福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設問題で、国の現地調査は再開されないまま「タイムリミット」(佐藤勇栗原市長)とされた7月が過ぎた。足踏み状態の打開を期待する県や各候補地からは「いつになるのか」とのぼやきが漏れる一方、建設反対の住民らは引き続き候補地返上を訴える構えだ。

<県関係者やきもき>
 環境省の小里泰弘副大臣は7月1日に県内入りし、指定廃棄物の一時保管場所を視察。村井嘉浩知事との会談で「一時保管する住民の負担はかなり大きい。状況が整えば一刻も早く調査に入りたい」と強調した。
 だが、その後目立った動きはなく、環境省の担当者は「なるべく早く、3候補地同時に着手したいが、現時点では未定」と繰り返すのみだ。県関係者は「国は以前『雪が解けたら速やかに調査に入る』と言っていたのに、今はもう夏。いつ着手するのか」とため息をつく。
 「7月中に動きがなければ候補地を返上する」と期限を設けて再開を促した佐藤市長は29日、取材に「環境省は調査する考えに変わりはなく、交渉を重ねるなど前向きな姿勢がある」と理解を示し、「もう1カ月だけ状況を見守りたい」と静観する考えを示した。

<警戒解かぬ反対派>
 「国は加美町長選に配慮して調査に入らないのではないか」という臆測もあった中、28日の告示日に建設反対の現職猪股洋文氏の無投票再選が決まった。猪股氏は「無投票は建設の白紙撤回を実現したい町民の声の表れ。引き続き、調査を断固拒否する」と息巻く。
 間もなくお盆を迎えるが、候補地の反対派の住民団体は警戒を解かない。大和町の住民団体の佐々木久夫会長は「7月は動きはなかったが、国がいつどういう形で調査に入るか分からない。お盆前までは心配が続くだろう」と語る。
 9月29日には大和町長選が告示される。現時点で現職と新人が立候補の意思を表明している。栗原市の住民団体の菅原敏允代表は「町長選前に住民の反対を押し切って調査に入れば、選挙妨害になりかねない。環境省は処分方法や場所を考え直すべきだ」と訴える。