風船の紐を
握りしめる手のひら
やっとの思いで ほどいた
ひとつ
ふたつ
静かに遠ざかってゆく
たくさんの風船を 見送った
幾つも
いくつも
離れてゆく
幸せだとか 夢だとか
数多ある想い出 すべて
その度にわたしは 深く 俯いた
水たまりの中
彼方へ消えていった風船たちが
かすかに 映る
ああ
ずいぶん失くした
もう
かえってこない
二度と
手に入らない
大切な
たいせつな
宝物
ある日
風船を空に還した
（風ひとつ吹かないけれど）
行き場をなくした
手のひらが 想いが
ぶらぶらと 揺れていた