言葉喫茶【Only Once】

旅の途中で休憩中。

ひとしく

2020-07-21 21:20:39 | 言葉






枯れた一輪の花のそばに
満開の花が隣り合っていた
同じ雨を浴びて
同じ風に揺れて

うまれて 生きて 死ぬ
では語れない
めぐり続ける
いのちの姿がそこに在った

花は枯れても花だ
人が人であるように
その姿は誰かの記憶に残るだろう
いのちの螺旋は語り継がれるだろう

花も人も
いつかは土に還るさだめ
切り離せない
出逢いと別れのレールを歩く

もしもわたしが
最期に種になれるとしたら
誰にも気づかれずに咲く
物言わぬ野花のそれがいい

同じ雨を浴びよう
同じ風に揺れよう
同じ時の中で
共に生きよう






    








うたう森

2020-07-21 14:37:04 | 言葉





太陽はただひとつだけ
おちてくる光は数知れず

見知らぬ土地の匂いがするのは
きっと南の風が強いからだ


みずみずしいいのち同士が
重なり合って じゃれ合って

さらさら しゃらら さわさわと
話すように歌っていた


時間も忘れて―――


音譜も歌詞も無い
生まれたてのうたに

耳を 心を
かたむけている