Justice! 社会正義の実現!所得充実政策!ワクチンより検査を積極的に推奨! / 薬剤師・元参議院議員・消防団
ひらがな5文字の「はたともこ」ブログ
「後期高齢者医療制度」:10月15日から、新たな年金天引きが!
2005年の郵政解散総選挙の直後に発足した第3次小泉内閣は、衆議院で与党が2/3以上の議席を獲得した勢いに乗り、初当選した小泉チルドレンと称される人々のお祭り騒ぎでメディアをにぎわす中、あろうことか当の与党議員もその本質を知らぬままに、天下の悪法「後期高齢者医療制度」を成立させました。「小泉マジック」とは、まさにこのことを指すのであって、国民が支持した小泉政権は、実はそれに乗じて、国民を欺いていたのです。
65歳~74歳の障がいのある人を含めると、この制度の対象者は1,300万人です。政府の一方的な通告により、本年4月から、75歳以上の方々が、従来の保険から後期高齢者医療制度に強制的に移行させられ、保険料を年金天引きされるようになりました。何よりも保険料の「年金天引き」は、高齢者に大きなショックを与えました。特にギリギリの年金生活を送られている方々にとっては、事実上の年金削減、弱い者いじめもここまでくると虐待といっても過言ではありません。
厚労省の前で座り込みをしたり街頭で訴えたりと、政府への不満をあらわにする75歳以上の方々の姿を、今でもよく見かけます。2006年当時、人気に乗じて国民を騙すようなやり方をした政府は、恥を知るべきです。また、この法律の内容をよく知らなかったとコメントした与党議員は、議員の資格がありませんから辞職するのが当然です。
制度そのものの問題もさることながら、年金天引きというやり方は、弱い者いじめ以外の何ものでもありません。本制度で、4月からの保険料天引きが見送られた方々は、来月10月15日から天引きが開始されます。「会社員の被扶養者200万人」「4月からの天引きが間に合わなかった31自治体90万人」「健保組合などに加入する会社員本人35万人」と「65歳~74歳の前期高齢者の国保加入者250万人」、合わせて575万人の方々が、10月15日から年金天引きが始まるのです。政府は、この間の制度の廃止を求める国民の声の拡大をまったく無視して、新たな年金天引きを強行しようとしています。
平成18年度の70歳以上の医療費は、約14兆円でした。34兆円にのぼる医療費全体の、なんと4割以上です。医療費を沢山使う当事者に負担させようという後期高齢者医療制度は、事態の抜本的改革にはまったくなりません。一方で厚労省は、医療費増大の要因は、高価な薬や医療機器による「新しい治療手段」と言ってはばかりません。厚労省は、高齢化は医療費増の要因ではないとし、先進7カ国の中で、最も高齢化率の高い日本の医療費は、GDP比で見ると先進7カ国の中で最も少ないとも主張し、このままいくと2025年には倍増が予想される医療費を、決して高くはないと主張しています。
すなわち、厚労省は、年々増大する医療費をこのまま野放図にして、その分の負担は国民に押し付けると言っているに等しいのです。野放図にするどころか、あらたにメタボ健診を導入したのですから、医療費は予測をはるかに超えて膨れ上がり、2025年、国民の医療費負担はいったいいくらになるのか?空恐ろしくてなりません。
あえて諸外国と比較するなら、日本の医療費で目立つのは、薬剤費の占める割合が高いことです。先発医薬品の薬価は高く、ジェネリック医薬品が浸透してきたとはいえ、医療費全体に占める薬剤費の割合は約25%です。中でも高血圧疾患に用いられる薬剤費の割合が最も高く、1兆円規模の市場です。血圧の数値だけ見て体全体を診ず・・・多くの高齢者に降圧剤が処方されているのです。過日レポートした通り、新たに始まったメタボ健診によって、降圧剤は1兆円増・コレステロールを下げる薬は2兆円増と予測されており、医療費増大の大きな要因に薬剤費があげられることは、もはや否定できません。
対GDP比を諸外国と比較し、医療費はもっと膨らんでも当然と豪語してはばからない厚労省による医療行政は、あきらかに製薬会社に偏重しています。覚えきれない数の薬を毎日飲まされるご高齢の患者さんに遭遇する度に、薬剤師としての職業倫理から胸が痛みます。病状(体調)は良くなるばかりか一向に変化しないのに、漫然と与えられるがままに服用を迫られる患者・・・このまま看過して良いはずがありません。
遡れば漢の時代、皇帝は的確な診断と治療を施し病気を治す医者に、高い報奨金と名誉を与えました。翻って現在の日本の医療はどうでしょうか?今の医療に最も欠けているのは、適正な医療が行われたか否かを監査するという視点です。不適切に薬剤を処方していても、それをジャッジする担当者は当の患者を目の前にすることはできないので、レセプトに記載されている病名を信用するしかありません。病歴・病態について正確に把握することが不可能なので、長期間漫然と同じ薬が処方されていたり、むしろ病状が悪化しているケースがあったとしても、チェックしようがないのです。
将来的には、医療保険は、都道府県単位で一元化することがベストです。各自治体の裁量で医療費の適正化をはかるのです。選挙で選ばれた知事と住民自身の手で、しかるべき方法で公正なチェックをして、薬の使いすぎを直ちに指摘する仕組みが必要かもしれません。予算執行者である自治体に任せなければ、真のレセプトチェックは不可能です。
直面する課題である、産科・小児科・外科の医師不足に対して、単純に医師の数を増やすことだけをしても、問題は解決しません。新たな医師が、比較的楽な診療に偏在してしまっては、医療費だけが膨れ上がり本末転倒です。医師を増員するコストについても、新たに予算を組むのではなく、現状の医療費の組み換えによって捻出すべきです。そして、産科・小児科・外科の勤務医の処遇を厚くすることによって、これらの診療科の医師を確保していかなければならないのです。医療費は膨れ上がっているのに、何故、産科では医療を受けられる機会が激減し、小児科・外科では医師の数が減っているのでしょうか。医療費に占める高い薬剤費、中でも高血圧やコレステロールの薬など内科開業医が主に処方する薬の割合が多いことは、医療偏重の大きな要因になっています。勿論、検査づけも重要な問題です。このように、結果的に製薬会社や医療機器会社に偏重した予算を、国民本位に組み替えなければならないのです。
75歳以上の方々をターゲットにして、あらたに保険料収入を得ようとする「後期高齢者医療制度」は、天下の悪法です。それを見抜けなかった与党議員は、職務怠慢です。麻生太郎自民党幹事長は、社会保障費の伸びを年2,200億円抑制するという政府の方針を、凍結すると日本医師会に約束したそうです。新型インフルエンザに効果が期待できないタミフルの備蓄に2,000億円かけたり、新たな病気をつくり数兆円市場と言われるメタボ健診を導入したり、予防介護と称して筋トレマシーンを介護施設に導入したり、厚労省のやることなすことすべてが、業界との癒着です。いったい、誰のための行政であり政治なんでしょう!!
医療費の適正配分をはかるために、まずは医療費の中身を精査することが必要です。医療費そのものがいまやメタボリックシンドロームなのですから、真っ先に「メタボ健診」をすべきは、医療費なのです。製薬会社や医療機器会社のために国民にしわ寄せが来る厚生行政は、即刻やめなければなりません。すなわち、政権交代です。自民党の総裁の顔が変わっても、自民党の中身は変わりません。政権交代だけが、たとえば厚労省ひとつとってみても、霞ヶ関の横暴を止めさせる、唯一無二の手段なのです。