ろうげつ

花より男子&有閑倶楽部の二次小説ブログ。CP :あきつく、魅悠メイン。そういった類いが苦手な方はご退室願います。

慕情残火(あきつく) 8

2020-06-22 22:43:53 | 慕情残火(あきつく)
「決めた!私、告白する」

「「「はっ?」」」

「このままじゃ、余計に想いが募って自分が苦しくなる。後にも退けず先にも行けず、八方塞がり状態がずっと続く。だったら、玉砕覚悟で美作さんに当たって砕けろ。そう西門さんに指摘されたから・・・って訳じゃないけど、背中を押してもらったからさ。だから、自分の為にも美作さんに告白する!」

「方向転換しすぎやろ。振り切れすぎや」

「極端すぎるわ」

「1か100しかないの?50はないんか?牧野には」

ノゾヤ、難波、山科が飽きれ顔でそんな事を言うけど、仕方ないじゃん。
これが私の、持って生まれた性格なんだから。
ついウジウジ悩んじゃって、自分の気持ちから逃げる為に関西にある大学に進学しちゃったけど、それじゃあ何の解決にもならないよね。
薄々自分でも気付いてたけど、みんなに指摘され、西門さんに止めを刺されてからやっと向き合えるようになった。

周りに迷惑かけて道明寺と付き合った割に、あっけなく別れて次の恋に走る軽薄な女。
そう思われるのが怖くて、想いが膨らみすぎる前に美作さんから逃げ出してきたけど、これ以上自分を偽るのは限界だ。
だから、正面からぶつかる。
西門さんじゃないけど、当たって砕けろの精神で美作さんに告白するよ。

「告白するって勇んでるけど、いつ美作氏に告白するん?」

「あきら君にどうやって告白するの?」

「何て言うて告白するつもりやの?」

矢継ぎ早にノゾヤ、難波、山科からそんな事を言われたけど、まだ具体的な日や場所なんて決めてる訳ないじゃん。
だって、美作さんに告白するって決意したのは、ついさっきなんだから。

「無計画かいな。無鉄砲すぎるやろ」

「牧野らしいと言えば、牧野らしいけど」

「東京に行って告白するの?」

「東京に行ったらお金かかるじゃん。無理無理」

「「「じゃあ、どうするの」」」

「手紙をね、出そうと思うんだ」

「「「手紙!?」」」

「うん。美作さんと約束したんだよね。暑中見舞いとバースデーカードと年賀状を必ず出すって。だから、暑中見舞いの代わりに手紙を出そうと思って」

ほら、手紙の方が素直な気持ちを綴れるでしょ?
自分自身に向き合えるって言うかさ。
面と向かって言えない事も、書面でなら伝えられる。
それに、メールや電話で気持ちを伝えるよりも、情緒溢れてない?
なんて言う私に対し、三人の反応は芳(かんば)しくない。

「美作氏って、美作商事のボンボンなんやろ?そのボンボンに女性からの手紙をお手伝いさんとか執事とかが、おいそれと渡すかね!?慎重になるんちゃう?仮にボンボンに渡すとしても、検閲してからなんちゃうか?」

「検閲!?勝手に手紙の封を開けて読んじゃうの!?そんなの絶対イヤ!」

「可能性はなきにしもあらずだよね。だからさ、こっちに遊びに来る夢子おばさんと双子ちゃん達に託したら?それなら確実に本人の手に渡るでしょ」

「そっか・・・うん、そうだね!ナイスアイデア、難波」

「逆に握り潰されるんやない?息子が牧野の毒牙にかからない様にって」

「「「山科!」」」

毒舌にも程があるでしょ。
毒牙って何よ!?毒牙って。わたしゃ、性悪女か。
まあ、私みたいな庶民というか貧民が、美作さんの周りをウロチョロしてたら目障りだろうけどさ。
でも、告白するくらいは許されるでしょ。
何も、嫁にしてくれとか彼女にしてくれとか言ってるワケじゃないんだから。
ただ、好きだって気持ちを打ち明けるだけなら、美作さんのお母さんも見逃してくれると思うんだよね。
そう話す私に、三人は呆気にとられた表情を浮かべた。

「ど、どうしたの!?三人とも」

「どうしたのって・・・それはこっちのセリフや。なあ!?難波」

「うん。あきら君と付き合いたいから告白するんじゃないの?あきら君と彼氏彼女の関係になりたいんじゃないの!?」

「好きですって告白して終わり?思いきり牧野の独りよがりやないの。告白された方も困惑するやろ」

と、まあ散々な言われようで。
正直言うと、美作さんに私の想いが受け入れられるなんて考えた事ないんだよね。
だってさ、美作さんの好きなタイプと真逆じゃん?私って。
童顔だし幼児体型だし子供っぽいし。
多分、美作さんにとって私は妹みたいな存在だと思うんだよね。
そんな人に対して「彼女にして」とか「彼氏になって」なんて、言えるはずないでしょ。
おまけに、道明寺の元彼女っていう肩書きまで背負ってるし。

「山科の言う通り、独りよがりで自分勝手だと思う。ただ告白するだけなんて」

「「「牧野・・・」」」

「美作さんに迷惑かけるだけかもしれない。告白した事によって、友達関係が崩れるかもしれない。それでも、私が美作さんを好きなんだって本人に伝えたい。知ってもらいたい。爪痕を残したい。完全なるエゴだけどね」

「せやな。完全なるエゴやな」

「自覚してるんだ」

「ドSやね。ま、せいぜい気張りなはれ」

三人の言葉にさすがの私も多少は凹む・・・はずもなく、余計に燃えてきた。
何が何でも美作さんに告白するぞって。
一度腹を括れば、後は前進するのみ。
踏ん切りつくまで時間がかかるけど、私の性格上、踏ん切りをつけてしまえば後は早い。
やらずに後悔より、やって後悔の方が自分自身にケジメをつけられるもん。
だから、

「フラれたら慰めてね」

「分かった。ウチの実家の本堂で、残念会を開こうや。多少騒いでも大丈夫や」

「それいいね。ノゾヤの実家で、ノゾヤの叔父さんも加えて一緒に騒ごう」

「心配しなくても、私達が牧野の骨を拾ってあげるから。未練なく成仏してな?」

「「「山科!」」」

あーでもない、こーでもないと言いながら、美作さんに告白する宣言をした私は、自分の思いの丈を手紙にしたためる事を改めて決意した。
そして、夢子おば様と双子ちゃん達に会うという難波に恋文を託した私は、審判が下されるのを待つだけの身になった・・・はずだったのに、難波からの電話で事態は急変した。


「どうしたの?難波。夢子おば様と双子ちゃん達を、新幹線の駅まで迎えに行ってる時間じゃない?」

『ききき緊急事態発生!』

「はっ?」

『来た!来ちゃったよ!』

「ちょっ・・・落ち着いて、難波。どうしたのよ」

『落ち着ける訳ないでしょ!来ちゃったのよ』

「来ちゃった?夢子おば様と双子ちゃん達の事でしょ?そんなの知ってるってば。何を興奮してんのよ」

『違う違う!本人が来ちゃった』

「本人?」

『そう!夢子おばさんじゃなくて、あきら君が双子ちゃん達と来たのよ!』

「・・・」

『・・・』

「えー!?」

『ウルサイ!牧野』

「ちょっ、なっ、ええっ!?美作さんが双子ちゃん達を連れて来たの!?何でよ!?」

『そんなの知らないわよ。まだ声をかける前の状態なんだから』

「そんな・・・」

『あと・・・何て名前だったかな・・・そうそう!ノゾヤの実家のお寺で会ったエロ門さん!その人も一緒にいるよ』

「何ですって!?」

予想外の出来事に、頭が全く働かない。
え~っと、夢子おば様じゃなく美作さんが来て、美作さんへの恋文を難波が持っていて、エロ門・・・西門さんも一緒にいる。
で、私は・・・どうすればいいの!?
って言うか、面白がってついて来たでしょ!エロ門め!


〈あとがき〉

くどい様ですが、あきつく話です(笑)
やっと、少しずつ動き始めましたね。
つくしはどう出るのでしょうか。



慕情残火(あきつく) 7

2020-05-19 17:01:25 | 慕情残火(あきつく)
「ところでさ、こんなに大騒ぎしてても誰も様子を見に来ないけど、みんな何処に行ったの?ノゾヤ」

「檀家さんが夏野菜を分けてくれるからって、掃除の前に叔父さんと難波、山科がもらいに行ったわ。それを知ったオトンも、そっちに行きよったで」

「ちょっと。難波と山科、何をシレッと掃除をサボッてんのよ。ちゃっかりしてるな~」

二度も気を失い、西門さんやノゾヤと他愛もない話をして、いたずらに時間を費やした私が言うのもなんだけど。

「心配せんでも、あの二人にはちゃんと掃除してもらうから」

「へいへい」

「私は庭を掃除してくるから、牧野は本堂を頼むな」

そう言い残して、ノゾヤは本堂を出て行った。
となると、残されるのは私と───

「おい。何で俺まで掃除しなきゃなんねーんだ」

「ぶつくさ文句言わない!仏様に失礼でしょ」

「仏様の前でぶっ倒れたり、大声出して騒いでたお前の方が、よっぽど失礼だと思うけどな」

それは確かに言えてる。
でも、西門さんだって大声出してたし、容赦なく私の頭を叩くという暴力をふるったじゃん。
仏様の前で。
それだって充分、失礼な行為にあたると思うんだけど。
なんて、思ってても口にはしない。
だって、またケンカになっちゃうから。

それにしても、何で西門さんと顔を合わせるたび、言い争いをしちゃうんだろ。
そんなつもりは毛頭ないのに、気付けばいつもこんな感じになっちゃうのよね。
まるでケンカ友達みたいに・・・って、別に私と西門さんは友達でも何でもないんだけどさ。
と、心の中でそんな事を思いながら嘆息した私に、西門さんが声をかけてきた。

「なあ、牧野」

「何よ?」

「お前が俺達から距離をとった本当の理由は何だ?いや、俺達じゃなく「あきらから」って言った方があってるか」

「なっ!?」

「穏やかな大学生活を送りたいから、F4と距離をとったんだってあきらは言ってたけどよ、俺はそれだけじゃないって思ってる。牧野、お前の真意はどこにある」

どこにあるって言われても、おいそれと話すのもねぇ。
気が引けるというか、何というか。
美作さんみたいに、素直に受け止めてくれればよかったのに。
そんな声なき声を上げる私を知ってか知らずか、西門さんの話は続く。

「あきらと一番仲が良い俺に話してみろ。何か憂いがあるなら払拭してやるから」

「西門さん・・・」

「あきらから逃げてるだけじゃ、何の解決にもなんねーぞ。余計に辛くなるだけだ。思いきって話してみろ。ちゃんと聞いてやるからよ」

それはそうなんだけどね。
西門さんの言う通り、余計に辛くなるだけなんだけどね。
でも、こんなグチャグチャした気持ちをどう表現してどう伝えればいいのか、分かんないのよ。
とは言え、西門さんがこのまますんなり引くとは思えないんだよなぁ。
多分、私が話すまでこの場から動こうとはしないだろうし。
だから私は意を決して、西門さんに心の内をぶちまけた。

「道明寺が記憶喪失になって、私の事だけ忘れちゃって。辛くて苦しくて悲しくて、どうしていいのか分からなくなって。そんな時、美作さんが傍にいてくれてさ。近すぎず遠すぎず、一定の距離を保ちながら寄り添ってくれたの」

「なるほど。で、知らぬ間にあきらに惚れちまったって事か」

「うん」

あきらは優しい上に気遣いの出来る男だから、牧野が惚れるのも無理はない。
俺と同じくらいイイ男だしなと、余計な一言を放った西門さんに脱力しかけた私は、すぐ気を取り直して先を続けた。

「あんなにみんなを巻き込んで、迷惑いっぱいかけながら道明寺と恋愛してたのに・・・」

「・・・」

「あのバカ、私に関する事のみサッパリ忘れちゃってさ。何をどう頑張っても思い出してくれなくて。仕舞いには、私を威嚇し始めて。もうさ、お手上げじゃん。どうも出来ないじゃん」

「そうだな」

「だから区切りをつけたの。もう、先を見ようって。そうしないと、自分が限界だったから。道明寺とはサヨナラして、新しい一歩を踏み出そうって」

そんな決意をして前を向く私を、美作さんは何も言わず黙って見守ってくれた。
頑張れだとも、しっかり前を見ろとも言わず、ただ優しく微笑んで。
まるで、全てを包み込むかの様に。

嬉しかったな。そういう、さり気無い気遣いが。
何だかね、一人じゃないって気になるの。
私は一人ぼっちじゃない。
ちゃんと気にかけてくれる人がいるんだって、勇気が湧いてくるのよ。

「美作さんの優しさに触れれば触れるほど、今の環境を手放したくないって思いが強くなって、この居心地いい場所を誰にも譲りたくないって思うようになって・・・」

「それで?」

「その時ようやく、私は美作さんの事が好きなんだって自覚した」

けど、自覚したら自覚したで、今度は物凄いスピードで好きだという気持ちが膨らんでいって、自分で自分を持て余すくらいに、本当に大好きになってしまって。美作さんの事を。
と同時に、不安にも襲われた。

「道明寺と決別して1年にも満たないうちに、美作さんを好きになってしまった。その事が本人にバレたらどうしよう。きっと、軽蔑される。とは言え、この気持ちを抑える事は出来ない。どうすればいいんだろうって、毎日考えてた」

「軽蔑?」

「うん」

「あきらがお前を?」

「うん」

「ば~か。あのあきらが、そんな器の小せぇ事するかよ。アイツはな、F4の中でも一番大人で度量の大きい男だ。そんな男が、簡単に人を軽蔑するかよ」

「美作さんが器の大きい人だって分かってるよ!でも不安なの。道明寺への想いはそんな軽いものだったのかって・・・そう思われるのが恐いの」

本当に好きだから。大好きだから。
些細な事でも気になって仕方ないの。
嫌われる様な言動はとりたくないの。
だから私は逃げ出した。
この想いが美作さん本人にバレる前に。
そう話す私にじっと耳を傾けていた西門さんは、軽く息を吐いてから言葉を放った。

「恋する乙女ってか。お前はな、牧野。ウジウジ悩むより、その悩みを蹴散らしながら豪快に前に進む方が似合ってんだよ」

「何ですって!?」

「天真爛漫でパワフルな牧野の方が、あきらも好きだと思うけどな」

「えっ?す、すすす好きって!?」

「一人で悩んで、出口のない迷路をさ迷ってても仕方ねぇだろ。時間の無駄だ。お前の性格上、遠距離だろうとなかろうと、あきらに対する想いが薄れる事はねぇよ。むしろ、想いは募る一方だと思うぜ?」

だからもう、必要以上にあきらから逃げるな。
一層の事、告白しちまったらどうだ。
上手くいくにしろ玉砕するにしろ、今のままの状態よりはマシだろ。
中途半端が一番、自分を苦しめる事になるぞって西門さんは言うけどさ、もし告白してフラれたらどうしてくれるのよ!?

「そん時はそん時だ。心配すんな。ちゃんと骨は拾ってやっから」

そんなのイヤ~~~!!



〈あとがき〉

さあ、いよいよ切羽詰まってきました(笑)
この後の展開、どうしようかしら・・・。


慕情残火(あきつく) 6

2020-05-06 20:59:52 | 慕情残火(あきつく)
「器用に二度も気を失うなんて、ホントすげぇな」

「ホンマやで。牧野の特技が失神だって聞いても、普通に納得してしまうわ」

スミマセンね、二度も気を失ってしまって。
別に、好き好んでやってる訳でも、私の特技でも何でもないんですけどね。
気を失うって行為は。
ただ、あまりにも予想外な事を言われ驚きすぎただけで、意図的に気を失った訳じゃないんですよ、ホント。

って言うかさ、あの場面で驚くのは当然じゃね!?
むしろ、驚くなって言う方が無理あるわ。
だってさ、私が美作さんを好きだって事がバレてたんだよ!?
しかも、当の本人である美作さん以外の人間に。
そんなの、誰が予想出来るって言うのさ。
宝くじで1億円当てるより難しいわ。

「いや、宝くじで300円当てるより簡単だぞ?」

「ええっ!?」

「お前、分かり易すぎ。絶対に女優には向かねぇわ。大根役者にも程があるぞ」

「ぐっ!」

「なあなあ、総くん。何で総くんは気付いたん?牧野が美作さんとやらを好きだって事に」

あ、それは私も気になる。
何でバレたんだろ。美作さんへの想いが。
これでもさ、必死に隠してたんだよ?
誰にも気付かれない様、慎重に行動してさ。
それなのに何で、西門さんに気付かれたんだろ。

「だってお前、いつもあきらを目で追ってたじゃねーか。目が合いそうになると、白々しく視線を反らしたりしてさ。あんな分かりやすい態度とってたら、誰だって気付くっての」

え、そうなの?
そんなに私、分かり易い態度とってたかな。
だって、チラ見する程度でしか美作さんを見てなかったんだよ?
それなのに何故、西門さんに気付かれたのかしら。
・・・。
・・・って・・・はっ!も、もしかして!?
もしかしてもしかすると、西門さんって───

「西門さんって、私の事が好きなの?」

私が美作さんを目で追ってた様に、西門さんも私を目で追ってたって事!?
だから、私が美作さんを好きだって気付いたんじゃないの!?

もしそうなら、本当にゴメンなさい。
西門さんの気持ちには応えられません。
だって、私の想い人は美作さんであって、西門さんではないから。
似て非なるものだから。
なんて、悲痛な面持ちで口にする私を、心底憐れんだ目で西門さんが見つめてきた。

「手遅れかもしんねーけど、病院でちゃんと診てもらえ。兄貴に頼んで腕のいい専門医、紹介してもらうから」

「はぁ!?」

「脳ミソ湧いてるどころか、脳ミソ自体が消滅してんじゃねーのか?」

「ちょっと!失礼すぎるでしょ」

脳ミソが消滅してるって、バカにし過ぎでしょ。
人を何だと思ってんのよ。

「頭のネジがぶっ飛んでる、カワイソウな女」

「何ですってー!?」

「まあまあ二人とも、少し落ち着いて」

一触即発状態の私と西門さんを見かねたノゾヤが、苦笑いを浮かべながら仲裁に入った。

「ここはお互い、冷静になって」

「だってノゾヤ───」

「分かった分かった。後でちゃんと話聞くから。ここは一先ず落ち着こうや」

「・・・分かった」

「よし。後で愚痴でも何でも聞いたるな。ところで総くん、さっき牧野が言ってたみたいに、本当に好きなんか?」

「あ?」

「牧野の事」

「恋愛対象としての『好き』って意味なら、全く、これっぽっちも、1ミクロンだって牧野に対して抱いてねぇ。そんな目で牧野を見た事ねぇよ。そもそもが対象外だ」

いや、まあ、その方がありがたいんだけどさ、何て言うのかな、うん。
そこまで全力で否定されると、逆に虚しくなってくるわ。
女として失格っていう烙印押されたみたいでさ。
と、心の中でやさぐれる私を他所に、ノゾヤの追及は続く。

「牧野を恋愛対象として見てないのに、総くんは気付いたん?牧野が美作さんとやらを目で追ってるって事に。いくら牧野が分かり易い態度をとってたとしても、そう簡単に気付くもんか?」

そうだそうだ。ノゾヤの言う通り。
チラ見するくらいだった私に気付くなんて、やっぱりおかしいじゃんか。
普段から私を注視してなけりゃ、絶対気付かないでしょ。
私の視線の先にいるのが美作さんだって。
って事はやっぱり───

「おい、牧野。あきらと一番つるんでるヤツは誰だ。あきらとよく遊んでるヤツは誰だ」

「・・・西門さん」

「正解。じゃあ分かるよな?」

「うん。いつも隣にいる西門さんが気付くほど、私は美作さんを見てたって事だね。自分にとってチラ見程度だとしても、西門さんにはその視線が分かった。そして、視線を感じる方に目を向けたら、そこに私がいたって事だね」

すっかり失念してたけど、確かに美作さんと西門さんは、いつも一緒に行動してたね。
いくら私が美作さんだけ見てたとしても、隣にいる西門さんにはバレバレだったって訳で。
・・・。
・・・えっ。
・・・ちょっと待てよ?
そう言えば、美作さんと西門さんって何をするにしても、大概一緒にいたよね。
って事は何かい!?
もしかして、もしかしなくても───

「西門さんも、美作さんが好きなの?まさかのライバル出現!?」

だからいつも一緒にいたんかい!
美作さんに変な虫が寄りつかない様に、自分だけを瞳に映して欲しいが為に、常に美作さんを独占していたくて、隣をキープしてたって事か。
そんな悲痛な叫びをあげる私の頭を、西門さんが容赦なくひっぱたいた。

「お前、冗談にしても度がすぎるぞ。俺が男色に走るワケねーだろ!」

「・・・ま、冷静に考えればそうよね。大学生活の4年間で、何人の女と付き合えるか挑戦って言ってた人が、男色に走る訳ないか」

「ったりめーだ」

「じゃあ何で、いつも美作さんと一緒にいるのよ」

「そりゃお前、一人よりもあきらと一緒にいる方が、イイ女が倍に集まるからに決まってんだろ。俺のファンとあきらのファンは、層が違うからな」

「「サイテー」」

「へっ?」

「自分の欲望の為に、美作さんをダシに使うんじゃないわよ!このエロ門」

「イジメに女タラシ。救いようがないアホやな。総くんを見る目が変わりそうやわ」

今すぐ座禅を組んで、煩悩を取っ払いなはれ。
何なら今、ここで坊主にしたろか。
頭サッパリして気持ちエエで?
ついでに得度もして、俗世から足を洗ったらどうや。
そうすれば世の女性達も、総くんの毒牙にかからんで済むし万々歳や。
冷ややかな目でそう言い放つノゾヤに、西門さんがタジタジになってる。

ははっ。イイ気味。
ノゾヤにこってり絞られてしまえ。
坊主にする際は、私がカミソリで剃ってやるわ。
・・・って、何よ!?その目は。
救いを求める様な目で、私を見ないでくれる?
美作さんをダシにして女の子を物色してた西門さんを、私が助ける訳ないでしょ。
仇は情けってヤツよ、西門さん。



〈あとがき〉

しつこい様ですが、この話は「あきつく」です。
あきら、いつ登場するのかしらん。



慕情残火(あきつく) 5

2020-05-03 19:37:00 | 慕情残火(あきつく)
ほんの数分か数秒か、自分ではよく分からなかったけども、兎にも角にも気を失っていたらしい。
器用に竹箒を持って、突っ立ったままの状態で。

「よくあんな姿勢で気を失えるよな。ある意味、器用すぎるだろ」

「ホンマやで。びっくりしたわ」

「・・・すんません」

気を失った私を本堂まで運んでくれたという西門さんと、そんな私を団扇であおいでくれてたらしいノゾヤの二人に、何と言葉を返せばいいのか分からぬまま、ただひたすら頭を下げた。

って言うかさ、あの場面で驚くのは当然じゃね!?
むしろ、驚くなって言う方が無理あるわ。
だってさ、ノゾヤと西門さんが親戚なんだよ!?
そんなの、誰が予想出来るって言うのさ。
万馬券を当てるより難しいわ。
と、心の中で悪態をついた私は、言い返したい気持ちをぐっと堪えながら、二人の会話に口を挟む事なく耳を傾けた。

「しょこチャンが兵庫県内にある国立大に入学した事は、伯父さんから聞いて知ってたけど、まさかそこに牧野もいただなんてな」

「牧野含めた私達4人、同じ学部やねん」

「で、意気投合して今に至るってか?」

「せやな。長い夏休み、バイトばっかりの生活も嫌やんか。せやから、実家にみんな呼んだんや」

「へぇ~」

「うっかり来られても困るから、オトンには前もって予定を伝えてあったのに、何で来よるねん。しかも、総くんまで一緒に」

「まあまあ。伯父さん、しょこチャンの友達に挨拶したかったんだよ。娘をよろしくってな」

親バカな伯父さんらしいじゃん。
許してやれよとノゾヤを宥(なだ)める西門さんの目が、何だかいやに優しくて温かみがある事に気付いた。
何て言うか、愛情に満ち溢れてるって感じ?
ノゾヤが大事で大切で仕方ないって訴えてるかの様な、そんな瞳をしてるのよね、西門さん。
端から見てるこちらの方が、思わず照れちゃうくらいの、胸がキュンとする様な眼差し。
誰に対しても一線引いて、少し冷めた目で接する西門さんにしては、珍しいんじゃないのかな。
今のこの姿は。
・・・って。
・・・はっ!
もしかして!?
もしかしてもしかすると、西門さんって───

「西門さんって、ノゾヤが好きなの?」

いとことしてじゃなく、一人の女性として。
ああああ愛しちゃってんじゃない!?
でしょ?そうだよね。
じゃなけりゃ、そんな瞳でノゾヤを見ないでしょと興奮気味に話す私に向かって、

「脳ミソ湧いてんじゃねーの?病院行ってこい」

「暑さで頭、イカれたんちゃうか?」

どぎつい言葉をお見舞いしてきた。
しかも、憐憫溢れる目でこちらを見ながら。

ちょっとちょっと、随分と失礼しちゃうわね。
二人して酷くない!?
と、抗議する私に対し、嫌味ったらしく溜息を吐いた西門さんが言葉を放った。

「あのなぁ、身内に対して恋愛感情を抱くワケねーだろ」

「え~・・・でもさぁ~」

「俺にとってしょこチャンは、姉のようであり妹のようでもあり、まぁ一言で言えば、実の親や兄弟よりも信頼してるし心を許してるってトコかな」

「全然一言じゃないじゃん」

「うっせーな。人の揚げ足を取ってんじゃねーよ。バカ牧野」

「何ですって!?」

「まあまあ二人とも、少し落ち着いて」

ヒートアップしてきた私と西門さんを宥めようと、慌ててノゾヤが間に入り事なきを得た。
そう言えば、いつも西門さんとは売り言葉に買い言葉的なやり取りをしちゃうのよね。
不思議な事に、大概こんな状態になっちゃうの。
何かこの感覚、すごく懐かしいなと一人悦に入る私を他所に、西門さんがノゾヤとの関係について話してくれた。

「小さい時さ、体が弱かったんだよ。で、それを心配した伯父さんが『静養するならここがいい』って言って、俺をこの寺に預けたんだ」

「体が弱い?西門さんが?」

「ああ。すぐ熱を出してぶっ倒れたりしてな」

「虚弱体質だったんだね」

「まぁな。だけど、この寺に預けられて心身共に鍛えられてさ。お陰ですっかり元気になっちまった」

そう話す西門さんの表情が、ふっと和らいだ。
多分、その当時を懐古してるんだろうな。
なんて思いながら、次なる言葉を待った。

「薄々気付いてるだろうけど、肉親の情が希薄でさ、俺んトコ。ここで静養してる時も見舞いどころか、気遣いの電話一本すらありゃしねぇ」

「・・・」

「今なら別にどうって事ねぇけど、さすがに当時は心細くて淋しかったさ。何で両親は会いに来てくれないんだ、電話してこないんだ、俺は見捨てられたのかって」

「・・・うん」

「そんな俺に、ずっと寄り添って励ましてくれたのが、しょこチャンとしょこチャンの叔父さん、そして、仕事が休みの日には必ず会いに来てくれた伯父さんだけだったよ」

そんな俺が、伯父さんやしょこチャンの叔父さんを父親のように、しょこチャンを姉や妹のように慕うのは至極当然の事だろと話す西門さんの顔は、どことなく淋しげで、それでいてどこか誇らしげだった。
そっか。
お金持ちで何不自由ない暮らしをしてるものだとばかり思ってたけど、蓋を開けてみれば実情なんて案外、こんなものかもしれないなと思った。

「ウチのオトンな、本来なら西門流の跡を継ぐはずだったんよ。けど、ウチのオカンと結婚する言うて家元の座を放棄してな。弟にあたる総くんのお父さんに後を託して、家を出たんや」

「・・・ノゾヤ」

「ま、湿っぽい話はこのくらいにしておこうか。ところでお二人さんは、どこで知り合うたん?どんな関係やの」

「はっ?」

どんな関係って、そんなの単なる先輩と後輩に決まってる。
それ以上でも以下でもない。
ま、敢えて言うなら、

「信じられないくらいのイジメを受けた。しかも、自分の手を汚さず、他人に私をイジメるよう指示してさ。だから、私と西門さんの関係は、イジメする側される側ってヤツよ」

「ま、牧野!?」

「イジメ?総くんが牧野を?」

「そう!ほら、前に話したじゃん。学園を牛耳るF4って連中がいたって」

「あ~!あのクズ4人組の話?」

「そう!」

「そうって・・・ちょっと総くん!まさか総くんが、そのF4のうちの一人なん!?」

「そ、そうだけど違う!イジメを指示したのは俺じゃねえって」

あれは司が勝手に暴走しただけで、俺は関知してないって必死に言い訳してるけど、私からしたら同じ穴の狢(むじな)だっつーの。
ふん!いい気味。
ノゾヤにしっかり叱られてしまえ。

「総くんがクズ軍団の一人だなんて、情けなくて涙が出るわ。ショックだわ」

「クズクズ連呼すんな」

「だって、クズやんか。何もかもが」

「あのなぁ、そんなクズ軍団の一人であるあきらを好きな牧野の立場は、どうなるんだよ」

・・・。
・・・・・・えっ?
ええーーっ!?
ななな何ですって!?
今、何と仰いました?

「に、西門さん。今、サラッと言い流してたけど・・・」

「あ?お前があきらに惚れてるって話か。そんなのはみんな知ってるぜ?お前の気持ちに気付いてないのは、当の本人であるあきらだけじゃね?」

バレてるー!
美作さんが好きだって気持ち、バレてるよー!

「おい、牧野!?」

「あ。また白目むいて意識飛ばしよった」

再び、私の頭はパンクした。



〈あとがき〉

総ちゃんの方が目立ってますが、この話は紛れもなく『あきつく』です。
書いてる本人も、時々忘れがちになりますが(笑)






慕情残火(あきつく) 4

2020-04-27 22:26:54 | 慕情残火(あきつく)
「私の実家、お寺やねん。静かな田舎にあるんやけど、よかったら泊まりに来ぃへん?」

ノゾヤのこの発言により、私達仲良し四人組の夏休み計画が決まった。
正に、渡りに舟。
金銭的に余裕がない私と難波、そして、比較的余裕のあるノゾヤと山科の間で少し揉めてたんだよね。
旅先をどこにするか、予算をどうするのかって。
だから、ノゾヤのこの申し出は本当にありがたかった。
だって、宿泊費はタダだし、交通費もそれほどかからないし。
おまけに、ノゾヤの実家であるお寺は、京都に隣接してると言うし。
きっと、それなりの名刹に違いない。
京都やその周辺地域には、観光名所となっている寺院が沢山あるのだから。
多分、ノゾヤの実家もそうなんだろう。
そう勝手に思い込み、期待で胸を膨らませながらノゾヤの実家にお邪魔したんだけども───

「・・・えっと、ここ?ノゾヤの実家であるお寺って」

「良く言えば、風光明媚な場所・・・なんだけどね」

「おどろおどろしい雰囲気やな。竹林に囲まれた廃寺みたい。聞こえてくるのはカエルや虫の鳴き声と、幽霊のすすり泣く声くらいじゃない?」

「ここが実家や、牧野。自然の多い所に行きたい言うてたやん、難波。廃寺ちゃう!単なる貧乏寺や、山科」

いや、その、まあ・・・うん。
ちょっと想像してたのと違っただけで、決して「幽霊の一匹か二匹、住み着いてそうだな」なんて、思ってても口にはしないよ。
少なくとも私は・・・だけど。


「さ、早う中に入ろ。夕食(ゆうげ)の用意も出来てる頃やから」

「「「賛成!」」」

お寺の外観に尻込みしてたけど、そこはやっぱり色気より食い気が先行する私達。
待ってましたとばかりにノゾヤの言葉に食いついた私達は、先導する彼女に続いて棟門と呼ばれる門をくぐり、足取り軽く敷地内へとお邪魔した。
そして、美味しい精進料理を食し、お風呂を頂き、布団を敷いて一息ついたところで、ここに来た時から疑問に思っている事をノゾヤに訊ねた。

「失礼な言い方だけどさ、正直言ってノゾヤの実家、それなりに古いじゃん」

「せやな。檀家さんも二軒だけの貧乏寺では、修繕費を賄うのにも苦労するしな」

「けどさ、ノゾヤが大学近くで一人暮らししてるマンションって、家賃高そうじゃん」

「まあ、実際高いと思うで?」

「どうやってお金を捻出してんの!?」

本当に失礼な話だけど、あのマンションに住めるほどの財力がノゾヤにあるとは到底思えないのよね。
それなのに何故、オートロック完備の2LDKの高級マンションに住めるのかしら。
そんな不躾な事を訊ねる私に、ノゾヤは顔色一つ変えずに答えてくれた。

「私が5歳の時、オカンが病死したんよ。ほんで、オカンの実家であるこのお寺に引き取られたんや。で、オカンの弟であり私の叔父にあたるここの住職が、我が子同様に育ててくれたって訳や」

「何かゴメン。悪い事を聞いちゃって」

「気にせんでええよ。で、話の続きやけど、何で私があのマンションで生活出来るかと言うと───」

「まさかの援交?」

「ちゃうわ!山科のアホンダラ」

湿っぽい空気になったのを嫌ったのか、山科がチャチャを入れたんだけど、今は黙っててくれる?
話が先に進まないからさ。
そんな意味合いを含む視線で山科を制した私は、ノゾヤに話の先を促した。

「私の養育費やその他諸々の費用は、オトンが全部、面倒をみてくれてるんや」

「オトンって・・・お父さんの事?」

「せやで」

「何もかもをお父さんが?」

「せやな」

じゃあ、お父さんがお金持ちで色々と支援してくれてるんだねと、明け透けな事を言う私に対し、ノゾヤは苦笑いを浮かべながら一つ頷いた。

「様々な事情があって母方の実家に身を寄せてるけど、それでも何かとオトンとは顔を合わせてるで!?オトンと叔父さんが、親友同士の間柄っていうのもあるけどな」

「へぇ~。じゃあ、それなりにお父さんとは会ってるんだ。ノゾヤ、可愛がられてるね」

「暑苦しいくらいにな」

さも迷惑そうな顔をしてそんな事を言うけど、本当は嬉しいんだろうなというのは、声のトーンで分かる。
だから、そんな優しそうなお父さんに一度会ってみたいなと口にしたんだけど、まさかそのお父さんに早々会う事になろうとは夢にも思わなかった。
しかも、予想外の人物と一緒に。

それは、思いもかけぬ事だった。
ノゾヤからお父さんの話を聞いた翌日の朝、お勤めをし、朝食(あさげ)を頂き、さあ掃除をするぞと気合いを入れて竹箒を手にしたその瞬間、

「あれ?ひょっとして君は、頌子(しょうこ)ちゃんのお友達かな?」

「・・・えっ?もしかして牧野か!?」

聞きなれない男性の声と、確実に何処かで聞いた事のある声が、私の背後から聞こえてきた。
何だか嫌な予感がする。
そこはかとなく、マズイ展開になりそうな気がする。
出来る事なら振り返らず、このまま逃げ去りたい。
振り返ってはダメだと、頭の中で警鐘が鳴り響く。
しかし、ここで無視をするのは人としてどうかと思うし、仏様の前でそんな無礼な真似が出来る訳ない。
だから私は覚悟を決め、恐る恐る後ろを振り返った。
すると、目に飛び込んできたのは、

「やっぱり牧野じゃねーか。作務衣なんか着て何してんだよ!?ここで」

「げぇー!にににに西門さん!?」

仏の道とは対極的な、相変わらずチャラい雰囲気を身にまとう西門さんの姿だった。

「なっ、どっ、うえっ!?」

「おいおい、日本語になってねーぞ」

「どどどどーして西門さんがここに!?」

「そりゃ、こっちのセリフだっての」

「なななな何でいるのー!!」

頭の中は真っ白。
軽いパニック。
だってそうでしょ!?
あり得ない人物があり得ない場所にいるんだから。
何がどうして、どうなったらこうなったのか、皆目分からず茫然とするしかない私に、救いの手を差し伸べてくれる人が現れた。
何て事はない、私達をこのお寺に招待した張本人であるノゾヤだ。

「大きい声出して、何を騒いどんねん」

「あ、ノゾヤ!」

「何かあったん───」

「頌子ちゃん!パパだよ~会いたかったよ~」

「えっ!オトン!?」

「よっ!しょこチャン、久しぶり」

「ええっ!?総くんまで!?」

「オトン!?総くん!?」

な、ど、どういう事なの。
何がおこってるの。
えっ?この渋い男性が、ノゾヤのお父さんなの!?
で、総くんって・・・何?
ノゾヤと西門さん、顔見知りなの!?
という声なき声を上げた私に気付いたのか、ノゾヤが気まずそうな顔で答えてくれた。

「このオッチャンが私のオトンで、隣にいる総くんは私のいとこやねん」

「・・・いとこ?」

「うん。オトンの弟の息子が、総くんなんや。せやから、私とはいとこの関係になるんや」

つまり、ノゾヤのお父さんは西門姓で、あの西門流の血縁者という事になり、となると当然、ノゾヤにも西門の血が流れていて───

「お嬢さん、大丈夫かい!?」

「おい、牧野!?」

「あ。白目むいて意識飛ばしよった」

私の頭は、完全にパンクした。



〈あとがき〉

あきつく話のはずなのに、あきらは登場せず。
変わりに総ちゃんが登場しちゃいました。

美作家と難波家が親戚。
西門家と乃疏屋家が親戚。

さあ、どうする!?つくし(笑)