11月14日放送分のNHKの朝の連続テレビ小説「朝が来た」で、これはNGカットではないか、と思われる場面がありました。本当のところどうなのでしょう。
このドラマは、幕末から明治大正を生きた女性を中心に描かれているもので、物語の進行は現在、両替商の大店(おおだな)の奥様となっている主人公「あさ(女優:波瑠)」が、新しく買い取った九州の炭鉱を訪れているところです。
さて問題のカットは、あさを追いかけるようにして炭鉱にやってきた亭主の新次郎(玉木宏)が、帰ろうとして迎えの籠に乗り込んだ後です。
地面に降ろされた籠の中の亭主新次郎と、しゃがんで見送るあさは手を握り合います。そして名残惜しそうに、そっと離す。
その次のカットでは、籠の脇に立ち上がったあさを、下から仰ぐようにバストショットで狙っています。ここであさは、なにやら自分の足下を見てニヤけているのです。
いったい、この「ニヤけ」はなんだったのでしょうか。
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私には、芝居から素(す:演技していないスタンバイ状態)に戻った「ニヤけ」に見えました。
たとえば、あさ(波瑠)が、新次郎(玉木)の着物の裾を踏んづけていて、籠を持ち上げる芝居へスムーズに進めなかった、といったようなことです。そういえば波瑠がニヤけた時、少し後ずさりするような動きをしています。
どうも、予期していなかった事が起きてしまい、一瞬、素に戻ってニヤけてしまったとしか感じられないのであります。
もしそうだとしたら波瑠は「こりゃ、撮り直しだな」と思いつつも、とりあえずそのまま演技を続行したのかもしれません。
仮にこの「ニヤけ」に、芝居としての意味があるのだとしたら、足下での出来事を説明するカットが存在していなればなりませんが、そんなカットは無いようです。
だとすれば、「ニヤけカット」の後のリテイク(撮り直しカット)を採用すべきところ、誤ってNGカットをつないでオンエア用に仕上げてしまったのでしょうか。
まさか撮影時に、「ん~、まっ、いいやオッケー」といって、リテイクを省いてしまったなんてことはないでしょう。
いずれにしても、かなり雑な制作(特に編集とプレビューチェック)、であると感じてしまいます。
こう、穿(うが)った考え方を始めてしまうと、籠の脇にしゃがんで亭主の手を握るあさの笑顔も、亭主の新次郎を見送る妻の笑顔というより、笑いをこらえている波瑠の、吹き出す直前状態であるようにも見えて来ます。もしかしたら、この時のカットで波瑠の見つめる先には、玉木ではなく、助監督やADといったスタッフが、代役で座っている可能性も考えられます(撮影現場ではよくあることです)。
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平成27年前期のドラマが振るわなかった分、「あさが来た」は本も良く(脚本も良く)、期待を込めて見ている私ですが、ときどき制作の雑さ、稚拙さが見え隠れする印象があります。
さて、この「ニヤけ問題」。本当のところどうなのでしょうか。
これになんらかの演出意図があるのだとしたら、それはなんなのでしょう。お判りになる方がいらっしゃいましたら、教えてくださいまし。
★ちなみに私、石川県出身者としての立場?から、「まれ」をほぼ100%見てをりました...。