達(令和4年度) 別添1

            https://www.mhlw.go.jp/content/000817351.pdf

 ・局長通達(令和3年度) 別添2

            https://www.mhlw.go.jp/content/000685359.pdf

 ・局長通達(令和4年度) 別添2

            https://www.mhlw.go.jp/content/000817353.pdf

 ・局長通達(令和3年度) 別添3

            https://www.mhlw.go.jp/content/000685420.pdf

 ・局長通達(令和4年度) 別添3

            https://www.mhlw.go.jp/content/000817358.pdf

 ・局長通達(令和3年度) 別添4

            https://www.mhlw.go.jp/content/000685361.pdf

 ・局長通達(令和4年度) 別添4

            https://www.mhlw.go.jp/content/000817360.pdf







 では、局長通達(令和3年度)の賃金額が局長通達(令和2年度)の賃金額より

も下がっている職種については、労使協定の派遣労働者の賃金額も下げていいかと

いうと、

「労使協定方式に関するQ&A(第3集)」(令和2年10月21日公表)

問1-1において、下記のとおり記載されています。

「一般賃金の額と同等以上であれば、労働者派遣法第 30 条の4第1項第2号イに

 直ちに違反するものではないが、非正規雇用労働者の待遇改善という同一労働同

 一賃金の趣旨及び派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理の実施

 という労使協定方式の目的にかんがみて、一般賃金の額が下がったことをもって

 、協定対象派遣労働者の待遇を引き下げる対応は望ましくなく、見直し前の労使

 協定に定める協定対象派遣労働者の賃金の額を基礎として、協定対象派遣労働者

 の公正な待遇の確保について労使で十分に議論することが望まれるものである。

  また、派遣労働者の待遇の引き下げ等、労働条件の変更については、労働契約

 法の規定に従う必要があるとともに、次の点からも問題となり得ることに留意が

 必要である。

  ①  労使協定に定める昇給規定等の内容によっては、協定対象派遣労働者の待

   遇を引き下げることが当該昇給規定等を遵守していないことになり、

   法第 30 条の4第1項第2号ロ又は第3号に違反する可能性があること。

  ②  待遇を引き下げることを目的に、令和2年度の労使協定から局長通達別添

   1と別添2の選択を恣意的に変更することなどは認められないこと。」



 要するに、「局長通達(令和4年度)の賃金額が、局長通達(令和3年度)の賃

金額よりも下がったとしても労使協定の派遣労働者の賃金額は下げない方がいいで

すよ!もし下げた場合、下手したら労使協定そのものが無効となってしまって、遡

って派遣先均等・均衡方式が適用される可能性がありますよ」


とのことです。



 ちなみに、局長通達(令和4年度)の賃金額は令和4年4月1日以降に有効期間の

開始日となる労使協定から適用されるため、現在有効中の労使協定には影響しないの

でご注意ください。







 

② 通勤手当の額が昨年の時給74円→時給71円に引き下げられました。

 通勤手当については局長通達(令和3年度)では時給74円だったものが、局長通

達(令和4年度)では時給71円に引き下げられました。

 月額換算では、

  ・時給74円 → 月額12,827円

   (時給74円×週40時間×52週(1年間の週数)÷12ヶ月

      =12,826.6667… → 12,827円)

  ・時給71円 → 月額12,307円

   (時給71円×週40時間×52週(1年間の週数)÷12ヶ月

      =12,306.6667… → 12,307円)

となり、じゃあ、「引き下げよう」と思うかもしれませんが、先程の①同様、引き下

げた場合、派遣元にとってデメリットが生じる可能性があるため、現状維持としてお

いたほうが無難でしょう。

                  







③ 一般賃金額等の特例適用なし

 これは、昨年度の局長通達において示された取扱いです。

 局長通達(令和3年度)の本文 第1の5の(1)には、以下のとおり

記載されていました。

「5 現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う労働市場への影

  響等を踏まえた取扱い

 (1) 取扱いの内容

     現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済・雇用

    への影響等がある中で、令和3年度に適用する一般賃金の額につ

    いて、令和元年又は令和元年度の統計調査等を活用した数値をそ

    のまま適用した場合には、派遣労働者の雇用への影響が懸念され

    る。

     令和3年度に適用する一般賃金の額については、派遣労働者の

    雇用維持・確保の観点から、労使協定締結の当事者である労使が

    十分に協議できるようにすることが必要である。このため、原則

    として、本通知の第2の1から3までに定める方法により算出し

    た一般賃金の額(以下(2)及び(3)において「一般賃金の額

    (令和3年度)」という。)を用いることとするが、派遣労働者

    の雇用維持・確保を図ることを目的として、(2)に定める要件

    を満たし労使で合意した場合には、4に定める適用日において、

    令和元年7月8日付け職発 0708 第2号における一般賃金の額

    (以下(2)及び(3)において「一般賃金の額(令和2年

    度)」という。)を用いることも可能とする。       」

 要するに、

「新型コロナウイルスで事業の継続自体が厳しい派遣会社もあると思いま

 す。そのような派遣会社については令和3年4月1日以降が開始期間と

 なる労使協定については、一定の要件を満たした場合は、局長通達(令

 和3年度)ではなく、局長通達(令和2年度)の賃金額に基づいた労使

 協定でいいですよ」


というものでした。

 今回の局長通達(令和4年度)には、この規定は一切記載されていない

ので、上記の「一般賃金額等の特例適用」は昨年度のみということのよう

です。

 ちなみに「一般賃金額等の特例適用」を受ける派遣元は、今年の6月末

までの事業報告書の提出の際に、「労使協定方式における現下の新型コロ

ナウイルス感染症の感染拡大に伴う労働市場への影響等を踏まえた取扱い

に関する提出様式(令和3年度及び令和4年度共通様式) 」を添付された

と思いますが、令和4年6月末までの事業報告書の提出の際も上記の書類

の提出が必要となります。ご注意ください!



・労使協定方式における現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う労働市場への影響等を踏まえた取扱いに関する提出様式について
https://www.mhlw.go.jp/content/000711602.pdf


・労使協定方式における現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う労働市場への影響等を踏まえた取扱いに関する提出様式(令和3年度及び令和4年度共通様式) 
https://www.mhlw.go.jp/content/000710989.pdf


 



東谷社会保険労務士事務所(派遣部門) – 派遣事業の運営方法の全てをお教えします

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また、令和3年1月と4月に行われた派遣法改正に対応した派遣関係書類も税務経理協会様のホームページからダウンロードしていただけます。

本書は、3年間、大阪労働局の需給調整事業部(派遣法の指導監督を行っている部署)で需給調整事業専門相談員として派遣会社や派遣先の企業、社労士や弁護士の方からの相談業務を担当していた筆者が、労働者派遣法のことが全く分からない方や派遣業務が未経験の方でも簡単に派遣関係書類(今回説明させていただいた労使協定や個別契約書等)が作成できるよう、記載例も掲載しわかりやすく解説させていただいています。

派遣元の担当者の方や派遣先の担当者の方、社会保険労務士の先生方など派遣業務に携われる方は是非、ご一読ください!

本書は専門書のため、ジュンク堂書店、紀伊国屋書店等の大型書店にてお買い求めいただけます!







(資料)

 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2021年4月)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/all.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用)」

    https://www.mhlw.go.jp/content/000685419.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和4年度適用)」

    https://www.mhlw.go.jp/content/000817350.pdf