言葉喫茶【Only Once】

旅の途中で休憩中。

雨の中で

2020-07-16 21:02:04 | 言葉




雨に降られ
ずぶ濡れで
幸せだと笑いあう
ふたりを見ていた

直径六十センチの円の中から


穏やかな雨音
つめたい風の心地よさ
まあるい水滴が
くっきりとさせた光景

晴れの日では出逢えないワンシーン


雨を浴びてみたくなり
円の外に出て
降るものすべて
この身で受けとめた


雨が落ちて跳ねる音
芯まで濡れた土のにおい
遠くを走る車の気配
わたしが生きている音が
強く聴こえてくるから
いま 幸せだと 言いたい

(いつからだろう、わたしもまた、一輪の花であった。)














不自由と自由

2020-07-16 00:17:27 | 言葉



お前は
旅人を乗せて飛んでゆく
旅人

知らない街を見下ろし
知らない空を飛ぶ
お前を地上から羨んでいる

だが

たとえば
小さな町を歩くわたしが
気まぐれで行き先を変える事

そんな事が
お前にとっての
自由なのかもしれない

鳥も
風も
川も
海も
雲も

お前も
誰かも
わたしでさえも

日々
不自由と自由を往き来する
旅人なのだ


その気になれば
チケットが無くても
そのからだとこころで どこまででもゆける


今日もわたしは
遥か頭上の世界をゆく
お前が残した足跡を眺めている