八障連通信375号です。
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ここからは通信本文です。
【事務局通信 77】
10 月 28 日(土)、18 時よりクリエイトホール第 2 学習室にて、福祉課との懇談会が開催されます。福祉課との懇談会に向け、NPO法人まゆだまさん、工房みどりの風さんより提言が出されていますので掲載いたします。(事務局)
障 害 者 福 祉 課 に 対 す る 提 言
NPO法人まゆだま さんからの提言
◎日中活動系施設等運営安定化補助金削減について
上記の補助金については、削減幅を広げていく方針との説明がありましたが、単独事業での法人が少ない中、また、サービス利用者や保護者の高齢化による事業所での法内以外でのサービス提供やコロナ禍による利用率の低下や感染対策費用など人件費や運営費が年々増加しています。そのため現在の給付費での運営は年々厳しくなっているのが現状です。
補助率を下げるのであれば、給付金の増額や別の予算を創設するなど、障害のある八王子市民が安心して日中活動ができるよう施設運営の安定の方策をお聞かせください。
◎職員不足の解消について
コロナ禍で就職希望者は多いとのことですが、相変わらず福祉業界の人手不足は解消されていません。サービス利用者や保護者の高齢化、また、求められるサービス内容、コロナ対策など人的資源が必要とされる事業において一人でも多く、1時間でも長く働いていただける人材が必要です。障害者福祉課においても福祉の仕事就職フェアを行っていただいていますが、解消には繋がっていないのが現状です。当法人においても年々求人費用は増える一方です。今後の人手不足解消について福祉課のお考えをお聞かせください。
◎サービス利用者及び保護者の高齢化による様々な支援について
サービス利用者、その保護者の高齢のために医療機関への支援対応やグループホームにおける日中支援、実家帰宅の送迎支援等、法内サービスでは対応ができない支援サービスがあります。法内サービスで提供するためには人員不足や人件費の増大となります。また、医療機関との連携も必要です。今般のコロナウイルス感染症ワクチン接種についても障害のある方については、様々な工夫が必要でした。日頃からの医師会との連携についての現状やワクチン接種についての検証と新たな給付費などのお考えをお聞かせください。(NPO法人まゆだま代表 細野満里)
障 害 者 福 祉 課 に 対 す る 提 言
NPO法人まゆだま さんからの提言
◎日中活動系施設等運営安定化補助金削減について
上記の補助金については、削減幅を広げていく方針との説明がありましたが、単独事業での法人が少ない中、また、サービス利用者や保護者の高齢化による事業所での法内以外でのサービス提供やコロナ禍による利用率の低下や感染対策費用など人件費や運営費が年々増加しています。そのため現在の給付費での運営は年々厳しくなっているのが現状です。
補助率を下げるのであれば、給付金の増額や別の予算を創設するなど、障害のある八王子市民が安心して日中活動ができるよう施設運営の安定の方策をお聞かせください。
◎職員不足の解消について
コロナ禍で就職希望者は多いとのことですが、相変わらず福祉業界の人手不足は解消されていません。サービス利用者や保護者の高齢化、また、求められるサービス内容、コロナ対策など人的資源が必要とされる事業において一人でも多く、1時間でも長く働いていただける人材が必要です。障害者福祉課においても福祉の仕事就職フェアを行っていただいていますが、解消には繋がっていないのが現状です。当法人においても年々求人費用は増える一方です。今後の人手不足解消について福祉課のお考えをお聞かせください。
◎サービス利用者及び保護者の高齢化による様々な支援について
サービス利用者、その保護者の高齢のために医療機関への支援対応やグループホームにおける日中支援、実家帰宅の送迎支援等、法内サービスでは対応ができない支援サービスがあります。法内サービスで提供するためには人員不足や人件費の増大となります。また、医療機関との連携も必要です。今般のコロナウイルス感染症ワクチン接種についても障害のある方については、様々な工夫が必要でした。日頃からの医師会との連携についての現状やワクチン接種についての検証と新たな給付費などのお考えをお聞かせください。(NPO法人まゆだま代表 細野満里)
工房みどりの風 さんからの提言
◎移動支援に関して
現在、対象者が中学生になっておりますが、この年齢を 7 歳に引き下げていただきたいです。近隣の市町村で 7 歳から使用できないのは、町田市、稲城市のみです。年齢を引き下げてほしい要因として、障害児を持つ保護者、特に母親のレスパイトが必要であることと、小さいときから保護者、先生以外の第三者であるヘルパーと関わり、出かけることで社会性が身に付くと考えられるので提言致します。
◎家賃補助と重度障碍者受け入れ促進事業に関して
令和 3 年 4 月から家賃 40 万円の半額補助が 14 万円に減額されております。令和 3 年度の報酬改定で、工房みどりの風は前年に比べ、1か月で約 8 万円の減になります。更に令和 4 年度から 14 万円の家賃補助が 10 万円になりますと赤字になると予想され、最悪の事態では運営ができなくなり、利用者さんの支援もできず、路頭に迷うことにもなりかねません。令和 5 年度以降も家賃補助 10 万円を継続する事を提言致します。
重度障碍者受入れ促進事業の概要が発表されましたが、対象者が支援区分 6 の利用者さんのみです。これに支援区分 5の利用者を含むことを提言致します。(工房みどりの風 小林裕之)
◎移動支援に関して
現在、対象者が中学生になっておりますが、この年齢を 7 歳に引き下げていただきたいです。近隣の市町村で 7 歳から使用できないのは、町田市、稲城市のみです。年齢を引き下げてほしい要因として、障害児を持つ保護者、特に母親のレスパイトが必要であることと、小さいときから保護者、先生以外の第三者であるヘルパーと関わり、出かけることで社会性が身に付くと考えられるので提言致します。
◎家賃補助と重度障碍者受け入れ促進事業に関して
令和 3 年 4 月から家賃 40 万円の半額補助が 14 万円に減額されております。令和 3 年度の報酬改定で、工房みどりの風は前年に比べ、1か月で約 8 万円の減になります。更に令和 4 年度から 14 万円の家賃補助が 10 万円になりますと赤字になると予想され、最悪の事態では運営ができなくなり、利用者さんの支援もできず、路頭に迷うことにもなりかねません。令和 5 年度以降も家賃補助 10 万円を継続する事を提言致します。
重度障碍者受入れ促進事業の概要が発表されましたが、対象者が支援区分 6 の利用者さんのみです。これに支援区分 5の利用者を含むことを提言致します。(工房みどりの風 小林裕之)
【連載コラム Vol.60 『困りごといろいろ』 八障連代表 杉浦 貢】
障害のない方や、障害はあっても車いすになじみのない方など...、色々な方とお話をしていて、訊ねられることが一番多いご質問が、『車いすで外出をしていて、一番困ることはなんですか?』 というものなのですが...、その一番
は、なんと言っても、私の乗っている車いすに不具合が起きた時...ということになるでしょう。
外出中にフレームが折れる、曲がる、パーツのネジが外れる、タイヤがパンクする、などなど。電動車いすの場合なら、それに加えてさらにモーターの不調、バッテリーの異常。変わったところだと、雷の被害、なんていうのもありました。
自宅アパートの玄関の間口が狭いために、玄関の外に屋外用のコンセントを引いてもらい、外出しない時には、自室の外に愛用の電動車いすを停めていたのですが...、ある夏の日に、大きな雷が自宅アパートに落ちました。
ドーン!!という大きな音がして、自室の蛍光灯が数秒間消えていたくらいの、ものすごい落雷でした。電流のほとんどは建物の外壁を伝って地面に逃げるため、せいぜい蛍光灯が消える程度の被害で済みましたが...外に出していた電動車いすは、さすがに無事というわけにはいかなかったようでした。
雷が落ちた次の日...晴れ渡った空の下にお出かけしようとシートに座ったのですが、電源を入れても反応がありません。懲りずに繰り返し電源を入れ直すと、何度目かで反応があったので、すかさず走行チェックの液晶表示を見てみてみたのですが、そこには、エラー表示どころか、絵の具を水に溶かしたような、文字ともなんとも言えない得体のしれないものが映るばかり。お
そらくは、アパ-トの外壁を流れた電流がコンセントから枝分かれして、充電中の電動車いすに流れ込み、回路をショートさせたものと推定しました。車いす屋さんに見てもらっても、詳しい原因はよくわからない、ということでしたが、制御回路の詰まったコントロールボックスを全とっかえしたら無事に動くことができました。
二つ目の困り事は...、ずっと座りっぱなしでいることでしょうか。車いすを使って外出するのはとても楽しいことなのですが、ずっと座りっぱなしでいると疲労が蓄積し、身体に痛みが出たりして、なかなか大変なのです。そんな負担を軽減するために、私の車いすにはリクライニング(背面角度調整)やティルト(座面角度調整)、フットエレベーション(膝角度調整)といった機能が付
いていたりします。
これにより、身体の負担が減ってかなり楽にはなったのですが...なにせ肝心の私の身体そのものが四十歳を超えてから疲れやすくなり、一番元気だった二十代の頃のようにホイホイと出歩くようなことは、もう随分と無くなりました。
三つ目は、後ろからの声掛けでしょうか。別に車いすを使う人でなくても、どなたでも、後ろからいきなり知らない人に声をかけられることはびっくりすると思いますが...車いすに乗った状態の私は、咄嗟に声のする方に振り向くことができませんから、びっくりを通り越して怖くなることもしばしば。それでも前もって『失礼します』とか『お手伝いしましょう』と声をかけてくださる方は、まだしも善意がわかるのでほっと一息つけるのですが、声をかける前に車いすに触れてこられる。それも、確認できない背後から...というのが一番怖かったです。
以前、無言で背後から、私の車いすに触れてくる人がいまして、思わず『うわあ』と叫んでしまいました。向こうは、『この人の車いすを押してあげよう』と思ったらしいのですが、対する私は、電動車いすに乗っていましたから、よほどのことがない限りは、普通の道を走るのに手助けはいらないのです。
お相手の方は、『せっかく手伝おうと思ったのに!』と怒りだし、気分を害してしまわれたようでした。私は、電動車いすの操作に意識を集中していましたし、進行方向の前方に注意を向けていましたから...つい後方へ向ける意識が希薄になった状態でした。背後からいきなり、車いすに触れてこられたのは本当にびっくりしました。せめて、手を触れる前に、何か一言でもかけてくだされば、こちらも耳で音を確認し、少々驚くことはあったとしても...まだ少しはまともな返事が返せたのにと悔やんでおります。
皆さま、どうか...外出中の私に声をかけてくださる時は、視界の開けた側面、または前方に回りこんでくださると助かります。ちゃんとお姿も分かりますからね。背後というのは、車いすにとって最大の死角なので、そこから声をかけられるのは、とても怖いのです。
は、なんと言っても、私の乗っている車いすに不具合が起きた時...ということになるでしょう。
外出中にフレームが折れる、曲がる、パーツのネジが外れる、タイヤがパンクする、などなど。電動車いすの場合なら、それに加えてさらにモーターの不調、バッテリーの異常。変わったところだと、雷の被害、なんていうのもありました。
自宅アパートの玄関の間口が狭いために、玄関の外に屋外用のコンセントを引いてもらい、外出しない時には、自室の外に愛用の電動車いすを停めていたのですが...、ある夏の日に、大きな雷が自宅アパートに落ちました。
ドーン!!という大きな音がして、自室の蛍光灯が数秒間消えていたくらいの、ものすごい落雷でした。電流のほとんどは建物の外壁を伝って地面に逃げるため、せいぜい蛍光灯が消える程度の被害で済みましたが...外に出していた電動車いすは、さすがに無事というわけにはいかなかったようでした。
雷が落ちた次の日...晴れ渡った空の下にお出かけしようとシートに座ったのですが、電源を入れても反応がありません。懲りずに繰り返し電源を入れ直すと、何度目かで反応があったので、すかさず走行チェックの液晶表示を見てみてみたのですが、そこには、エラー表示どころか、絵の具を水に溶かしたような、文字ともなんとも言えない得体のしれないものが映るばかり。お
そらくは、アパ-トの外壁を流れた電流がコンセントから枝分かれして、充電中の電動車いすに流れ込み、回路をショートさせたものと推定しました。車いす屋さんに見てもらっても、詳しい原因はよくわからない、ということでしたが、制御回路の詰まったコントロールボックスを全とっかえしたら無事に動くことができました。
二つ目の困り事は...、ずっと座りっぱなしでいることでしょうか。車いすを使って外出するのはとても楽しいことなのですが、ずっと座りっぱなしでいると疲労が蓄積し、身体に痛みが出たりして、なかなか大変なのです。そんな負担を軽減するために、私の車いすにはリクライニング(背面角度調整)やティルト(座面角度調整)、フットエレベーション(膝角度調整)といった機能が付
いていたりします。
これにより、身体の負担が減ってかなり楽にはなったのですが...なにせ肝心の私の身体そのものが四十歳を超えてから疲れやすくなり、一番元気だった二十代の頃のようにホイホイと出歩くようなことは、もう随分と無くなりました。
三つ目は、後ろからの声掛けでしょうか。別に車いすを使う人でなくても、どなたでも、後ろからいきなり知らない人に声をかけられることはびっくりすると思いますが...車いすに乗った状態の私は、咄嗟に声のする方に振り向くことができませんから、びっくりを通り越して怖くなることもしばしば。それでも前もって『失礼します』とか『お手伝いしましょう』と声をかけてくださる方は、まだしも善意がわかるのでほっと一息つけるのですが、声をかける前に車いすに触れてこられる。それも、確認できない背後から...というのが一番怖かったです。
以前、無言で背後から、私の車いすに触れてくる人がいまして、思わず『うわあ』と叫んでしまいました。向こうは、『この人の車いすを押してあげよう』と思ったらしいのですが、対する私は、電動車いすに乗っていましたから、よほどのことがない限りは、普通の道を走るのに手助けはいらないのです。
お相手の方は、『せっかく手伝おうと思ったのに!』と怒りだし、気分を害してしまわれたようでした。私は、電動車いすの操作に意識を集中していましたし、進行方向の前方に注意を向けていましたから...つい後方へ向ける意識が希薄になった状態でした。背後からいきなり、車いすに触れてこられたのは本当にびっくりしました。せめて、手を触れる前に、何か一言でもかけてくだされば、こちらも耳で音を確認し、少々驚くことはあったとしても...まだ少しはまともな返事が返せたのにと悔やんでおります。
皆さま、どうか...外出中の私に声をかけてくださる時は、視界の開けた側面、または前方に回りこんでくださると助かります。ちゃんとお姿も分かりますからね。背後というのは、車いすにとって最大の死角なので、そこから声をかけられるのは、とても怖いのです。
付き添いの方に同行してもらう場合にも、後方確認は必ずお願いしています。以上、主な困り事三点。これは、車いすユーザーの全てに共通するものでもないとは思いますが、思いつく限り、私の個人的な体験から、具体的な事例をあげてお話をしてみました。ここに書いたことが、なにかの機会にどなたかの参考になれば嬉しいです。
【連載コラム vol.29 『日々の暮らしから~探し物』 ハーネス八王子 鈴木 由紀子】
私にとって苦手なことの一つは、探し物をすることです。私たち目が見えない人は、普段、視覚以外のあらゆる感覚を使って「見えないこと」を補いながら生活しているわけですが、音や声が出ないものが手から離れて、次にそれが必要になったとき、そのありかを見つけることがどんなに大変なことか、皆さんには想像できるでしょうか。
実は、私自身、40 代ぐらいまでは、聴力を使って、不本意に落とした 50 円玉を、転がっていくときの音を頼りに、私がどこかにぶつかってケガもすることなく、ちゃんとそれを探し当てることができました。アメリカに行ったときも、その技を披露したことがあります。しかし、いまはもう無理です。
私たちの苦手な「探し物」を盲導犬が代行してくれることがあります。アイメイト協会で訓練を受けた盲導犬は、目の見えない人の歩行を助けること以外に、日常生活上の困り事の手だすけもするように訓練されるのです。その一つが「フェッチ(持ってきて)」という指示語を学んでそのタスクを行うことです。もちろん 50 円玉のようなコインは、万が一誤飲するといけないので拾ってもらいませんが、箸の片割れやマスクなどは見つけてもらうことがあります。
先代の盲導犬アーサは、コンビニで私が落とした千円札をすぐに見つけて口にくわえて、そこにいた店員のお兄さんに、とても褒められたことがあります。そのときお札が落ちたのが、ちょうどアーサの顔の近くだったという幸運もあったのですが、彼にとっては驚きの出来事だったのでしょう。
この原稿を書いている 10 月中旬の朝にも、現在の盲導犬・レジーナに、ブレイルメモ(点字の電子手帳)の電池蓋を見つけてもらいました。私がうっかりテーブルの下の奥のほうに転がしてしまって、最初は私自身で探し始めたのですが、ふと思いついて、レジーナに「フェッチ」と声をかけてみました。するとレジーナはその意味を理解して、やがてその蓋をしっかり口にくわえて私の左脇にやってきて座り、「はい、これだよ」と渡してくれたのです。それは何とも可愛い姿!私は何度も「グッド、グッド」と言いつつレジーナを抱きしめて、精一杯の感謝の気持ちを表わしました。
「フェッチ」というのはかなり難度の高い指示語で、レジーナが我が家に来たばかりのときには全くできなかったお仕事です。それを最近はこなしてくれるようになったのですから、この間の成長ぶりを感じ取っている昨今です。
実は、私自身、40 代ぐらいまでは、聴力を使って、不本意に落とした 50 円玉を、転がっていくときの音を頼りに、私がどこかにぶつかってケガもすることなく、ちゃんとそれを探し当てることができました。アメリカに行ったときも、その技を披露したことがあります。しかし、いまはもう無理です。
私たちの苦手な「探し物」を盲導犬が代行してくれることがあります。アイメイト協会で訓練を受けた盲導犬は、目の見えない人の歩行を助けること以外に、日常生活上の困り事の手だすけもするように訓練されるのです。その一つが「フェッチ(持ってきて)」という指示語を学んでそのタスクを行うことです。もちろん 50 円玉のようなコインは、万が一誤飲するといけないので拾ってもらいませんが、箸の片割れやマスクなどは見つけてもらうことがあります。
先代の盲導犬アーサは、コンビニで私が落とした千円札をすぐに見つけて口にくわえて、そこにいた店員のお兄さんに、とても褒められたことがあります。そのときお札が落ちたのが、ちょうどアーサの顔の近くだったという幸運もあったのですが、彼にとっては驚きの出来事だったのでしょう。
この原稿を書いている 10 月中旬の朝にも、現在の盲導犬・レジーナに、ブレイルメモ(点字の電子手帳)の電池蓋を見つけてもらいました。私がうっかりテーブルの下の奥のほうに転がしてしまって、最初は私自身で探し始めたのですが、ふと思いついて、レジーナに「フェッチ」と声をかけてみました。するとレジーナはその意味を理解して、やがてその蓋をしっかり口にくわえて私の左脇にやってきて座り、「はい、これだよ」と渡してくれたのです。それは何とも可愛い姿!私は何度も「グッド、グッド」と言いつつレジーナを抱きしめて、精一杯の感謝の気持ちを表わしました。
「フェッチ」というのはかなり難度の高い指示語で、レジーナが我が家に来たばかりのときには全くできなかったお仕事です。それを最近はこなしてくれるようになったのですから、この間の成長ぶりを感じ取っている昨今です。
【編集後記】
通信 375 号をお届けいたします。デルタ株の急速な減少が進み、緊急事態宣言も解除されました。しかしながら、秋から冬にかけてのインフルエンザとコロナの同時流行による第 6 波への懸念や、早急な備えと対策が必要との声
が聞こえてきておりますので、気を緩めることなく十分警戒ください。さて、10 月 28 日には障害福祉課との懇談会が開かれます。懇談会に向けて、「まゆだま」さん、「工房みどりの風」さんより提言が上がっていますので全文掲載しました。当日の議論の参考にしていただければ幸いです。(編集部)
が聞こえてきておりますので、気を緩めることなく十分警戒ください。さて、10 月 28 日には障害福祉課との懇談会が開かれます。懇談会に向けて、「まゆだま」さん、「工房みどりの風」さんより提言が上がっていますので全文掲載しました。当日の議論の参考にしていただければ幸いです。(編集部)
【連載コラム B 型肝炎闘病記 パオ 小濵 義久 闘病史 その 57】
7月 10 日から 16 日までは「d」、18 日から 9 月 21日まではほとんど連続して「D」と手帳に記されている。「d」は軽い欝、「D」は抑鬱・鬱状態を示している。
8 月頃より、記銘力低下、不安感、焦燥感が高まっているとの記載も見られる。9 月 6 日には精神科医である石井 Dr と外来患者が終わるのを待ってじっくり話し込んだ。とても人の良い気さくな先生で、普段も待っている患者がいなければ、いろんな話もした。
精神医療改革の先達でもあり、話してくれる昔話には引き込まれることもあった。抗鬱剤は限界量に来ているし、睡眠薬も効かない状況がこのまま続くと大変だと伝えたが、先生も困っておられるようだった。6 月頃だったか、一度「リタリン」という薬を試させてもらったが、切れ味鋭く、素晴らしく効いた。
あまりにもの即応的な好反応にびっくりしたが、極めて危険な薬と知っていたので、1 回で止めた。薬の知識がない人なら、はまって依存症になるという訳がよく分かった。状況を山田 Dr に伝えると、うつ病や物忘れ外来でかなり
名前が売れている精神科医に一度診てもらったらと、紹介状を書いてくださった。所謂セカンドオピニオンである。早速9 月 29 日に阿佐ヶ谷までよろよろと出掛けて行った。久し振りの阿佐ヶ谷だったが、何の感慨も湧いてこず、昔馴染みを訪ね歩く気にもなれなかった。
半世紀近く前、阿佐ヶ谷にはよく行っていた。小室等さんのお兄さんが経営する喫茶店があり、2 階の空きスペースを使わせてもらって臨床研究会をしばらくやっていたことがある。お兄さんはとても気さくで、暫くお付き合いをさせてもらった。もちろん歌うのも上手だった。この研究会でのある話が発
端となって、八王子で仕事をすることになり、そのまま住むことになった。その頃は早く八王子から出て行こうと考えていたが、最近はこんなに良い所はないと感じている。海がもっと近ければ最高なのだが。
現在成城学園前で手広くクリニック、デイケアや心理相談など展開している墨岡 Dr もその研究会のメンバーの一人で、歴呈賞をもらった詩人としての姿も垣間見えた。随分会っていないので、今はどうなられたか?この研究会では、精神科の地域医療がまだほとんどなく、地域福祉もまた夢の世界の時代にあって、地域に出向いて「精神衛生の夕べ」という啓発活動をやっていたことがある。それなりにお役に立てたか。
8 月頃より、記銘力低下、不安感、焦燥感が高まっているとの記載も見られる。9 月 6 日には精神科医である石井 Dr と外来患者が終わるのを待ってじっくり話し込んだ。とても人の良い気さくな先生で、普段も待っている患者がいなければ、いろんな話もした。
精神医療改革の先達でもあり、話してくれる昔話には引き込まれることもあった。抗鬱剤は限界量に来ているし、睡眠薬も効かない状況がこのまま続くと大変だと伝えたが、先生も困っておられるようだった。6 月頃だったか、一度「リタリン」という薬を試させてもらったが、切れ味鋭く、素晴らしく効いた。
あまりにもの即応的な好反応にびっくりしたが、極めて危険な薬と知っていたので、1 回で止めた。薬の知識がない人なら、はまって依存症になるという訳がよく分かった。状況を山田 Dr に伝えると、うつ病や物忘れ外来でかなり
名前が売れている精神科医に一度診てもらったらと、紹介状を書いてくださった。所謂セカンドオピニオンである。早速9 月 29 日に阿佐ヶ谷までよろよろと出掛けて行った。久し振りの阿佐ヶ谷だったが、何の感慨も湧いてこず、昔馴染みを訪ね歩く気にもなれなかった。
半世紀近く前、阿佐ヶ谷にはよく行っていた。小室等さんのお兄さんが経営する喫茶店があり、2 階の空きスペースを使わせてもらって臨床研究会をしばらくやっていたことがある。お兄さんはとても気さくで、暫くお付き合いをさせてもらった。もちろん歌うのも上手だった。この研究会でのある話が発
端となって、八王子で仕事をすることになり、そのまま住むことになった。その頃は早く八王子から出て行こうと考えていたが、最近はこんなに良い所はないと感じている。海がもっと近ければ最高なのだが。
現在成城学園前で手広くクリニック、デイケアや心理相談など展開している墨岡 Dr もその研究会のメンバーの一人で、歴呈賞をもらった詩人としての姿も垣間見えた。随分会っていないので、今はどうなられたか?この研究会では、精神科の地域医療がまだほとんどなく、地域福祉もまた夢の世界の時代にあって、地域に出向いて「精神衛生の夕べ」という啓発活動をやっていたことがある。それなりにお役に立てたか。
診察してくれた阿佐ヶ谷の医師は私が考えていた有名な人ではなかったが、院長である野崎 Dr は私を外来の一番最後に廻し、じっくり 1 時間ほど私の話を聴いてくれた。話を聴くだけじゃなく、小さな字で逐語的にカルテに速記録のように書いていくその丁寧さにびっくりした。筆記力は名人芸の域に達していた。それだけで病気はほとんど治ったも同然だった。ある時、「阿佐ヶ谷に凄い良心的な精神科医がいるね」と口にしたら、一緒に仕事をしていたカウンセラー仲間の女性から「私の同級生です。紹介しましょうか?」と言
われたのにはびっくりした。
最後に彼は「貴方の話を聴いているととてもしっかりしているし、若年性アルツハイマーではないですね。八王子の先生が言われるように、私も鬱だと思います。」と言って下さった。
われたのにはびっくりした。
最後に彼は「貴方の話を聴いているととてもしっかりしているし、若年性アルツハイマーではないですね。八王子の先生が言われるように、私も鬱だと思います。」と言って下さった。
会計を終えて階段を降りると、阿佐ヶ谷の街はとっぷり暮れていた。インターフェロンの副作用の時の「鬱」と今回の「鬱」は随分様相が違ってるなと感じつつ、幾分ホッとしている自分がいた。「貴方が言うように、若年性アルツハイマーですね」と言われていたら、どうなっていたのだろうか?来た時よりも足取りは随分軽くなっていた。
受診した 9 月 29 日の夜は手帳には「徹夜」と記されている。「不眠」ではないので、何か作業をしていたのだろう。はっきりと診断が下ったことで、自分の疑いや迷いが取れ、気持ち的には随分楽になれたようで、29 日以降手帳には鬱を指し示すマークはなくなっている。不眠と鬱のドツボからは何とか抜け出せたものの、それ以降一気に回復へと向かった訳ではなく、好悪の波を繰り返す日々が続いた。そして、2 ヶ月後に大きな落とし穴が待っていた。(次号に続く)
受診した 9 月 29 日の夜は手帳には「徹夜」と記されている。「不眠」ではないので、何か作業をしていたのだろう。はっきりと診断が下ったことで、自分の疑いや迷いが取れ、気持ち的には随分楽になれたようで、29 日以降手帳には鬱を指し示すマークはなくなっている。不眠と鬱のドツボからは何とか抜け出せたものの、それ以降一気に回復へと向かった訳ではなく、好悪の波を繰り返す日々が続いた。そして、2 ヶ月後に大きな落とし穴が待っていた。(次号に続く)