言葉喫茶【Only Once】

旅の途中で休憩中。

Today

2020-07-18 20:43:30 | 言葉

どこにでもある、ありふれた一日。途切れる事のないニュース。流
れおちてゆく時の砂。日々は緩やかに穏やかに。輪をなぞるように
今を生きる、今を歩く、朝を昼を夜を越える。


トーストを焼き
コーヒーをいれ
トマトを切って
テレビを消した
音の無い朝のBGMは
網戸から流れ込む自然の音
予定の無い今日という休日
何も無い朝を過ごした


コーヒーをいれて
ゆっくり飲み干して
葉擦れる音に耳を澄ませる
車が道行く音を聴く
風の現在地を窓際から目で追った
その他 何かをしようとは思わずに
流れおちる時の中に
腰かけるわたしは気ままな猫のようだ

朝と昼を
縫い合わせたのは誰だろう
いつ朝が終わって
いつから昼になったのか
わからないほど
丁寧に編まれた時の継ぎ目
終わりも始まりも
わからないままコーヒーを飲んだ
些末事 いいえ
大きな問題かもしれないが
今日は休日だから
朝も昼も
いつもとは違うスピード
かも
しれないし

しれ
ないし―


めざめて 暗転――…


夜です
昼に聴いた
サティのせい
もしくは夏のせい
いえいえこれは
休日だから などと
居眠りをした事に
辿々しい言い訳を積み重ねる
部屋の中は
いつの間にか時の砂だらけ
一日は時に加速するよね
いつ そうなるのかなんて
わからない
わからないから
楽しいね


人には調節ができない、そして予測もつかない緩急。掴みどころの
ないもの。それが休日の砂の流れ。緩やかに、穏やかに。ところに
よっては足早な、休日という日の過ごし方。使い古された言葉で以
て、今日という日を素描し、生きる。時の砂を鳴らし歩き続けて。





満ちた朝

2020-07-18 10:29:42 | 言葉



明るくなった部屋
緩やかに めざめて
ひんやりとした窓を開けると
生まれたばかりの澄んだ朝の匂いがした

他の家族が動き始めて二時間
やや出遅れたわたしは
わたしの一日を始めるために
のっそり起き上がる

目を細めながら

五枚切りの食パンをトーストする間
張り詰めていた糸が切れてゆく
ぷちん
ぱつん
ぷつん
一体何本の糸が切れたのか
キツネ色になった食パンの香りが
朝の匂いとまじり合う頃になって
からだの軋みに気が付いた

テレビもつけず
人工音の無い居間で
チーズトーストをかじると
サクッと軽い音がひびく

誰もいない朝は
庭先から流れ込む葉擦れの音や
小鳥たちのささやき
時の流れに乗って走る子供がはしゃぐ声
ゆっくり歩む秒針の足音で
小さな鼓膜が満たされていくから 好きだ

空っぽの自分が五感でヒタヒタになるから 大好きだ

休日の朝だけが
いま確かに満ちていると
特別なことをしなくても感じられる
唯一無二のひと時なのだ


コーヒーを流し込んで
今日も わたしが始まる

緩やかに 穏やかに 満ちみちて