八障連通信338号です。
八障連通信338号【PDF版】はこちらから
八障連通信338号音声版です。
事務局通信Vol.51【音声版はこちら】
編集部より【音声版はこちら】
お知らせ掲示板【音声版はこちら】
「開けられたパンドラの箱」を読んで…やまゆり園障害者殺傷事件、2年目にして思うこと。 八障連代表 杉浦 貢【音声版はこちら】
砂永美んさんからのお便りⅡ【音声版はこちら】
ここからは通信本文です。
【事務局通信Vol.51】
暑い日が続いていますが皆さん、いかがお過ごしでしょうか。6 月末頃より暑い日々が続き、熱中症でお亡くなりになる方など多くなってきています。障害をお持ちの方々の中には体温調節がなかなかうまくいかず苦しまれている方も少なくないと思います。まだ
まだ暑い日が続きますので、皆様ご自愛いただきたいと思います。
さて、今年度の制度や単価改正に伴い、各事業所では様々な問題点など出てきているのではないでしょうか。今年度の改正に関する報告書等では、工賃を高く出しているところは、マネージメント力が高いなど評価をしていますが、それだけが事業所の価値になるのでしょうか。工賃が低くても、利用者さんが次のステップに行ける様に支援を行っている事業所などもあると思います。確かに経営努力や作業獲得に努力されていることは間違ってはいないのですが、利用者さんにとってどのような環境があるべきかなど、選択が出来る様に多種多様なサービスを考えていくことも必要であると思われます。そこで、今後予定している市の福祉課との懇談会において、今回の同封させていただくアンケートにて、各事業所における現状の問題点等を把握させていただきたいと思います。そこで変更後に見えてきた問題や対策など、市としてどのように考えてもらえるのか話し合い、改善策等を検討していきたいと思います。
その他にも、グループホームの第三者評価の費用負担の問題や、グループホーム利用者の障がい区分の単価変更にともない、各事業所の運営への影響もあると思います。他にも障がい害区分により、グループホームの活用ができない対象者の方が出てしまうのでは?という不安の声を聴きます。八障連としましても、現場で起こっている問題の把握をより正確に把握したいと考えておりますので、お気付きな点がありましたら、アンケートに記載していただけると助かります。
また、国の掲げる「共生社会」について、障がい者サービスから老人サービスへの変更により不具合の起きているケースなど様々あると聞きます。どの様な問題が起きているかなど、なかなか詳細までは把握できていないのも現状です。些細な問題でも構いません。アンケート用紙に記載していただきたいと思います。また、「良い点」もあるということも聞きます。ぜひそのような点についてもご意見等お聞かせいただきたいと思います。時代の移り変わりとともに、制度やサービスなども変わらざるを得ないということは分かるのですが、変わることにより起こる不具合なども検証し、その不具合を補うためのサービスの構築を考えていかなければならないと考えております。お忙しい中恐縮ですが、ぜひアンケートへの記入と提出にご協力お願いいたします。(文責/立川)
【編集部より】
2018 年 7 月 26 日で、相模原津久井やまゆり園での事件から 2 年目をむかえた。各地で追悼集会や「やまゆり事件を問う」講演会・討論会も開かれているが、一方で事件の風化を指摘する声も聴く。そんな中、7 月 21 日に「開けられたパンドラの箱」(副題「やまゆり事件障害者殺傷事件」)という本が「月刊創編集部編」で出版された。さっそく杉浦さん(八障連代表)より「パンドラの箱を読んで... やまゆり園障害者殺傷事件、2 年目にして思うこと」という原稿が届いたので特集記事として掲載した次第。ご一読いただき、ご意見・感想等があればぜひ編集部へお寄せいただきたい。/
去る 7/29、中野区産業振興センターで、「医療観察法を廃止しよう!全国集会」が開かれたので参加してみた。この講演会で、NPO 法人 サマリアの理事長である黒田和代さんという方の「法制審の社会内処遇の問題点とリーガルソーシャルワークのあり方を考える」と題した講演を聞くことができた。詳細は紙面の関係で触れることができないが、2017 年度より法務省法制審議会(少年法・刑事法部会第 3 分科会等)において、検察庁(捜査機関)における社会福祉士の配置(詳細は法務省法制審議会 HP を参照のこと)や「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」が議論されており、そのなかで「社会内処遇」として「福祉的支援を受けることを『不起訴』の条件とする考え方」が打ち出されているという。黒田理事長の講演は、こうした司法の動きの問題点を指摘するものだった。NPO 法人サマリアは、所沢で「生活困窮者の暮らしの相談支援活動などを行っている団体で、触法者の更生支援活動も行っているという。NPO 法人サマリアの活動ついては「https://www.samaria2009.net/」参照のこと。こうした動きにも目配り・気配りして対応したいものです。/
【お知らせ掲示板】
八障連運営委員会 9 月 6 日(木) 18:30~21:00 クリエイト
【「開けられたパンドラの箱」を読んで…やまゆり園障害者殺傷事件、2年目にして思うこと。 八障連代表 杉浦 貢】
2016 年 7 月、相模原市の知的障害者施設で入所者 19 人が殺害され、職員を含む 26 人が重軽傷を負ったやまゆり園障害者殺傷事件は、障害者や福祉関係者には恐怖をもたらしたものの、一般の人たちには、早くも忘れられつつあるかのように感じます。
事件で殺人などの罪で起訴された元施設職員被告の手紙などの手記を掲載した書籍が、事件から 2 年目を迎えつつある 2018 年 7 月 21 日に出版されました。ネットのニュースでこの書籍の出版を知った私は、早速アマゾンで本書を注文し、読んでみることにしました。本のタイトルは「開けられたパンドラの箱」。まず気になったのが、この書籍名でした。あらゆる悪徳と災厄を詰めたパンドラの箱...それでも最後まで箱に残ったものは『希望』だったのです。ギリシャ神話の原典を少しでも知っているならば、絶対に付けない書名。まず、このタイトルを考えた人の品性を疑いました。被告の行動には希望どころか絶望しか感じませんでしたが、内容の是非はともかく、読んでみようと思いました。とにかく読まないことには否定もできませんから。障害者の親御さんなどからも出版に反対の声が上がる中、東京都の創出版が「事件を風化させてはいけない」(篠田博之編集長)と発売に踏み切ったそうです。
書籍は 3 部構成で 254 ページ。初版は約 4 千部。第 1 部には 97 ページにわたり被告の獄中ノートや手紙、漫画が掲載されています。第 1 部は、事件の被告人と月刊『創』編集部との間でなされた手紙の内容や、被告人との面会での会話・インタビューなど被告の主張を紹介。そこでの被告のスタンスは、被告は自分が殺害した知的障害者を「心のない人」と呼び、「心失者」と呼んで「意思疎通がとれない人間を安楽死させるべきだ(p.31)」と一貫していました。被告の考えを否定する出版社の見解も添えられています。第 2 部は、事件で大怪我を負った被害者の父等が『創』に寄稿した/語った文章。実名を公表した被害者家族(74)=神奈川県座間市=の意見や、八障連のフォーラムでもお世話になった海老原宏美さんの文章。第 3 部は、松本俊彦・香山リカの2人の精神科医の対談3本と、同じく精神科医の斉藤環へのインタビュー。対談は、被告人の主張は「『思想』なのか『妄想』なのか(p.176)」から始まり、措置入院を含む司法と医療の関係、社会における監視・排除と支援・共生・包摂の対抗などが論じられていました。
第一部で示される著者の言説や、被告が拘置所で描いたというイラストや漫画もマンガには、特に印象づけられるものはありませんでした。絵そのものとしてはかなりの部類に入ると思うのですが、いかんせん...内容が理解しかねるものでした。病的なのか否かもよく分からない。編者も「......なぜあのような凄惨な犯行に踏みきったのかと考えると......理解は難しいのが実情だ(p.11)」と述べています。被告の精神鑑定は続けられているようですが、報告書によると、「自己愛パーソナリティ障害」とのこと。ただ、責任能力はあるとの診断だったそうです。第二部のなかでは、事件で殺された人たちについて「19 人が記号としてしか処理されていない」ことに「当惑」し、「19 人の『声なき声』を拾い集め、文字化・言語化していく(p.163)」活動を続けている、やまゆり園元職員の文章に心を打たました。第三部では、司法と医療の交わる世界について多くのことを知った。しかし、彼ら精神科医にとっても、被告人の行動は了解不能のようでした。それでも、松本は「私たちはきれい事と言われようと、共生を唱えるしかない(p.189)」「他害のおそれのある人も実は『困っている人』かもしれない。措置解除後の地域支援もそういう発想があってよいはず(p.200)」と述べ、斉藤も(ちょっとスタンスが違うが)「孤立状況というのは、本当に自殺や犯罪などいろんな要素をもたらしますので、どんなに不快であったとしても、こういった人たちをどういう形で社会に再包摂するかということを考えざるをえないのです(p.239)」としています。監視・排除は、理念的にも間違っているし、むしろ問題を大きくするという結論でしょう。
本書を読む中で、障害者の存在意義について考えた時にある仮説が浮かびました。ナチスドイツの時代、1940 年から 1945年にかけて、約 20 万人の心身障害者が殺害されたと言われています。これによりドイツの障害者は減ったのかということですが、国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、現代のドイツの障害者の(20 歳から 64 歳)割合は 18%と、そのほかの欧州諸国と変わりないのがわかります。働きアリ(全体の 20%)がいなくなったとしても、残りの 80%の中から再び 20%の割合で働きアリが生まれるように、植松被告のいう心失者を排除したとしても、再び生まれてくると考えます。それは、この地球で人間が生きるために彼らが必要な存在であることを教えてくれるだけでなく、世界は『効率化』の論理だけで回ってはいないという事実を知らせてくれるものであります。
勝ち組』『負け組』といった言葉があるように、障害のある人だけでなく、障害のない人々の間でも...自分と他者とを優劣で計り、完璧を求めすぎる所があると思います。教育に対しても多くの取り組みが試されましたが...やはり偏差値教育で、知識さえ叩き込めばいいというような実態があり、『異なる立場の他者』に対しての配慮が足りないと感じます。ですので...いつ植松被告のような思想の人間が出てきて、いつ、どこで『やまゆり園』のような事件が起こってもおかしくなかったのではないか...とも考えてしまいます。
現在、人生百年時代、と言われますが、その年齢まで生きるにしても、今のままでとはいかないでしょう。年齢を重ねればどんな人でも、身体の自由はきかなくなり、歩行が困難になり、身体の衰えだけではなく、認知症になってしまう場合もある。乱暴な言い方を許していただけるならば、どんな人も、いつかは障害者になり得るのです。
日本はこれから貧困国に転落する可能性が高いでしょう。かつての余裕が失われる可能性も高いと思います。人のやさしさ、手助けする力とは、つまり、その人の「余裕」に規定されます。余裕は、社会の状態によって刻々と変化します。日本が貧困国になったとき、余裕が失われ、国民はどんな行動をとるのでしょうか。自分のことでさえ...皆、あったはずの余裕がなくなってからでないと、予測がつかないのでしょう。そんな謙虚さは...心の中に持っておいたほうがいいと思います。資本主義の前提条件である、「理想」が消失した現代において、これ以上の経済成長の見込みは...低いでしょう。どんどん余裕を失っていく現代において、トランプ氏の大統領当選にみられるように、「建前なんてクソ食らえ!」という発言は、さらに増していくでしょう。それほど、日本人は余裕がなくなってきているのだと思います。社会が円滑に動くために必要な建前を大切にする余裕がない、という意味において...です。
結論からいうと、この本の問題提起には答えがありません。多忙を極めて、猫の手も借りたい状況では、人は助けるひとを限定するし、(震災のときの医療がおこなうトリアージがその最たるものです) 一日中、ゆっくりお茶を飲めて...明日の心配が無い人は、多少の手助けだって、喜んで参加してくださるでしょう。おかれた立場にどれだけ余裕があるかによって、(あとはどれだけ相手が自分にエネルギーを要求するかによって)人の相互扶助、共存可能性は変動してしまうのだと思います。人間の生存戦略である「社会の進歩」に陰りが見えてきています。また、技術の進歩により、「弱者が全うに生きるためのコスト」が医療業界を始めとして、急上昇しており、『きれいごと』のたてまえを貫くためのコストがうなぎ上りになっており、余裕がない人々は、それに目くじらを立てる時代になってきています。
いうまでもなく人権は憲法で保障されており、公共の福祉に反しない限り、保証されます。ただし、「公共の福祉」つまり、簡単に言うと「みんなの幸せ」の定義が世の中の変動にあわせて、変質してきています。「1分の時間のロスが人生を奪う」という認識で働いている人などからすると、年金と手当てで暮らしている私が、おいしい料理を食べに出かけることでさえ「公共の福祉に反している」と糾弾する事でしょう。このように出口のない問いをつきつけられ、障害当事者の私としても、ただ右往左往するしかありませんでした。これだけでも本書を読む価値があったと思います。そこをスタートとして、考えていくしかない。つねに葛藤し続けることが、本書の問題提起への答えであり、一足飛びのきれいな解答を示すことこそ危険だということなのでしょう。
最後に...。どんな思想を持っていようと本人の勝手。他人の心の中、頭の中に入り込んで、思想信条を植え付けるようなことは出来ないし、出来たとしても、それをしてはならないと思います。どんなに過激な思想も、思うだけ、考えるだけならば完全に自由であるし、すべての人間は、自分が受け入れたくないものを嫌悪し、排除しようとする性質がある。『差別する自由』『偏見を持つ自由』というものも、もっと主張されてもいいはずだと思うのです。しかし、内心に閉じ込めておくべき個人的な思想信条を外に出し、具体的な行動を起こすについては、大きな責任が伴います。特に、自分の中にある偏見や差別的意識が元になって、別の誰かの尊厳が貶められ、また生命財産が損なわれたなら、それに応じて罪科が問われるべきでしょう。『差別する自由』『偏見を持つ自由』...即ち、心の自由が守られなければならないと思えばこそ、他人の自由を奪った者の罪は、ことさらに重く扱われなければならないと、私は考えます。(八障連代表 杉浦 貢)
【砂永美んさんからのお便りⅡ】
こんにちは。お元気ですか?真夏のお便りです。砂長美んです。これからの予定と近況報告です!八王子市でも講演します。(水害被害に遭われた方々、1 日でも早い回復を心よりお祈り申し上げます)
○ 5 月の岐阜市の舟伏社会福祉法人のご招待による発達障害について講演会、障害者工賃アップ講習はとても好評だったと意見もらいました。最近は、ウェブ ありがとうショップから、色々な問い合わせが増えています。
○障害者施設との商品開発のお願い、企業から商品を買いたいとの問い合わせや当事者本人からの真面目な感じの悩み相談が寄せられてます。そんな相談をされるようになってきたことも頼りにされていると実感します。
○障害者雇用人材紹介も問い合わせ来ます。 本業でないので ボランティアです。
最近は、数カ所博物館、国会議員会館の注文、販売数も増えて、今年は過去最高の売り上げを記録しそうです。皆様のおかげです。400万円をこえそうです。 私には、2 割程度の利益が出ます。毎年売り上げが上がっていることは、本当に この仕事を続けなければいけないミッション責任を最近は感じます。全ては、買っていただくお客様、作っていただく 障害者施設も必要で私は間を取り持っている、何でも屋さんの商社。みたいな役割だと思っています。この仕事を仕事として営む人は、少ないので、他者 競争がないということは、新しいビジネスのチャンスと思っています。国の補助金をもらわないで 6 年間近くたちました。これも頑張れば、自力で障がい者が障がい者の方々の商品をアイディアと工夫で売れるという実績です。
お中元のご注文もインターネット、メールで受け付けています(6500 円送料込み)。現在は、 月間 2 件程ですが、障害者施設関係なく商品開発、営業開拓の仕事依頼が増えました。(価格は 一件 8 万 5 千円。詳しくは、ありがとうショップ WEB)実績が信用になっているかもしれません。嬉しいです。
現在、去年私が出版した本 、「障害者の暮らす学ぶ働くの 5 人のビジネス」に公言した、東京に博物館を障害者雇用だけでの運営実現に向けて 、サマージャンボ宝くじに頼ってみたり(笑)。最近、色々な友達が増えてアイディアも実行にむけての情報、チームもぼちぼち出来上がっています。まだまだ、募集中!(*^▽^*)。
今は、事業計画書と言うものを 綺麗に作れなくて誰か、有償で手伝ってくれる方募集中。
通信本文はここまで。
八障連通信338号【PDF版】はこちらから
八障連通信338号音声版です。
事務局通信Vol.51【音声版はこちら】
編集部より【音声版はこちら】
お知らせ掲示板【音声版はこちら】
「開けられたパンドラの箱」を読んで…やまゆり園障害者殺傷事件、2年目にして思うこと。 八障連代表 杉浦 貢【音声版はこちら】
砂永美んさんからのお便りⅡ【音声版はこちら】
ここからは通信本文です。
【事務局通信Vol.51】
暑い日が続いていますが皆さん、いかがお過ごしでしょうか。6 月末頃より暑い日々が続き、熱中症でお亡くなりになる方など多くなってきています。障害をお持ちの方々の中には体温調節がなかなかうまくいかず苦しまれている方も少なくないと思います。まだ
まだ暑い日が続きますので、皆様ご自愛いただきたいと思います。
さて、今年度の制度や単価改正に伴い、各事業所では様々な問題点など出てきているのではないでしょうか。今年度の改正に関する報告書等では、工賃を高く出しているところは、マネージメント力が高いなど評価をしていますが、それだけが事業所の価値になるのでしょうか。工賃が低くても、利用者さんが次のステップに行ける様に支援を行っている事業所などもあると思います。確かに経営努力や作業獲得に努力されていることは間違ってはいないのですが、利用者さんにとってどのような環境があるべきかなど、選択が出来る様に多種多様なサービスを考えていくことも必要であると思われます。そこで、今後予定している市の福祉課との懇談会において、今回の同封させていただくアンケートにて、各事業所における現状の問題点等を把握させていただきたいと思います。そこで変更後に見えてきた問題や対策など、市としてどのように考えてもらえるのか話し合い、改善策等を検討していきたいと思います。
その他にも、グループホームの第三者評価の費用負担の問題や、グループホーム利用者の障がい区分の単価変更にともない、各事業所の運営への影響もあると思います。他にも障がい害区分により、グループホームの活用ができない対象者の方が出てしまうのでは?という不安の声を聴きます。八障連としましても、現場で起こっている問題の把握をより正確に把握したいと考えておりますので、お気付きな点がありましたら、アンケートに記載していただけると助かります。
また、国の掲げる「共生社会」について、障がい者サービスから老人サービスへの変更により不具合の起きているケースなど様々あると聞きます。どの様な問題が起きているかなど、なかなか詳細までは把握できていないのも現状です。些細な問題でも構いません。アンケート用紙に記載していただきたいと思います。また、「良い点」もあるということも聞きます。ぜひそのような点についてもご意見等お聞かせいただきたいと思います。時代の移り変わりとともに、制度やサービスなども変わらざるを得ないということは分かるのですが、変わることにより起こる不具合なども検証し、その不具合を補うためのサービスの構築を考えていかなければならないと考えております。お忙しい中恐縮ですが、ぜひアンケートへの記入と提出にご協力お願いいたします。(文責/立川)
【編集部より】
2018 年 7 月 26 日で、相模原津久井やまゆり園での事件から 2 年目をむかえた。各地で追悼集会や「やまゆり事件を問う」講演会・討論会も開かれているが、一方で事件の風化を指摘する声も聴く。そんな中、7 月 21 日に「開けられたパンドラの箱」(副題「やまゆり事件障害者殺傷事件」)という本が「月刊創編集部編」で出版された。さっそく杉浦さん(八障連代表)より「パンドラの箱を読んで... やまゆり園障害者殺傷事件、2 年目にして思うこと」という原稿が届いたので特集記事として掲載した次第。ご一読いただき、ご意見・感想等があればぜひ編集部へお寄せいただきたい。/
去る 7/29、中野区産業振興センターで、「医療観察法を廃止しよう!全国集会」が開かれたので参加してみた。この講演会で、NPO 法人 サマリアの理事長である黒田和代さんという方の「法制審の社会内処遇の問題点とリーガルソーシャルワークのあり方を考える」と題した講演を聞くことができた。詳細は紙面の関係で触れることができないが、2017 年度より法務省法制審議会(少年法・刑事法部会第 3 分科会等)において、検察庁(捜査機関)における社会福祉士の配置(詳細は法務省法制審議会 HP を参照のこと)や「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」が議論されており、そのなかで「社会内処遇」として「福祉的支援を受けることを『不起訴』の条件とする考え方」が打ち出されているという。黒田理事長の講演は、こうした司法の動きの問題点を指摘するものだった。NPO 法人サマリアは、所沢で「生活困窮者の暮らしの相談支援活動などを行っている団体で、触法者の更生支援活動も行っているという。NPO 法人サマリアの活動ついては「https://www.samaria2009.net/」参照のこと。こうした動きにも目配り・気配りして対応したいものです。/
【お知らせ掲示板】
八障連運営委員会 9 月 6 日(木) 18:30~21:00 クリエイト
【「開けられたパンドラの箱」を読んで…やまゆり園障害者殺傷事件、2年目にして思うこと。 八障連代表 杉浦 貢】
2016 年 7 月、相模原市の知的障害者施設で入所者 19 人が殺害され、職員を含む 26 人が重軽傷を負ったやまゆり園障害者殺傷事件は、障害者や福祉関係者には恐怖をもたらしたものの、一般の人たちには、早くも忘れられつつあるかのように感じます。
事件で殺人などの罪で起訴された元施設職員被告の手紙などの手記を掲載した書籍が、事件から 2 年目を迎えつつある 2018 年 7 月 21 日に出版されました。ネットのニュースでこの書籍の出版を知った私は、早速アマゾンで本書を注文し、読んでみることにしました。本のタイトルは「開けられたパンドラの箱」。まず気になったのが、この書籍名でした。あらゆる悪徳と災厄を詰めたパンドラの箱...それでも最後まで箱に残ったものは『希望』だったのです。ギリシャ神話の原典を少しでも知っているならば、絶対に付けない書名。まず、このタイトルを考えた人の品性を疑いました。被告の行動には希望どころか絶望しか感じませんでしたが、内容の是非はともかく、読んでみようと思いました。とにかく読まないことには否定もできませんから。障害者の親御さんなどからも出版に反対の声が上がる中、東京都の創出版が「事件を風化させてはいけない」(篠田博之編集長)と発売に踏み切ったそうです。
書籍は 3 部構成で 254 ページ。初版は約 4 千部。第 1 部には 97 ページにわたり被告の獄中ノートや手紙、漫画が掲載されています。第 1 部は、事件の被告人と月刊『創』編集部との間でなされた手紙の内容や、被告人との面会での会話・インタビューなど被告の主張を紹介。そこでの被告のスタンスは、被告は自分が殺害した知的障害者を「心のない人」と呼び、「心失者」と呼んで「意思疎通がとれない人間を安楽死させるべきだ(p.31)」と一貫していました。被告の考えを否定する出版社の見解も添えられています。第 2 部は、事件で大怪我を負った被害者の父等が『創』に寄稿した/語った文章。実名を公表した被害者家族(74)=神奈川県座間市=の意見や、八障連のフォーラムでもお世話になった海老原宏美さんの文章。第 3 部は、松本俊彦・香山リカの2人の精神科医の対談3本と、同じく精神科医の斉藤環へのインタビュー。対談は、被告人の主張は「『思想』なのか『妄想』なのか(p.176)」から始まり、措置入院を含む司法と医療の関係、社会における監視・排除と支援・共生・包摂の対抗などが論じられていました。
第一部で示される著者の言説や、被告が拘置所で描いたというイラストや漫画もマンガには、特に印象づけられるものはありませんでした。絵そのものとしてはかなりの部類に入ると思うのですが、いかんせん...内容が理解しかねるものでした。病的なのか否かもよく分からない。編者も「......なぜあのような凄惨な犯行に踏みきったのかと考えると......理解は難しいのが実情だ(p.11)」と述べています。被告の精神鑑定は続けられているようですが、報告書によると、「自己愛パーソナリティ障害」とのこと。ただ、責任能力はあるとの診断だったそうです。第二部のなかでは、事件で殺された人たちについて「19 人が記号としてしか処理されていない」ことに「当惑」し、「19 人の『声なき声』を拾い集め、文字化・言語化していく(p.163)」活動を続けている、やまゆり園元職員の文章に心を打たました。第三部では、司法と医療の交わる世界について多くのことを知った。しかし、彼ら精神科医にとっても、被告人の行動は了解不能のようでした。それでも、松本は「私たちはきれい事と言われようと、共生を唱えるしかない(p.189)」「他害のおそれのある人も実は『困っている人』かもしれない。措置解除後の地域支援もそういう発想があってよいはず(p.200)」と述べ、斉藤も(ちょっとスタンスが違うが)「孤立状況というのは、本当に自殺や犯罪などいろんな要素をもたらしますので、どんなに不快であったとしても、こういった人たちをどういう形で社会に再包摂するかということを考えざるをえないのです(p.239)」としています。監視・排除は、理念的にも間違っているし、むしろ問題を大きくするという結論でしょう。
本書を読む中で、障害者の存在意義について考えた時にある仮説が浮かびました。ナチスドイツの時代、1940 年から 1945年にかけて、約 20 万人の心身障害者が殺害されたと言われています。これによりドイツの障害者は減ったのかということですが、国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、現代のドイツの障害者の(20 歳から 64 歳)割合は 18%と、そのほかの欧州諸国と変わりないのがわかります。働きアリ(全体の 20%)がいなくなったとしても、残りの 80%の中から再び 20%の割合で働きアリが生まれるように、植松被告のいう心失者を排除したとしても、再び生まれてくると考えます。それは、この地球で人間が生きるために彼らが必要な存在であることを教えてくれるだけでなく、世界は『効率化』の論理だけで回ってはいないという事実を知らせてくれるものであります。
勝ち組』『負け組』といった言葉があるように、障害のある人だけでなく、障害のない人々の間でも...自分と他者とを優劣で計り、完璧を求めすぎる所があると思います。教育に対しても多くの取り組みが試されましたが...やはり偏差値教育で、知識さえ叩き込めばいいというような実態があり、『異なる立場の他者』に対しての配慮が足りないと感じます。ですので...いつ植松被告のような思想の人間が出てきて、いつ、どこで『やまゆり園』のような事件が起こってもおかしくなかったのではないか...とも考えてしまいます。
現在、人生百年時代、と言われますが、その年齢まで生きるにしても、今のままでとはいかないでしょう。年齢を重ねればどんな人でも、身体の自由はきかなくなり、歩行が困難になり、身体の衰えだけではなく、認知症になってしまう場合もある。乱暴な言い方を許していただけるならば、どんな人も、いつかは障害者になり得るのです。
日本はこれから貧困国に転落する可能性が高いでしょう。かつての余裕が失われる可能性も高いと思います。人のやさしさ、手助けする力とは、つまり、その人の「余裕」に規定されます。余裕は、社会の状態によって刻々と変化します。日本が貧困国になったとき、余裕が失われ、国民はどんな行動をとるのでしょうか。自分のことでさえ...皆、あったはずの余裕がなくなってからでないと、予測がつかないのでしょう。そんな謙虚さは...心の中に持っておいたほうがいいと思います。資本主義の前提条件である、「理想」が消失した現代において、これ以上の経済成長の見込みは...低いでしょう。どんどん余裕を失っていく現代において、トランプ氏の大統領当選にみられるように、「建前なんてクソ食らえ!」という発言は、さらに増していくでしょう。それほど、日本人は余裕がなくなってきているのだと思います。社会が円滑に動くために必要な建前を大切にする余裕がない、という意味において...です。
結論からいうと、この本の問題提起には答えがありません。多忙を極めて、猫の手も借りたい状況では、人は助けるひとを限定するし、(震災のときの医療がおこなうトリアージがその最たるものです) 一日中、ゆっくりお茶を飲めて...明日の心配が無い人は、多少の手助けだって、喜んで参加してくださるでしょう。おかれた立場にどれだけ余裕があるかによって、(あとはどれだけ相手が自分にエネルギーを要求するかによって)人の相互扶助、共存可能性は変動してしまうのだと思います。人間の生存戦略である「社会の進歩」に陰りが見えてきています。また、技術の進歩により、「弱者が全うに生きるためのコスト」が医療業界を始めとして、急上昇しており、『きれいごと』のたてまえを貫くためのコストがうなぎ上りになっており、余裕がない人々は、それに目くじらを立てる時代になってきています。
いうまでもなく人権は憲法で保障されており、公共の福祉に反しない限り、保証されます。ただし、「公共の福祉」つまり、簡単に言うと「みんなの幸せ」の定義が世の中の変動にあわせて、変質してきています。「1分の時間のロスが人生を奪う」という認識で働いている人などからすると、年金と手当てで暮らしている私が、おいしい料理を食べに出かけることでさえ「公共の福祉に反している」と糾弾する事でしょう。このように出口のない問いをつきつけられ、障害当事者の私としても、ただ右往左往するしかありませんでした。これだけでも本書を読む価値があったと思います。そこをスタートとして、考えていくしかない。つねに葛藤し続けることが、本書の問題提起への答えであり、一足飛びのきれいな解答を示すことこそ危険だということなのでしょう。
最後に...。どんな思想を持っていようと本人の勝手。他人の心の中、頭の中に入り込んで、思想信条を植え付けるようなことは出来ないし、出来たとしても、それをしてはならないと思います。どんなに過激な思想も、思うだけ、考えるだけならば完全に自由であるし、すべての人間は、自分が受け入れたくないものを嫌悪し、排除しようとする性質がある。『差別する自由』『偏見を持つ自由』というものも、もっと主張されてもいいはずだと思うのです。しかし、内心に閉じ込めておくべき個人的な思想信条を外に出し、具体的な行動を起こすについては、大きな責任が伴います。特に、自分の中にある偏見や差別的意識が元になって、別の誰かの尊厳が貶められ、また生命財産が損なわれたなら、それに応じて罪科が問われるべきでしょう。『差別する自由』『偏見を持つ自由』...即ち、心の自由が守られなければならないと思えばこそ、他人の自由を奪った者の罪は、ことさらに重く扱われなければならないと、私は考えます。(八障連代表 杉浦 貢)
【砂永美んさんからのお便りⅡ】
こんにちは。お元気ですか?真夏のお便りです。砂長美んです。これからの予定と近況報告です!八王子市でも講演します。(水害被害に遭われた方々、1 日でも早い回復を心よりお祈り申し上げます)
○ 5 月の岐阜市の舟伏社会福祉法人のご招待による発達障害について講演会、障害者工賃アップ講習はとても好評だったと意見もらいました。最近は、ウェブ ありがとうショップから、色々な問い合わせが増えています。
○障害者施設との商品開発のお願い、企業から商品を買いたいとの問い合わせや当事者本人からの真面目な感じの悩み相談が寄せられてます。そんな相談をされるようになってきたことも頼りにされていると実感します。
○障害者雇用人材紹介も問い合わせ来ます。 本業でないので ボランティアです。
最近は、数カ所博物館、国会議員会館の注文、販売数も増えて、今年は過去最高の売り上げを記録しそうです。皆様のおかげです。400万円をこえそうです。 私には、2 割程度の利益が出ます。毎年売り上げが上がっていることは、本当に この仕事を続けなければいけないミッション責任を最近は感じます。全ては、買っていただくお客様、作っていただく 障害者施設も必要で私は間を取り持っている、何でも屋さんの商社。みたいな役割だと思っています。この仕事を仕事として営む人は、少ないので、他者 競争がないということは、新しいビジネスのチャンスと思っています。国の補助金をもらわないで 6 年間近くたちました。これも頑張れば、自力で障がい者が障がい者の方々の商品をアイディアと工夫で売れるという実績です。
お中元のご注文もインターネット、メールで受け付けています(6500 円送料込み)。現在は、 月間 2 件程ですが、障害者施設関係なく商品開発、営業開拓の仕事依頼が増えました。(価格は 一件 8 万 5 千円。詳しくは、ありがとうショップ WEB)実績が信用になっているかもしれません。嬉しいです。
現在、去年私が出版した本 、「障害者の暮らす学ぶ働くの 5 人のビジネス」に公言した、東京に博物館を障害者雇用だけでの運営実現に向けて 、サマージャンボ宝くじに頼ってみたり(笑)。最近、色々な友達が増えてアイディアも実行にむけての情報、チームもぼちぼち出来上がっています。まだまだ、募集中!(*^▽^*)。
今は、事業計画書と言うものを 綺麗に作れなくて誰か、有償で手伝ってくれる方募集中。
通信本文はここまで。