夢だった。
小学生のいる教室で、自分は人間のイメージについての難しい講義をしていた。黒板に蜘蛛の絵を描いて説明していると、最前列の男の子が、チョコレートでできたみたいな質感のゴキブリを何匹ももちこんで、もてあそんでいる。ほかの子どもたちにみつかると騒ぎになりそうなので注意するが、ゴキブリの何匹かがにげだして、机や床下にもぐりこんでいって、それきり見えなくなった。
景色が変わって休み時間の校庭に立っていた。すると、クリーム色のアルビノらしい蝉に、小さな男の子がまたがって、さかんに飛び上がろうとしていた。蝉は、何度も羽をばたつかせ、ようやく立木くらいのたかさまではとぶが、やはり重過ぎるのか、また降りてきてしまった。羽が蛾のような質感だ。蝉にのっていた男の子に話かけた。この学校には、おかしな子ばかりいるんだね、と。
そのうち、若い教師が、その子をつれにきた。だれか学者みたいな人が面会にきたらしいが、教師はそのことを、こちらに知られたくないらしく、口に指をたてて見せている。2人がわきを、通りすぎるさいに、わたしは彼らにむかって、おい、感じわるいぜ、といってやった。
帰ろうと校舎を出る。そこはいつか行った大岡山の東工大のような学校で、途中に生協があった。文房具もたくさんおいてあるらしいので、入ろうとすると、入口にベコベコしたベニア板がおいてある。踏むと落ちそうなので、飛び越す。すると店先にたっていたネッカチーフをしたやせたおばさんが、残念そうに顔をしかめた。落とし穴だったかんじだ。店には、ほしいようなものがない。ふりむくと、大きな手回しのコーヒーミルがずらりと陳列されていて、客たちがさかんに品定めしていた。わきでは、平べったい箱型のコーヒーロースト機があって、これには若い大学職員の男たちが集まって、豆がローストされるのを待っている。コーヒー豆には興味があったが、店をてて、駅にむかうと、道の正面に線路が走っていた。そこで夢が終わった。終始、学校にまつわる景色ばかりだったが、出てくる人が子どもも大人も奇妙なことばかりをしている夢だった。夢から覚めた時は、なんだか不愉快であった。