薄い膜に覆われて
遮断されてゆく現実感
今こそ現実世界にしかと立ち
あなたの不在を受け入れねばならないこの時に
三十七度の膜がわたしを覆う
すぐ目の前に現実があり
こちらを真っすぐ見つめているというのに
わたしだけが
ひとり 横たわっていて
大きな穴があいたうつわから
あふれ出す液体の
蛇口をうまく捻れないまま
ふわふわフラフラと
揺蕩っては浮かんでいる
時計が歩く音も
夜の静寂も
そばにあるはずなのに
今はほんの少しだけ 遠い
夜が明けたら
探して拾い集めよう
受けとめきれずに落としてしまった
現実のかけらたちを