八障連通信295号をアップします。
今回は例会でグループさんぽの現状についてお話を伺った様子が掲載されています。
八障連通信295号【PDF版】はこちら
以下、通信295号の本文になります。
【例会報告】
2014年12月18日、例会でNPO法人ひまわり理事長の岡田美和子氏と生活介護事業所「グループさんぽ」施設長の河内氏から、障害者自立支援法施行を受けての移行後の活動について、お話を伺いました。
「グループさんぽは、肢体不自由児を支援しているサンフレンズ八王子と知的障害者支援を行っているポケットクラブが合併して、NPO法人を設立。平成24年10月よりグループさんぽとして再出発をしました。もともとは放課後活動など親たちが手探りで支援してきた経過もあり、施設運営としては確立されないまま、法人設立と事業移行を行ったことで、事務的にも運営面でも苦労が絶えませんでした。職員の採用も応募がなく厳しい状況でしたが、なんとか常勤3名(全て男性)と非常勤10名(全て女性)の体制をとっています。
現在利用者は12名いらっしゃいますが、時の経過と共に、利用者の環境も親の高齢化など変化が起こりました。将来を考えてグループホーム併設の事業所へ移る方もあり、運営的にも厳しい状況となりました。
そのため、「旧サンフレンズ八王子」と「旧ポケットクラブ」で別々の場所で活動してきましたが、来年度より一箇所へ移転し、一緒に活動していくことを決めました。H26年9月から新任の施設長をはじめ、ほとんどの職員が新しく変わった中で、一緒に活動することに向けて手探りで準備を進めています。今後の課題としては、利用者さんのことを考えて、送迎サービスも導入したいと思いますし、財政面を考えると、八王子市の運営安定化事業補助金(旧家賃補助)も今までの半額であっても継続して欲しいと願っています。」
以下質疑応答から抜粋します。
●現在、理事には親も参加しておりますが、外部の方へも役員をお願いしている状況にあります。現場の活動は職員の方々へ任せているのが現状です。
●現場職員と親の立場との意見の相違については、もともと何もサービスがなかった地域柄、様々な障害者、親が寄り添って活動してきた経緯があります。そのため、お互いを尊重し、個別性を重んじる活動に重点をおくことが自然に育まれたと考えています。
●現在の活動内容は、朝、職員と利用者で掃除を行い、10時のミーティングの後、それぞれの1日の過ごし方を確認します。パソコン作業をする者、事務作業をする者など個々に応じて行っています。課題としては、個別性を重視していますので、一律の作業を皆で行うことは難しいと考えますが、反面、作業のバリエーションを増やすことは、職員のマンパワーとして限界があるとも感じています。
●来年度から同じ場所で活動することへの具体的な準備として、今年11月頃より、同じ場になれる試みとして、交流を週1日ペースで行っています。今後の活動については、はじめから職員が決まったメニューを用意するのではなくて、まずは両方の活動を行う中で、手探りで探していこうと考えています。
所感として、高齢化という課題は昔からあったことですが、福祉施策が大きく変わり、障害者とその家族を支援する福祉サービスも、経営を意識しなければならない時代へと変化を遂げました。また少子高齢化や経済状況ということも強く影響を受けます。障害当事者へのよりよい支援のために、今までの活動を次世代へどのように伝え、残していくのか。その点については、どの団体も同じ課題を抱えていると感じました。なお、岡田理事長からの報告も掲載(4P参照)しております。合わせご一読ください。(文責:有賀)
【連載コラム vol.6 『キャリアウーワンとのお出かけ日記から(1)』 八視協・鈴木由紀子】
①駅での盲導犬修行
某月某日、その日私たちは、京王線と山手線を乗り継いで、目白駅近くの楽器店に行くところでした。家の玄関を出て小さな角をいくつか曲がり、信号を2カ所渡ると京王線の駅に着きます。ところが、コンコースへのエスカレーターを勢いよく下りて左折し、改札口に近づいた途端に、アーサの歩みは突然止まります。本来なら私が「改札」と指示すると、アーサが入札手続きのための操作部に顎を付けて「ここよ」と私に教えるので、私はそこにカードをタッチして入ることができるのですが、あるときからアーサは、改札機のバーから悠に30センチは離れた位置で、バーを見つめたまま動かなくなってしまいました。
偶然その姿を目撃した知り合いの説明によると、それまで軽く動かしていたしっぽの動きも止めて、アーサが逃げ腰で目の前の改札口を見つめているといいます。一方私は、パスモをタッチする場所がわからないので、手をぶらぶらさせたまま立ち尽くすことになります。アーサは、自動改札機が全く苦手なのです。そのころ私は、まずアーサを先に行かせて私があとから付いていくという方法で自動改札口を利用していました。ところが盲導犬のアーサにしてみると、その通路はとても狭くて二人だと通れない、どうしたらいいの?、と私からの次の指示を待っていたのです。私に咄嗟にそのことがわからないでいるうちにバーがバタンと閉まり、それがアーサの鋭敏な鼻先を勢いよく直撃したのです。体高55センチで、子どもの背丈より低い位置にいるアーサの体が機械に「異物」とみなされて、何の理由もなく、突然痛いパンチを受けたわけです。
それ以来アーサの頭には、「ここはとても怖いところ」という事実がインプットされて、その場所に来ると、体が萎縮してしまうのです。これが問題の発見期、第一段階です。電車を乗り降りする度に利用することになる自動改札機に、どのようにしてアーサに慣れてもらおうかと悩み、先輩ユーザーに相談したり、あれこれ試行錯誤する日々が、それから随分続きました。目の見えない私には、カードを置く場所まで数センチのすき間しかなくても、体のどこかで実際にふれてみなくては、正しい位置がわかりません。また、カードを持ったまま、手をぶらぶらさせている瞬間があるのも嫌でした。係員がいる改札口はいつも混んでいるので、せっかちな私は避けてしまいます。
私がしばらく試していたのは「ヒール」という方法。私たちはどのみち機会の近くに立っているのですから、私自身でねらいを定めて手を伸ばし、何とか自動改札機を見つけて、カードをタッチして先に入り、「カム」と言ってアーサにすぐあとから付いてこさせるというやり方でした。それが望ましい姿ではないと知りつつ、そんなことを1年以上繰り返していたのです。
冷静に考えてみて、ユーザーが先に動いて盲導犬があとから付いてくるというのは、補助犬の本来の使い方ではありません。それなら、外出するのに補助犬は要らないことになってしまいます。また、いまの自動改札機は入出場どちらにも対応していますから、タイミングが悪ければ、同じ機械を使って出札手続きをして出てくる人とぶつかったり、思わぬ危険に身をさらすことにもなりかねません。
ある日私は、視覚障害者向け同行支援の経験豊富な方にその悩みを話し、一緒に駅に行って状況を見ていただきました。その方は一つのアイディアを提案してくれました。「とにかく急がずに、バーが開いたら、あなたとアーサが並んでゆっくり通れば、いいんじゃないかしら」とおっしゃるので、すぐそのとおりにやってみました。最初のうちアーサは警戒心全開で、少しでも早くそこから逃げ出したいという雰囲気がみえみえのまま、いそいそと改札機の向こう側に飛び出していきます。あるときにはその勢いに押されて、私がうっかり乗り換え切符を取り忘れてしまうという苦い経験もありました(私のうっかりミスを、アーサのせいにしてはいけませんけど)。でも、そんなときアーサからは、今日は痛い思いをしなくてよかった、よかったと、本当にほっとした感じがひしひしと伝わってくるのです。
方、盲導犬が望ましい動きをしたとき、それがどんなに小さな進歩でも、ユーザーはその場で止まり、「グッド、グッド」と褒めてあげます。私はよく「アーサ、グレイト!、うまくできたね!」と褒めことばを送りつつ、肩を抱いたり、頭をなでたりします。そうするとアーサも「ほら、私うまくできたよね!」と軽く飛びはねたり、しっぽをクルクル回したりして、うれしそうにして、その様子が何ともかわいいのです。お仕事犬のエリートともいわれる盲導犬は、訓練所を卒業するまでに、ユーザーのお出かけに必要なさまざまな経験をします。そのお蔭で、建て物の入り口やドア、バスや電車、エスカレーターやエレベーターの乗り口、電車の空席にさえ私たちを案内してくれるようになるのです。でも、盲導犬ユーザーの必要性もさまざまですし、文明の進歩による新たなニーズも出てきます。ユーザーと暮らし始めてキャリアアップのお勉強、という事態も、間々あるのです。アーサも、私も、日々新たな体験をし、成長しています。駅での盲導犬修行はまだ不完全ですし、キャリアウーワン・アーサの試行錯誤の日々は、さらに続きます。
【1月・2月・3月のスケジュール ボウリング大会もあるよ!! 参加してね。】
八障連運営委員会
1月22日(木)18時~20時 クリエイト
精神科病棟転換型居住系施設を考える東京集会
1月29日(木)13時~16時 いちょうホール
八障連・ワークセンター共催 リレートーク&居酒屋トーク
1月30日(金)18時~22時 ワークセンター・居酒屋
八障連主催 第2回知的学習会
1月31日(土)13時30分~16時 クリエイト
八障連主催 ボウリング大会
2月14日(土)13時~16時30分 高尾スターレーン
2月例会(隔月企画 55の会 活動報告)
2月19日(木)18時~20時 クリエイトホール
福祉フォーラム
3月14日(土)13時30分~16時 八王子労政会館
【法人化以降と状況報告 特定非営利活動法人ひまわり理事長 岡田美知子】
平成26年10月に、旧サンフレンズ八王子と旧ポケットクラブが1つになり生活介護施設「グループさんぽ」として法人に移行致しました。肢体不自由と知的障害と長く別々に活動をしてきましたので、主たる事業所と従たる事業所に分かれて運営してきました。とはいえ、一つの施設としての統合性も必要ですので、問題が発生した時は、互いの種別の違いを考慮しながら、理事会での話し合いで解決してきました。
旧サンフレンズ八王子も旧ポケットクラブも地域デイのⅠランクからの法人化でしたので、放課後活動から徐々に卒後の施設へ移行し、法人化時はやっと全員卒業したばかりの段階でした。
法人施設となって施設の在り方、労働基準監督署に就業規則や給与規則を提出するなど、公的施設としての役割や様々な決まり事、組織作り、心構えなど、運営側も職員も活動しながら後から追いかける形でした。スタートしてみて初めて見えてくる問題など驚きと戸惑いを感じながら何とか形になってきたのが正直なところです。
当初は0(ゼロ)からの自転車操業状態でしたが、26年2月の段階で、経理的に兼ねてからの懸案であった施設長を迎えられるようになったことを確認しあい、人選に入りました。縁あって高齢者施設で長く施設長やケアマネージャーの経験をしてきた河内昭弘氏を迎えて、26年9月からグループさんぽの施設長として勤務してもらうに至りました。
地域デイ時代には、求めていても中々置くことができなかった施設長が置けるようになり、ホッとしていた矢先新たな問題が発生しました。利用者15名で一日平均利用9.3人の、まだまだ安泰という運営状態ではなかったのですが、3月に従たる事業所からお一人他施設利用の希望があり、4月にも新たに他施設を併用して利用したい希望など、施設長人選と並行して従たる事業所存続を危ぶむ事態が発生しました。元々種別の違いを考慮しての2つの事業所で運営せざるを終えなかった状況で、そもそも利用者人数的には2つの事業所を運営するには厳しいものがありました。また従たる事業所を廃止にすればよいだけの簡単な問題ではなく、様々なところにも波及し職員の退職、主たる事業所の使用者にも退所者が出るに及びました。
平成10年互いの施設が発足し、当時は卒後への不安を何とかしたい強い気持ちが優先し、将来どんな福祉状況になるかなど考えるに及ばず、目の前の問題をこなしながらの14年間でした。16年ともなると家族構成も変わり、10年先を漠然と考えていた親も3年先、いや来年元気で子供の世話ができているかなど・・・活動内容が本人に合っていればよい段階から、親も高齢に差し掛かった実感から様々な事業所とつながって置きたいという気持ちが生まれてきたものと思います。そのことが理事会で浮き上がる前に事態は動き出していました。
現在、27年3月を持って従たる事業所の廃止の準備をしております。次年度4月から利用者12名一日平均利用6.8人からの再スタートとなります。とても厳しい再スタートとなりますが、南大沢区域の通所施設として利用者のニーズに応えられるよう、施設長の下職員一同元気に利用者一人ひとりに対応してくれています。今後、現在行えていない利用者の送迎の確保にも努めているところです。
以上大変目まぐるしい変化を遂げている「グループさんぽ」の実情報告です。27年4月から八王子市も中核市となるとのこと、市民や福祉施設にどんなメリットがあるのかまだ分かりませんが、きめ細やかな福祉行政であっていただきたいと願っています。また、八障連の皆様には、市への福祉の実情を声にして届けていただいていることに感謝しております。ご指導よろしくお願いいたします。
【八障連年会費振込先:郵便局 加入者名:八王子障害者団体連絡協議会 口座番号:00130‐0‐184316】
以上、八障連通信295号本文はここまで。
今回は例会でグループさんぽの現状についてお話を伺った様子が掲載されています。
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以下、通信295号の本文になります。
【例会報告】
2014年12月18日、例会でNPO法人ひまわり理事長の岡田美和子氏と生活介護事業所「グループさんぽ」施設長の河内氏から、障害者自立支援法施行を受けての移行後の活動について、お話を伺いました。
「グループさんぽは、肢体不自由児を支援しているサンフレンズ八王子と知的障害者支援を行っているポケットクラブが合併して、NPO法人を設立。平成24年10月よりグループさんぽとして再出発をしました。もともとは放課後活動など親たちが手探りで支援してきた経過もあり、施設運営としては確立されないまま、法人設立と事業移行を行ったことで、事務的にも運営面でも苦労が絶えませんでした。職員の採用も応募がなく厳しい状況でしたが、なんとか常勤3名(全て男性)と非常勤10名(全て女性)の体制をとっています。
現在利用者は12名いらっしゃいますが、時の経過と共に、利用者の環境も親の高齢化など変化が起こりました。将来を考えてグループホーム併設の事業所へ移る方もあり、運営的にも厳しい状況となりました。
そのため、「旧サンフレンズ八王子」と「旧ポケットクラブ」で別々の場所で活動してきましたが、来年度より一箇所へ移転し、一緒に活動していくことを決めました。H26年9月から新任の施設長をはじめ、ほとんどの職員が新しく変わった中で、一緒に活動することに向けて手探りで準備を進めています。今後の課題としては、利用者さんのことを考えて、送迎サービスも導入したいと思いますし、財政面を考えると、八王子市の運営安定化事業補助金(旧家賃補助)も今までの半額であっても継続して欲しいと願っています。」
以下質疑応答から抜粋します。
●現在、理事には親も参加しておりますが、外部の方へも役員をお願いしている状況にあります。現場の活動は職員の方々へ任せているのが現状です。
●現場職員と親の立場との意見の相違については、もともと何もサービスがなかった地域柄、様々な障害者、親が寄り添って活動してきた経緯があります。そのため、お互いを尊重し、個別性を重んじる活動に重点をおくことが自然に育まれたと考えています。
●現在の活動内容は、朝、職員と利用者で掃除を行い、10時のミーティングの後、それぞれの1日の過ごし方を確認します。パソコン作業をする者、事務作業をする者など個々に応じて行っています。課題としては、個別性を重視していますので、一律の作業を皆で行うことは難しいと考えますが、反面、作業のバリエーションを増やすことは、職員のマンパワーとして限界があるとも感じています。
●来年度から同じ場所で活動することへの具体的な準備として、今年11月頃より、同じ場になれる試みとして、交流を週1日ペースで行っています。今後の活動については、はじめから職員が決まったメニューを用意するのではなくて、まずは両方の活動を行う中で、手探りで探していこうと考えています。
所感として、高齢化という課題は昔からあったことですが、福祉施策が大きく変わり、障害者とその家族を支援する福祉サービスも、経営を意識しなければならない時代へと変化を遂げました。また少子高齢化や経済状況ということも強く影響を受けます。障害当事者へのよりよい支援のために、今までの活動を次世代へどのように伝え、残していくのか。その点については、どの団体も同じ課題を抱えていると感じました。なお、岡田理事長からの報告も掲載(4P参照)しております。合わせご一読ください。(文責:有賀)
【連載コラム vol.6 『キャリアウーワンとのお出かけ日記から(1)』 八視協・鈴木由紀子】
①駅での盲導犬修行
某月某日、その日私たちは、京王線と山手線を乗り継いで、目白駅近くの楽器店に行くところでした。家の玄関を出て小さな角をいくつか曲がり、信号を2カ所渡ると京王線の駅に着きます。ところが、コンコースへのエスカレーターを勢いよく下りて左折し、改札口に近づいた途端に、アーサの歩みは突然止まります。本来なら私が「改札」と指示すると、アーサが入札手続きのための操作部に顎を付けて「ここよ」と私に教えるので、私はそこにカードをタッチして入ることができるのですが、あるときからアーサは、改札機のバーから悠に30センチは離れた位置で、バーを見つめたまま動かなくなってしまいました。
偶然その姿を目撃した知り合いの説明によると、それまで軽く動かしていたしっぽの動きも止めて、アーサが逃げ腰で目の前の改札口を見つめているといいます。一方私は、パスモをタッチする場所がわからないので、手をぶらぶらさせたまま立ち尽くすことになります。アーサは、自動改札機が全く苦手なのです。そのころ私は、まずアーサを先に行かせて私があとから付いていくという方法で自動改札口を利用していました。ところが盲導犬のアーサにしてみると、その通路はとても狭くて二人だと通れない、どうしたらいいの?、と私からの次の指示を待っていたのです。私に咄嗟にそのことがわからないでいるうちにバーがバタンと閉まり、それがアーサの鋭敏な鼻先を勢いよく直撃したのです。体高55センチで、子どもの背丈より低い位置にいるアーサの体が機械に「異物」とみなされて、何の理由もなく、突然痛いパンチを受けたわけです。
それ以来アーサの頭には、「ここはとても怖いところ」という事実がインプットされて、その場所に来ると、体が萎縮してしまうのです。これが問題の発見期、第一段階です。電車を乗り降りする度に利用することになる自動改札機に、どのようにしてアーサに慣れてもらおうかと悩み、先輩ユーザーに相談したり、あれこれ試行錯誤する日々が、それから随分続きました。目の見えない私には、カードを置く場所まで数センチのすき間しかなくても、体のどこかで実際にふれてみなくては、正しい位置がわかりません。また、カードを持ったまま、手をぶらぶらさせている瞬間があるのも嫌でした。係員がいる改札口はいつも混んでいるので、せっかちな私は避けてしまいます。
私がしばらく試していたのは「ヒール」という方法。私たちはどのみち機会の近くに立っているのですから、私自身でねらいを定めて手を伸ばし、何とか自動改札機を見つけて、カードをタッチして先に入り、「カム」と言ってアーサにすぐあとから付いてこさせるというやり方でした。それが望ましい姿ではないと知りつつ、そんなことを1年以上繰り返していたのです。
冷静に考えてみて、ユーザーが先に動いて盲導犬があとから付いてくるというのは、補助犬の本来の使い方ではありません。それなら、外出するのに補助犬は要らないことになってしまいます。また、いまの自動改札機は入出場どちらにも対応していますから、タイミングが悪ければ、同じ機械を使って出札手続きをして出てくる人とぶつかったり、思わぬ危険に身をさらすことにもなりかねません。
ある日私は、視覚障害者向け同行支援の経験豊富な方にその悩みを話し、一緒に駅に行って状況を見ていただきました。その方は一つのアイディアを提案してくれました。「とにかく急がずに、バーが開いたら、あなたとアーサが並んでゆっくり通れば、いいんじゃないかしら」とおっしゃるので、すぐそのとおりにやってみました。最初のうちアーサは警戒心全開で、少しでも早くそこから逃げ出したいという雰囲気がみえみえのまま、いそいそと改札機の向こう側に飛び出していきます。あるときにはその勢いに押されて、私がうっかり乗り換え切符を取り忘れてしまうという苦い経験もありました(私のうっかりミスを、アーサのせいにしてはいけませんけど)。でも、そんなときアーサからは、今日は痛い思いをしなくてよかった、よかったと、本当にほっとした感じがひしひしと伝わってくるのです。
方、盲導犬が望ましい動きをしたとき、それがどんなに小さな進歩でも、ユーザーはその場で止まり、「グッド、グッド」と褒めてあげます。私はよく「アーサ、グレイト!、うまくできたね!」と褒めことばを送りつつ、肩を抱いたり、頭をなでたりします。そうするとアーサも「ほら、私うまくできたよね!」と軽く飛びはねたり、しっぽをクルクル回したりして、うれしそうにして、その様子が何ともかわいいのです。お仕事犬のエリートともいわれる盲導犬は、訓練所を卒業するまでに、ユーザーのお出かけに必要なさまざまな経験をします。そのお蔭で、建て物の入り口やドア、バスや電車、エスカレーターやエレベーターの乗り口、電車の空席にさえ私たちを案内してくれるようになるのです。でも、盲導犬ユーザーの必要性もさまざまですし、文明の進歩による新たなニーズも出てきます。ユーザーと暮らし始めてキャリアアップのお勉強、という事態も、間々あるのです。アーサも、私も、日々新たな体験をし、成長しています。駅での盲導犬修行はまだ不完全ですし、キャリアウーワン・アーサの試行錯誤の日々は、さらに続きます。
【1月・2月・3月のスケジュール ボウリング大会もあるよ!! 参加してね。】
八障連運営委員会
1月22日(木)18時~20時 クリエイト
精神科病棟転換型居住系施設を考える東京集会
1月29日(木)13時~16時 いちょうホール
八障連・ワークセンター共催 リレートーク&居酒屋トーク
1月30日(金)18時~22時 ワークセンター・居酒屋
八障連主催 第2回知的学習会
1月31日(土)13時30分~16時 クリエイト
八障連主催 ボウリング大会
2月14日(土)13時~16時30分 高尾スターレーン
2月例会(隔月企画 55の会 活動報告)
2月19日(木)18時~20時 クリエイトホール
福祉フォーラム
3月14日(土)13時30分~16時 八王子労政会館
【法人化以降と状況報告 特定非営利活動法人ひまわり理事長 岡田美知子】
平成26年10月に、旧サンフレンズ八王子と旧ポケットクラブが1つになり生活介護施設「グループさんぽ」として法人に移行致しました。肢体不自由と知的障害と長く別々に活動をしてきましたので、主たる事業所と従たる事業所に分かれて運営してきました。とはいえ、一つの施設としての統合性も必要ですので、問題が発生した時は、互いの種別の違いを考慮しながら、理事会での話し合いで解決してきました。
旧サンフレンズ八王子も旧ポケットクラブも地域デイのⅠランクからの法人化でしたので、放課後活動から徐々に卒後の施設へ移行し、法人化時はやっと全員卒業したばかりの段階でした。
法人施設となって施設の在り方、労働基準監督署に就業規則や給与規則を提出するなど、公的施設としての役割や様々な決まり事、組織作り、心構えなど、運営側も職員も活動しながら後から追いかける形でした。スタートしてみて初めて見えてくる問題など驚きと戸惑いを感じながら何とか形になってきたのが正直なところです。
当初は0(ゼロ)からの自転車操業状態でしたが、26年2月の段階で、経理的に兼ねてからの懸案であった施設長を迎えられるようになったことを確認しあい、人選に入りました。縁あって高齢者施設で長く施設長やケアマネージャーの経験をしてきた河内昭弘氏を迎えて、26年9月からグループさんぽの施設長として勤務してもらうに至りました。
地域デイ時代には、求めていても中々置くことができなかった施設長が置けるようになり、ホッとしていた矢先新たな問題が発生しました。利用者15名で一日平均利用9.3人の、まだまだ安泰という運営状態ではなかったのですが、3月に従たる事業所からお一人他施設利用の希望があり、4月にも新たに他施設を併用して利用したい希望など、施設長人選と並行して従たる事業所存続を危ぶむ事態が発生しました。元々種別の違いを考慮しての2つの事業所で運営せざるを終えなかった状況で、そもそも利用者人数的には2つの事業所を運営するには厳しいものがありました。また従たる事業所を廃止にすればよいだけの簡単な問題ではなく、様々なところにも波及し職員の退職、主たる事業所の使用者にも退所者が出るに及びました。
平成10年互いの施設が発足し、当時は卒後への不安を何とかしたい強い気持ちが優先し、将来どんな福祉状況になるかなど考えるに及ばず、目の前の問題をこなしながらの14年間でした。16年ともなると家族構成も変わり、10年先を漠然と考えていた親も3年先、いや来年元気で子供の世話ができているかなど・・・活動内容が本人に合っていればよい段階から、親も高齢に差し掛かった実感から様々な事業所とつながって置きたいという気持ちが生まれてきたものと思います。そのことが理事会で浮き上がる前に事態は動き出していました。
現在、27年3月を持って従たる事業所の廃止の準備をしております。次年度4月から利用者12名一日平均利用6.8人からの再スタートとなります。とても厳しい再スタートとなりますが、南大沢区域の通所施設として利用者のニーズに応えられるよう、施設長の下職員一同元気に利用者一人ひとりに対応してくれています。今後、現在行えていない利用者の送迎の確保にも努めているところです。
以上大変目まぐるしい変化を遂げている「グループさんぽ」の実情報告です。27年4月から八王子市も中核市となるとのこと、市民や福祉施設にどんなメリットがあるのかまだ分かりませんが、きめ細やかな福祉行政であっていただきたいと願っています。また、八障連の皆様には、市への福祉の実情を声にして届けていただいていることに感謝しております。ご指導よろしくお願いいたします。
【八障連年会費振込先:郵便局 加入者名:八王子障害者団体連絡協議会 口座番号:00130‐0‐184316】
以上、八障連通信295号本文はここまで。