まともな人が、おかしな人間の行為によって傷つけられる事件(や事故)が目立ってきています。本稿では、「あおり運転」に代表されるような危険運転について考えるとともに、そういったおかしな人間から自分たちを守るすべを提示したいと思います。
なお、本稿では上記のようなおかしな人間を敢えて「バカ」と記述することをお許しください。
バカの幼児心理
結論から言ってしまえば、バカは恐るべき幼い心理構造でこの社会に生きているということです。
バカが自動車を運転しているとき、「あること」が起きると無意味な行動をとったり危険な運転を始めたりします。
その「あること」とは、運転中に出くわした何らかの出来事を「オレは馬鹿にされたんだ」とか、「オレは損をさせられたんだ」と感じてしまうことです。
そしてその直後に、「バカにされた分、報復をしなければならない」、「損をさせられた分、取り返さなければならない」、「アイツが間違っていることをわからせてやらねばならない」と考え、これを危険運転で実行するのです。
こういった、小学生低学年にも劣る幼い心理構造、思考パターンで自動車を運転しているということが、そもそもの問題なのだと考えています。
もちろん運転免許証は心理的に幼い人物にも、一定の要件をクリアすれば交付され、更新されます。したがってあなたが自動車を運転する際には、こういった心理的に幼いバカも、自分の車の周りにある程度は存在しているということを意識しておく必要があります。
なお、バカは常にバカな人間であるとは限らず、また外見上はまったく通常人にしか見えないこともしばしばです。あくまでも自動車運転時の心理傾向、思考傾向がバカかどうかという問題です。
バカとは距離をとる
ここでは、自分が歩行者や自転車ではなく、自動車を運転している状態であることを前提として考えます。
バカの運転する車から身を守る第1の原則は、「距離をとる」ということです。
これは人生全般にも通じるかもしれませんが、バカを相手にすることほどバカらしいことはありません。正常、冷静、論理的なコミュニケーションが成立しないバカを相手に、正常なあなたが時間や精神的エネルギーを割くことは、あなた自身がバカの仲間入りをしてしまうことにもなりかねません。
もしもあなたがバカに対して「お前のほうがどうかしている」といった姿勢をみせてしまうと、バカはますます燃え上がります。そしてあなたも「バカと勝負しようとするバカ」になってしまいます(もちろん損害が発生してしまったなら警察を呼んで法的処理をしなければなりませんが)。
具体的には、「バカに譲ってやる」「バカを先に行かせてやる」という心構えです。たとえば交通ルールとしてこちらに優先権があったとしても、状況をみきわめて譲ってしまうのです。つまり「バカと争うような姿勢は見せない」ということであり、「バカを相手にしない」という姿勢です。
そもそも、「どちらが優先か」ということに強いこだわりを持つのはバカの特徴でもあります。まともな大人であれば、どちらが優先かということよりも、トラブルを起こさずにやり過ごすことが何より大切なことだとわかっているはずです。これは自動車学校(自動車教習所)で読んだはずのテキストの冒頭にも載っていたはずです。
自分でも気を付けるべきこと
バカの運転する車から身を守る第2の原則は、「バカから自分(あなた)がどう見えているか」を意識するということです。交通違反やルール無視といった客観的なことではなく、「その時バカはどう感じるか」を意識するということです。
正常なあなたがバカの気持ちを考えるなんて、それこそバカらしいに違いありませんが、これもバカから身を守るためとお考え下さい。
バカは自分がバカにされることをもっとも嫌います。そしてバカにされたと感じると、直ちに怒りを爆発させ示威行動、報復行動に出ます。
本当はだれも彼のことをバカにしていないにもかかわらず、勝手に「バカにされた」と思い込み、「報復してやる」と考えてしまうところが困りものです。バカですから。
具体的には、自分(あなた)がとった行動(運転方法)が、彼にとって「バカにされた」と感じる行動になっていないかを意識します。
たとえば、あなたが片側2車線の歩道寄り車線(第1通行帯)を走行中、センターライン側の車線(第2通行帯)を走るクルマの後ろに「じゅうぶん安全な間隔」を確認して車線変更した場合、バカが後ろから急加速して追い上げてくることがあります。
もちろんあなたは第2通行帯のスピードを考慮し、円滑な流れを妨げないようにして、やや加速しながら車線変更しています。
これはどういうことかというと、バカははるか後方にいながら「あの車の後ろにつけよう」と考えてしまうと、もうそれ以降の状況変化にかかわりなく、「あの車の後ろはオレのポジションだ」と思い込んでしまうためです。
そこにあなたの車が車線変更して入ってくることは、バカにとっては「オレの場所を横取りした」「オレの計画を邪魔した」ということであり、これが即「わからせてやる」に短絡し、結果として危険運転を以てあなたに迫ってくるということになってしまうのです。
バカはたいてい思い込みが激しく、状況の変化をみきわめて考えを改めることはできません。
より具体的に
しかし、こういったことを四六時中考えながら運転するのは現実的ではありません。そこでバカ(が運転する車)を見分ける目が大切になってきます。俗っぽく言えば「ヤバそうな車」です。
以下はあくまでも「その傾向」が他と比較して強いと感じられる、という筆者の個人的感覚です。当然ながらここに列挙されているポイントを持っていたとしても、当てはまらない場合もあるわけです。
しかし複数のポイントが重なる場合はやはりじゅうぶんな注意が必要であると考えます。
【1/ 改造車】
通常人の感覚では理解しがたい、そして周囲から見てわかりやすい改造をしていたり、オプション品に凝っていたりする車。その改造等が違法なものであるかどうかはあまり関係がない。自動車を、道具としてではなく自己のアイデンティティーの象徴として考えている傾向が強い。
【2/ 極端に汚れた車、修理されていない車】
あまりにも汚れが目立つ車や、壊れた外装をずっと修理していないと思われる車。いうまでもなく、人や物を大切にする感覚が欠落している証拠。
【3/ フロントガラスなどが物で賑やかな車】
飾り物や守り札などでフロントガラスが賑やかな車。リアウィンドウ付近を飾るパターンや、運転席助手席に視界を遮るカーテンなどを付けるパターンもある。
これは心理的に幼いというよりも、運転時の視界確保を気にしていない、安全意識欠如のドライバーであることの証拠。
【4/ 待てない車】
ちょっとした「待ち時間」ができると直ちにイライラするというパターン。
これは信号待ちなどの時間というより、右左折する前車のために発生する待ち時間など、他者(他車)の行動によって発生する待ち時間にイラつくところがポイント。
ひどい場合は待ち時間を作り出している(まったく問題のない)車のドライバーに敵意さえ持つようになる。
また、その「待ち」が解消されたとたん、急加速するなどして何かを取り戻そうとする行動が見られる。
【5/ 無灯火などの車】
夜間やトンネルなどではヘッドライトを点灯しなければならないが、これをしていないドライバーは意外と多い。
もっとも問題なのは、スモール(車幅灯)さえ点けていない、まったくの無灯火の車だ。
ヘッドライトは、自分が外を見るためというよりも、周囲に自分の存在を知らせるために点けるということをわかっていないバカである(この点は自転車も同じだ)。
無灯火走行の車は、万一の事故の際に重い過失割合を負担させなければならない
なお、高級乗用車などでは夜間は基本的に点灯しっぱなしの状態となる仕様がある。「眩しいから消す」「感謝の気持ちを表すために一瞬ライトを消す」といった考え方は、特に外国車にはありえないので参考まで。
【6/ 東京23区「周辺」のナンバー】
東京23区の周辺地域のナンバー。
東京以外のナンバーということではなく、東京23区の「周辺地域」のナンバーというところがポイント。
当たり前だがすべての「周辺ナンバー」が問題であるわけはない。
しかしあなたが都内において運転する場合は、若年者が運転している車や上記で挙げたような車で「周辺ナンバー」をつけている場合は、特に気を付けておいたほうが無難だ。
都心から「やや」離れた地域の若者は、それから遠く離れた地域の若者と比較して、自分が「田舎者」として見られているとの思い込みやコンプレックスを抱いている場合が多く、東京に「バカにされたくない」という意識のあまり、危険運転をしがちである。
東京に近いが東京ではない、ということが却って「田舎度」を強く意識させているのかもしれない。
具体的には東京23区を走っている、東京23区以外の東京ナンバー、東京23区ではあるがその傾向が強い足立ナンバー、埼玉県(特に南部、東部)のナンバー、千葉県のナンバー、神奈川県のナンバー
【7/ 世田谷ナンバー、杉並ナンバー】
バカというのはちょっと酷だが、世田谷ナンバーの高級乗用車はなぜか運転が未熟だったり、その場の交通状況に無頓着だったりする場合が少なくない。ご存じの通り東京都世田谷区は高級住宅地域が多いことで有名である。
あくまで私見だが、経済的に余裕のある人が高級車に乗る場合、運転技術やそのマナーに問題があってもトラブルにつながりにくく、結果として世間の感覚からずれたまま車を運転し続けているものと思われる。たぶん悪意はないのだろうけれど、社会的配慮ができない(そんな感覚が必要ないほど金がある?)ドライバーが少なくないと感じる。
杉並ナンバーの乗用車もこれに準ずるような傾向を感じる。
【8/ 夜間の車】
これはもう自動車交通という枠を超えて、夜中に出歩いている人間の傾向と理解してもらって構わない。
夜になると、飲酒や酒気帯びのドライバー、薬物使用のドライバー、粗暴な人物、バカ、などの割合が昼間よりもグッと多くなる。昼の社会とは事情が異なることを留意しておきたい。