ハナウマ・ブログ

'00年代「ハワイ、ガイドブックに載らない情報」で一世を風靡した?花馬米(はなうま・べい)のブログです。

やっぱりサイゼリヤが好き

2020年04月06日 | グルメ

もろにインスタ女子のようなタイトルだが、高いコストパフォーマンスでイタリアンを食べるなら、やはりサイゼリヤだ。 逆に、飲食事業者の収益モデルに付き合う気ならフランチャイズ・チェーンの店で食事するのも面白いかもしれない。

あるフランチャイズのイタリアンレストラン

先日、郊外の私鉄駅前にあるイタリアンレストランに入ってみた。完成して間もないらしい、きれいな駅直結ビルの中にあるその店は、時々見かける名前でもあり、そのことだけで自分勝手に「まぁ、そう間違いはないだろう」と入ってみた。
しかし、それが間違いの始まりであった。

メニューがかなり見にくい

案内された席に座る。
カジュアルな感じのレストランでもあり、壁沿いのロングシートに沿って小さなテーブルと椅子を並べた、よくあるパターンの作りだ。客の人数によって配置を変えられるので合理的でもある。

見るとテーブルの上にはA3サイズのメニューが置いてある。すべてのメニューがこのラミネート加工されたA3サイズの表と裏にずらりと書かれている。
それにしても異様に文字が小さい。ポイント数でいえば10ポイントに満たないだろう。しかも明朝体のような細いフォントデザインである。

確かに高齢者が入るような店ではないとは思うが、契約約款じゃあるまいし、もう少し見やすく工夫してもよいのではないか。これではレストランのメニューというより「書類・資料」である。

そう思いながらメニューを見ていると、係の若い女性が荷物を入れるためのバスケットを持ってきてくれた。
「お水はセルフ・サービスになっておりますので...」
といって、すぐそばのドリンクバーコーナーを指し示した。

店内にいながらインターネットで注文

女性の説明によるとこの店では、注文は店員に声をかけるのではなく、客がスマートフォンから送信するようになっているとのこと。
まずはテーブル上のQRコードを客のスマートフォンで読み取ってもらい、特定のウェブサイト(ホームページ)にアクセスしてもらう。表示されるページは、「そのテーブル専用の」注文画面である。

先進的で面白い感じはするのだが、料理や飲み物のメニューが豊富な分、私の5.2インチ画面(一般的な本体サイズ)での操作は、それなりに複雑になってしまう。
まずスクロール量が多い。それゆえ携帯電話の回線状況によっては表示遅れが発生する。そしてこのページが何枚も重なっているため、「タブ」を選択して切り替えなければならない。さらに数量選択ボタンも小さく、全体的に上手に、慎重に操作しないとお客自身がミスオーダーしてしまいそうだ。

最後に確認画面で確認して「送信」ボタンを押す。
ということは、もし操作ミスや勘違いがあったとしても客側の責任だと主張できる仕組みだ。たとえばグラスを2個と入力したつもりが、ワインを2つ頼んだことになってしまった場合、店舗としてはどう対応するのだろうか。

それはさておき、入力した注文情報は携帯電話ネットワークとインターネットを経由して、おそらくはクラウドシステムに登録され、同時に店舗の厨房に調理指示が流れているのだろう。

こうやっていて気づくのは、同じように客が情報端末でオーダーする方式でも、店側がすでにタブレット端末を準備している形態も従来からあるということだ。個人的にはそのほうがやりやすいと感じる。なんといっても端末が物理的に大きいので、写真付きの画面デザインも見やすく、指での操作もしやすいからだ。

さらに通信については、外部ネットワークを使わず店内だけで完結するネットワークで構成されていることが多く、レスポンスの面でも優れている(データはデイリーで本部へ送っているのかもしれない)。

ただ店舗側の視点でいえば、不特定多数の来店客が同じ端末を「触りまくる」ということについては衛生管理上の不安があるはずだ。そういえば、ある回転ずしチェーンでは専用端末のシステムと合わせ、布製のちゃんとしたお絞りを提供していた。この店にはそれも無いようだ。

話を戻すと、各店舗の各テーブルから瞬時に注文情報がデータセンターに集まれば、特に多数の店舗を運営しているような事業者の場合は、デイリーで情報を受け取るよりもデータの利用価値は格段に高くなる。
収集されるデータは適正仕入れや在庫をコントロールするためだけでなく、どの店舗で何時ごろ、何歳代の客が何人連れで、何を注文した、といったようなPOS的分析も可能である。さらにAI連携させていればビジネスの可能性は広がるだろう。少々うがった見方をすれば、客のスマホに何らかの情報(Cookieなど)を残していくことも可能かもしれない。

ドリンク類の提供方法が説明されずわかりにくい

  • スパゲッティ(1つ)
  • ペンネ(1つ)
  • デキャンタのワイン(1つ)
  • ホット・コーヒー(1つ)

を、なんとか自分のスマホで注文した(2名で入店している)。 すぐに厨房のほうからサイン音が聞こえてきた。調理指示データが入ってきたのだろう。送信ボタンを押して5秒とかからなかったように思う(まぁ、そこまで早くなくともいいのだけれど…)。

私はワインを飲むが、もうひとり(私の老母だ)はホット・コーヒーにした。
店内にはコーヒーやジュース類のマシンが並んだコーナーがある。スープやサラダなども並ぶ、よくあるパターンだ。さっき私がセルフ・サービスで水を持ってきたのも同じこの一画だ。
A3サイズの「小文字」のメニューを詳細に確認したが、コーヒーは税抜き330円で、お替り自由ではないらしい。そう思いながらそのマシンでコーヒーを入れ席に戻る。
そういえばメニューには、暗に一つの料理をシェアして食べることを禁じているような文が載っている。あれ?イタリアン・レストランってシェアしてワイワイ食べるのも特徴ではなかったか?

しばらくすると、女性が「お待たせしました」といってホット・コーヒーを持ってきた。
ん?
どうやら、スマホで注文するコーヒーと、自分でマシンを操作するコーヒーは「システム的に」別ということらしい。
女性に確認するとコーヒーそのものは全く同じものだそうだ。せっかくだが自分が入れたコーヒーをすでに飲み始めているので、持ってきてもらったコーヒーは戻してもらい、テーブル上にあるほうを「スマホ注文のコーヒー」としてもらう。

顧客満足度が低い?

私のペンネと母のスパゲッティが運ばれてきた。
うん、普通においしい。
しかし敢えて言えばパスタ皿の下には「受け」の皿はない。ランチョンマットも敷き紙もない。テーブルクロスもかかっていないテーブルの上に、パスタ皿がトンと置かれているだけである。
さらに言えばトレー(お盆)で持ってきてくれるのではなく、パスタ皿を直接手で持ってきてくれている。
後で示すそれなりの価格と比べると、提供方法がかなりアンバランスに感じる。

システマチックな厨房

なんとなく釈然としない気分で、スマホ上の「会計」ボタンを押す。 ほどなく女性が伝票を持ってきた。うーむ。

レジに向かいながら厨房を見てみたが、なんとなくわかったような気がしてきた。 狭い店舗面積に、つまり狭い厨房に、システマチックな厨房設備、什器類が並び、20代と思われる若い料理人?が数人立っている。
立ち食いそば店などで見かける、湯切り用の「てぼ」が並んでいる様子もチラッと見えた。

そういえば思い出した。
10年ほど前にこんな話を聞いたことがある。
そこは赤坂にある、葉巻さえ吸っても構わないラウンジで、酒や食事も提供してくれる場所だった。ちなみに私は大の嫌煙家だが、そのラウンジは徹底した空調設備があるためか苦にはならなかった。
そこで注文した(そんな場所の割にはけっこういける)スパゲッティを食べながら、あるメディア・プロデューサーが言っていたのは、
「じつは今どきパスタ類は、システムさえ完備すればかなり美味しいものをアルバイト従業員で簡単に提供できる。職人は不要」という話だ。

レジに伝票を出す。あれ?
そういえば、注文はスマホだけれど支払いはスマホで「○○ペイ」、みたいにはできないんだな。

一人前?の価格設定

「一人前」とはひとり分という意味ではない。「一人前の価格設定」とは、気軽に利用できる価格ではなく、一定の水準のレストランであることを期待させる価格という意味だ。

厨房設備や注文がシステマチックになっているということは、そのぶん現場の人間力には期待していないということにもつながる。
もちろん、お店の営業スタイルやルールを客に理解してもらい、これに従ってもらうことも必要となる。それでも価格が安ければお客は納得できるだろう。

顧客満足度と店舗の収益力は相反することなのかもしれないが、そうだとすればこの店(フランチャイザー)は、収益力を優先させる哲学なのだろう。

この店はそもそも、イタリア帰りのシェフが開いた一軒のイタリアンレストランから始まったらしい。それがある資本に支えられ、フランチャイズ・チェーンとして展開を始めたようだ。

ビジネスである以上、収益力は基本中の基本だ。
しかし、イタリアから帰国後、さぁこれからというときに夭折した無念の創業者は、現在のフランチャイズ・チェーンを見てどう思っているだろうか。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「兵庫vs大阪」は、「団塊世... | トップ | 新型コロナ、社会機能を維持... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。