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ひらがな5文字の「はたともこ」ブログ
収束の目途さえ立たない原発、速やかに復旧される火力~天然ガスコンバインドサイクルをベースロードに
東北電力・原町火力発電所(石炭・100万kW×2基)は福島第一原発から北へ約27km(福島県南相馬市)。3/11本震当日は1号機が定格100万kWで運転中、2号機はボイラ点検で停止中だった。1号機は地震発生直後は運転継続、大津波警報発令で出力降下、津波到達で手動停止した。原町火力を襲った津波は今回の津波の中では最大級と言われ、主要設備の後方が高台となっていた立地の影響で、タービン建屋等の冠水は13mにも達した。地震動に加え最大級の津波により原町火力発電所はほぼ全壊、回復不可能に近い状況にまで陥った。復旧に向け大変困難な作業が続くが、この際、原町火力は最新型火力にリプレースすべきではないか。
また、津波襲来により東北電力・仙台火力発電所(44.6万kW・LNGコンバインドサイクル)は約5m、新仙台火力発電所(1号機35万kW重油、2号機60万kW天然ガス・重油・原油)は約3m冠水した。新仙台火力は今冬までに復旧の見通し。
一方、福島県双葉郡広野町の東京電力・広野火力発電所(1号機60万kW重油・原油、2号機60万kW重油・原油、3号機100万kW重油・原油、4号機100万kW重油・原油、5号機60万kW石炭)は、3/11本震当日、1,3,5号機は停止中、2,4号機が運転中、津波襲来により1~5全基が被災した。総力を挙げた復旧作業により、7/16全基運転再開した。
宮城県との県境、福島県新地町にある相馬共同火力㈱新地発電所(石炭・100万kW×2基)は、3/11本震当日、1号機は定期点検中、2号機は定格100万kWで運転中だったが地震直後、タービン軸受振動大で緊急停止。約1時間後、津波襲来で機器が次々ダウン、電源喪失した。今冬ピークまでに重油で出力を出し、来夏フル出力での発電を目標に復旧作業中。
福島県いわき市にある常磐共同火力㈱勿来発電所(6号機17.5万kW重油、7号機25万kW石炭、8号機60万kW石炭、9号機60万kW石炭・重油・炭化燃料)は、3/11本震当日、6号機は長期計画停止中、8号機は定期点検、7,9号機が運転中で地震発生直後、7号機は手動停止、9号機は地震動による主バーナー失火により自動停止した。津波襲来で6,7号機は1.5m、8,9号機は0.4mそれぞれ冠水したが、8号機は7/7、9号機は6/30運転再開、7号機は年末までに再開予定。(以上、被災状況は火力原子力発電技術協会「協会誌」を参考にした)
このように、3/11甚大な被害を受けた原町・仙台・新仙台・新地・勿来・広野の各火力発電所は、全壊の原町を除き来夏までに全てが復旧見込み。広野、勿来8,9号機は既に再開済。空前の大災害に見舞われても、火力発電所は可及的速やかに復旧される。いまだ収束の目途が立たない福島第一原発とは極めて対照的。
新生日本のビジョンを描くとき、原発があまりにも経済合理性を欠く時代遅れの「ローテク」であることは明白。日本には世界最新鋭の天然ガス・モアアドバンスト・コンバインドサイクル(LNG・MACC)発電技術があり、熱効率60%超のプラントは低炭素・低コストを実現する。新生日本のベースロード電源には、安全・安心・安定のLNG・MACCを位置付けるべきなのだ。政府は、無利子融資等で自家発やPPSも含め火力LNG・MACC化を推進し、更に、日本企業のLNG調達・開発等を積極的に支援すべきだ。
原発が当面する大問題は、福島第一原発事故で明らかになったように、事業者が起こった事故の真実を隠蔽し、保安院がそれを全くチェックできていないという現実だ。シビアアクシデント時の運転マニュアルさえ東京電力は公表を拒否。これでは第三者による公正な事故の真相究明・検証は不可能だ。殆ど黒塗りの東京電力「事故時運転操作手順書」の国会(衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会)提出のやり取りから、保安院がシビアアクシデント時のマニュアルの正式名称すら知らず、見たこともないことも判明した。保安院は電力会社からの報告を追認するだけで、なんらチェック機能を果たしていないのだ。事故の真相究明が何より最優先であるにもかかわらず、国会の資料提出の求めに対して「知的財産」と「核物質防護上の問題」を理由に公表しないという東京電力の事故・加害の当事者意識を欠く無神経・傲慢な姿勢は、断じて許されるものではない。東京電力に原発運転資格・事故対応能力がないことは誰の目にも明らかだ。
今なお大量の放射能を大気に放出し、汚染水を出し続ける福島第一原発。しかし、政府も国会も東京電力をコントロールできていない。政府・国会には、東京電力に福島第一原発事故シークエンスの真実を公表させる責任がある。
同時に、政府は、東北電力・原町火力発電所の復旧or最新型火力へのリプレースと、東北電力操業予定の上越火力3号系(144万Kw・LNGコンバインドサイクル)の運転開始前倒しを全面バックアップし、東北の復興に勢いをつけるべきだ。人間がコントロールできないことが証明された原発は、東北の復興計画の中にあってはならない。巨大リスクの原発をあえて選択する理由はもうなくなった。原町復旧orリプレース・上越運開までの間、必要があれば東北電力へは東京電力等から十分に電力は融通されるのだ。