ブレトンを挟んでジェイコブとゲッコー
前作「ウォール街」(1987年)に続く、オリバーストン監督の「ウォールストリート」を観てきた。
インサイダー取引や脱税など複数の罪名で8年の刑期を終えて、出所する場面から画面は始まる。
カリスマ投資家のゴードン・ゲッコーに扮するマイケル・ダグラスは、出所後7年を経過し、昨今の金融業界の強欲ぶりを糾弾し、大恐慌以来の最悪の金融危機が来ると予想した著書を出版し、カリスマ投資家ゴードン・ゲッコーの名声もあって、ベストセラーとなる。
TVにも顔を出し、その影響で講演の機会も増え、再出発の礎を築いてゆく。
併せて、疎遠になっていた一人娘ジャーナリストのウイニー(キャリー・マリガン)のボーイフレンド・ジェイコブ(シャイア・ラブーフ・証券マン)を介して、父娘の関係修復を図る。
しかし、逮捕・収監前に1億ドルをチュウリッヒ(スイス)の銀行に娘名義で隠し預金。その金を「マネーロンダリング」する為に、新婚生活をおくる娘夫婦を利用して、全額を送金させ、ニューヨークを引き払って、ロサンゼルスへ密かに転居。
当時米国では、不動産バブルが弾け、2007年のサブプライローン(低所得者向け住宅ローン・高金利)を組み入れたヘッジファンドを多額に販売していたリーマンブラザースは、(日本の民事再生法に当たる)連銀破産法第11章を連邦裁判所に申請し,同社が発行している社債や投信を有している企業や内外の金融機関に波及し世界同時株安を引き起こしていた。
必ず連銀が米国内の主要金融機関への波及を防ぐ為に、各金融機関が保有している不良債権を買い取り、一時国有化をすると読んだゲッコーは、暴落した金融機関の株を安値で買い、元での1億ドルが11億ドルとなった。
一方、娘婿・ジェイコブが勤める投資会社のオーナーのブレトン(ジョシュ・ブローリン)(1987年当時投資銀行のやり手だった)は失脚し、ジェイコブも退社。
世界初のバブル経済事件である1637年のオランダで起きたチュウリップの球根投資によるバブル崩壊。
金融工学から生まれたヘッジファンドも、ジャンク債であるサブプライムを組み込んだ禁じ手を冒した。サブプライム=チュウリップの球根?
2時間以上の上映時間を退屈させないスピードと現実感は充分楽しめる。
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