ろうげつ

花より男子&有閑倶楽部の二次小説ブログ。CP :あきつく、魅悠メイン。そういった類いが苦手な方はご退室願います。

若宗匠の懐刀(総+つく)後篇

2022-01-02 02:01:00 | 短篇(花より男子)
※下品な会話が出てまいります。
苦手な方は回れ右でお願いします。
なお、読まれた後の苦情は受付不可ですのであしからず。





「にぃ〜しぃ〜くぅあどぉぉ〜!おんどりゃワレェ〜どういうつもりじゃあああ〜コラァァ〜!!」

「ななな何だ!?」

二軒目に訪れたクラブで見事、若宗匠を見つけ出した牧野様に私は感動しました。
流石、流石でございます。
若宗匠の行動パターンや行きつけの店など、ちゃんと把握されているんですね。
司様やあきら様、類様が「牧野に聞け」と口を揃えて仰っしゃられた意味が今、分かりました。

「このボケ、カスゥ〜!どういうつもりじゃ」

「どういうもこういうもお前、口が悪すぎるぞ。つうか、個室のドアを蹴破るな。凶暴すぎるだろ。どうすんだコレ、ドア壊れてんぞ」

「そんなの決まってんでしょ!アンタが弁償するのよ」

「何で俺!?壊したのは牧野だろ。俺は関係ねぇ」

「関係ないワケないでしょ!アンタのせいでしょうが」

「はぁ?」

「はぁ?じゃないっつーの。大事な茶会を明日に控えてんのに、フラフラ夜遊びしてるアンタのせいだっつってんの。可哀想にアンタの秘書さん、「若宗匠の居場所を探して下さい」って、私に泣きついてきたのよ!?」

いや、あの、泣きついてはいません。
泣き言めいた発言はしましたけれども。
と、反論したいところをジッと堪え、お二人の成りゆきを見守ります。

「そっちの事情は分かった。けど、俺の事情は?分かってんの?」

「アンタの事情?・・・って何よ」

「お前、この状態を見て何も思わないワケ?勤労処女とは言え、ニブすぎるだろ」

「ナイスバディなオネーサンが、半裸状態でアンタに跨ってるだけでしょーが。そんなのどーでもいいわ。こっちはねぇ、こんな夜更けに下半身が病気なアンタを探す羽目になって、とんだ迷惑被(こうむ)ってんのよ。さっさとサクッと終わらせて、秘書さんと一緒に家に帰れ!このスカポンタン!」

す、凄いです、牧野様。
その・・・何と言うか、営みの最中であろう若宗匠を正視出来るんですから。
並の心臓をお持ちじゃないですね。肝が据わってます。
私なんて、目の遣りどころがなくて困っておりますのに・・・流石です!牧野様。

「あと何分で終わるの!?つうか、今すぐフィニッシュして。ほら、早く」

「出来るかー!」

「そっ。じゃ、オネーサンから離れてチャッチャと服を着てちょうだい。で、続きは明日の茶会が終わってからドウゾ。て言うかさ、大事な茶会を控えてるのによくこんな事できるよね。性欲を抑えきれず欲望の赴くまま行動するって、何かの病気じゃない!?自分の欲に忠実すぎるのってどうよ。そんなんで家元になれるの?もう破門じゃね?」

「お前・・・処女のくせして恥じらいはないのか!?何で冷静に説教できるんだよ」

「アンタと違って、まともな人間だからに決まってんでしょ」

「お前のドコがまともなんだよ。立派な異常者だ!つうか、何でお前が俺の秘書と一緒にいるんだよ」

「秘書さんがアンタの居場所を教えてくれって言うから仕方なく」

「何で牧野に?」

「そんなの知らないわよ!アイツらに聞いてよ」

「アイツら?」

「美作、花沢、道明寺の三バカの事に決まってんでしょ!?バカの大親分」

「誰がバカの大親分だ!」

「アンタ以外に誰がいるってのよ!何で私がそんなバカの大親分のお目付け役をやらなきゃなんないの。なぁぁぁ〜んの関係もありゃしないのに。それをあの三バカ・・・かぁぁ~腹立つ」

「おいおい、よく思い出せ。俺達、何の関係もない仲とは言えねぇだろ」

「はぁぁ〜!?」

「お前が国立大学を受験するって言い出した時、ボンビーなお前の為に誰が家庭教師役を買って出たっけ?貴重な時間を割いてまで問題集を手作りし、ボランティアで受験勉強に付き合ってやった、心が広くて優しい男は誰だったっけなぁ〜!?」

「ぐっ!そ、それとこれとは別でしょ」

「カァ〜!随分と都合がいい事で」

「うっさい!」

あの〜お二人とも、周りの状況が目に入ってます?
ここ、VIP客用の個室とは言え、人目にはつくんですけど。
この騒ぎで数人の従業員が駆けつけて来ちゃったんですけど。
そして、若宗匠に跨ってた女性もこの騒ぎに乗じて、さりげなく消えちゃったんですけど。
て言うか牧野様、人知れず若宗匠を連れ帰るという作戦が見事に失敗ぶっこいちゃってますけど!?
これじゃあいずれ、家元のお耳にも入っちゃいますよ。
と、なれば、若宗匠と私は大目玉を喰らう訳でありまして・・・。
その辺り、分かってますかね?
分かって・・・ないだろうなぁ。
絶対、失念してるだろうなぁ。
と、言う訳で若宗匠、仲良く家元から説教喰らいましょうね。逃しませんよ!?


《あとがき》

コメディ系が書きたくなったので、衝動的に描いてしまいました。
コメディだとやはり、この二人が一番書きやすいです。
需要があるか分かりませんが、おまけ的な話を書いてアップする予定です。


若宗匠の懐刀(総+つく)前篇

2022-01-01 01:11:00 | 短篇(花より男子)
私がお仕えする西門流の若宗匠は、半端なくモテる。
想像を絶するほどのモテ具合なのだ。
何せ若宗匠は、美形でスタイル抜群で頭脳明晰でお金持ちで家柄も良くて愛想も良い。
だから当然、女性陣が放っておかない。
ワンナイトラブでもいいからお相手願おうと、女性達が若宗匠の周りをウロウロする。
となれば、どうなるかは火を見るより明らか。
据え膳食わぬは男の恥とばかりに、アッチへフラフラ、コッチへフラフラとして日に日に女遊びが激しくなっていく。

そしてある日の事、ついに若宗匠はやらかしてしまう。
大事な茶会を翌日に控え、事もあろうに夜の街へと繰りだしてしまったのだ。
流石にこれはマズい。
こんな事が家元にバレたら、叱責を浴びるだけではなく三日三晩、説教を喰らう羽目になるだろう。
若宗匠も、若宗匠のお目付け役である私も。
まあ、それだけで済むのならまだいい。
宗家だけの話として、内々に処理すればいいのだから。
一番厄介なのは、一門衆や後援会や門弟にバレた時だ。
大事な茶会を前に遊び惚けていたと知られたら、叱責どころの騒ぎではなくなる。
示しがつかないどころか、下手をすればそっぽを向かれ、若宗匠を返上しなくてはならなくなる・・・かもしれない。
そう思い至った私は若宗匠の居所を掴むべく、一人の女性の元へと駆けつけた。


「いや、あの、何で私に聞くんですか?私は西門さんの彼女でもなければ、友達でもありません。単なる後輩です。しかも、大学は別々だし余計に接点は少ないです。なので当然、西門さんの居場所なんて知りませんよ」

「えっ!?あ、いえ、あきら様に若宗匠の居所を尋ねたんですが、『生憎と俺は知らない。牧野なら知ってるかもな』と言われたものですから」

「はぁぁ!?」

「とは言え、いきなり牧野様を訪ねても、牧野様が面食らってしまうと思い、道明寺財閥の司様に若宗匠の行方を尋ねてみました」

「・・・既に面食らってますけど」

「司様のオーラに圧倒されそうになりましたが、それでも私は勇気をふり絞って窺(うかが)ったんです」

「・・・スルーかい!」

「そうしましたら『牧野に聞け!』と一喝されまして」

「あぁん!?」

「もっと粘ろうかと思いましたが、取り付く島もない状態でして。ですが、立ち止まる訳には参りません。若宗匠不在を家元に知られる前に、是が非でも見つけ出さなければ。ですので、一縷(いちる)の望みをかけ、花沢類様に尋ねました。そうしましたら・・・」

「そうしましたら?」

「類様は『俺が総二郎の居場所を知ってる訳ないだろ?そんなの、牧野に任せておけばいいんだよ』と、仰っしゃられまして」

「あンのヤロー・・・」

「と、言う訳で牧野様、後生ですから若宗匠の居場所を教えて下さい。でないと、私も若宗匠も大目玉を食らってしまいます。下手すればお家騒動になるやもしれません。お願いですから助けて下さい」

「ですから、何で私!?先程も言った通り、私と西門さんとの間にはなんっっっにもありません。ええ、ええ、それは見事なまでに何っっっひとつもありません。ぺんぺん草一つ生えないくらい真っさらなもんです。そんな私が、西門さんの居場所を知る訳ないじゃないですか」

「ですが、あきら様や司様、類様は口を揃えて牧野様に聞けと・・・」

「アイツら・・・鏖魔(みなごろし)にしてやろうか」

「はっ?」

「いえ、こちらの話です。兎に角、私はアイツらとは何の関係もありませんから」

「そんな後生な!お願いですから、お力を貸して下さい。若宗匠がいそうな所を教えて下さい。私にはもう、牧野様を頼るしか道がないんです」

「何でやねん!」

何でやねんと言われても、意味不明だとボヤかれても、私は諦めませんから。
頼みの綱は牧野様、あなたしかいないんですから。
貴女様は私にとって救いの神なのですから。