
人工の額縁の向こう
絶えずうつろい続けている
一幅の夏の絵画
まばたきふたつ前のこと
雲はまだ千切れずに
塊のまま 歩いていた
どこへ どこまで ゆくのだろう
(彼らは自由か、それとも不自由か?)
まばたきひとつ前のこと
誰かが色を足しているのだろうか
青い空は更に青を重ね、重ね、重ね、重ねて
いよいよ黒味を帯びている
(夏色よ はじめまして)
同じ空をどれだけの人が見ている
同じ色で空は頭上にあるのか
同じ時の中に共存している
違う姿をしたいのちの声を聴く
見下ろした地上に描かれた
数多のいのちのきらめきを
額縁の外から 太陽が見ている
まばたきも忘れて―