Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

ベイベープロジェクト2~食餌療法!~

2012年07月11日 | 妊娠関係
 そんなわけで訪れた第2回目の診察。このプライベートクリニックの所長Bjarne医師とです。

 今回もH氏と訪れたわけですが、まず二人の検査結果をみて、治療に入るにあたって問題ないかどうかを検討。二人とも問題なし。その後一般的な問診では家族歴や病歴を聞かれたのですが、H氏は一型糖尿病、私は母、母の兄弟がほぼ全員二型糖尿病であることなどを伝えました(二型糖尿病の場合遺伝率がかなりの高確立なので。私もうっかりしてるとかなり予備軍入り)。
 
 問診の後は私の生殖器に器質的な問題がないか、エコー検査。デンマークの病院ていうのはたいがい仕切りやカーテンなどは無く、診察室の片隅にある診察台(婦人科のあれ)に、ノーパンでとことこと歩いて行ってよじ登り、診察してもらうのです。看護師でそういうことには普通の人よりは恥じらいがない私でも、さすがに抵抗が…。まだ診察室にいたH氏に、終るまで外で待つように言うと、Bjarne医師「君たちこれから子供を真剣に作るっていうのに、恥ずかしいも何もないだろう!はははー!」と豪快に笑い飛ばしてますが、いやいやいや、普通に恥ずかしいっすから!

 毎月の生理痛が重い私は、なにげに子宮筋腫とかなんかそういう問題があるんじゃないかなーと心配していたのですが、エコーの結果、特に何も問題は無し。ほっ。

 再びH氏と二人で今後の治療方針について説明を受けたのですが、さすがプライベートクリニックだからでしょうか。他の同じような治療を公立病院で受けた友達の話と違って、すごいプログラムでかなりびっくり。

第1回診察(助産師と30分):検査結果。
第2回診察(医師と60分):検査結果、女性側エコー検査、問診、治療方針決定と説明。
第3回診察(医師):生理終了後10日目頃、卵管通水検査。
第4回診察(医師):人工授精の検査と説明。
第5回診察(助産師):前回の診察から2日後に第1回目人工授精施行。
第6回診察(助産師):卵巣チェック。第2回目人工授精の説明。
第7回診察(助産師):第2回目人工授精施行。
第8回診察(助産師?医師?):ホルモン療法併用の人工授精について説明。ホルモン療法スタート(ピル)。
第9回診察(助産師):第3回目人工授精施行。
第10回診察(助産師?医師?):ホルモン療法(注射)の説明。
第11回診察(助産師):第4回目人工授精施行。
第12回診察(医師):今後の方針検討。体外受精を希望するようであれば他院へ紹介される。

 この診察は毎回の生理周期で決められるので、順調に生理が来ている場合、毎月のペースで進みます。

 さて、このプライベートクリニック、噂によると、デンマークで最も妊娠成功率が高いクリニックなのだとか。その秘訣は、もちろんこのどんどこ進められる治療もなのでしょうが、Bjarne医師によると「徹底した食餌療法を取り入れているから」なのだそう。

 この日の受診でもまず、彼らが進める食事療法というものに大半の時間を割いたのですが、その食事療法とは、いわゆる「低インシュリンダイエット」。血中インシュリン濃度が常に高い、もしくは急激な上昇といった状態が、男女ともに生殖に影響を及ぼすとのことで、超低炭水化物食、そして高タンパク食がすすめられます。
 
 糖尿病ではない健常者の場合、食物を摂取すると膵臓が自然にその量に応じてインシュリンを分泌しますが、炭水化物、特に吸収の早い単糖類(砂糖、果糖など)では、血糖値をあげないためにインシュリンがどかんと分泌され、血中に放出されます。また胚芽など繊維質の少ないパンや小麦、白米でも同じで、糖の吸収を遅らせて血糖上昇も緩やかにしてくれる繊維質、また脂質やタンパク質を一緒に摂らない場合、インシュリンもやはりどどーんと放出されるわけです。
 昔と違い、現代人の食習慣では繊維質の不足、また日本人はその食文化から炭水化物を多量に摂る傾向があり、もともと遺伝子的にインシュリン分泌が弱い人種なのに、近年ではやれパスタだ、ラーメンだ、ケーキだとそれはもう、毎日炭水化物祭り。「肉がいけないんだろ?じゃあカツ丼じゃなくて、さっぱりなうどんなら大丈夫でしょ」とかそういう認識がまだ日本人にはあるので、日本人の糖尿病罹患率は年々うなぎ上り。

 と、話はそれましたが、とにかくデンマークでも炭水化物の過剰摂取という現代人の問題は同じで、このクリニックでは炭水化物過剰による血中インシュリン濃度と妊娠による研究をずっとしているのだとか。で、食餌療法を取り入れた結果が、デンマーク一の妊娠成功率のクリニック、というわけです(噂だけど)。

 そんなわけで、低インシュリンダイエットとは具体的にどんなものか、を医師に指導されました。栄養学的なことはGI(グルケミックインデックス)なども含み、なかなか高度な指導で理解するのが難しいのですが、「朝ごはんには何を食べる?パンとジャム?じゃあパンを普通の白パンではなく黒パンにして、ジャムの代わりにチーズとハムを載せなさい。間食にフルーツ?どうしても食べたかったら一緒にFlæskesvær(豚の皮を揚げたスナック)を一緒に食べなさい。糖の吸収が遅くなるから。日本人だから白米がないと生きていけない?妊娠したかったら今だけ我慢して押し麦でも代わりに茹でて食べなさい」と、なんとも無慈悲な内容…。白米じゃなくて、押し麦って!!
 日本のように小鉢の食卓ではなく、ワンプレートのデンマークなので、医師は「お皿を3等分して、それぞれに炭水化物、脂質&タンパク質、繊維質と分けなさい。そう、メルセデスベンツのあのマークみたいに!」(ここでメルセデス男、H氏の目がようやくきらーんと明るくなる)と。

 とはいえ、私自身糖尿病専門ナース。元々糖尿病のH氏のために、ちょい小太り傾向の長男のためにも、うちの食事は一般的デンマークの家庭よりは、けっこう健康的な方だとは思っているのですが、それでももっとストイックにいかねばならないと。
 しかもH氏は大のコーヒー好き。ここでも生殖機能とカフェインの関係をこんこんと説明され、毎日7杯は飲んでいたコーヒーを「1日3杯まで」とお達しを受け、がくーん。
 それでも、メルセデス的食餌療法を徹底し、卵管通水検査をした後3~4ヶ月以内の自然妊娠率が70%とのことで、やるしかないか、と不安ながらも決意。

 その後、次回の生理終了後に卵管通水検査の予約をすぐ入れることになっていたのですが、この検査の後2~3ヶ月というのは、詰まっていた卵管が通り、精子のフリーウェイ。いわゆる妊娠ゴールデン期間というやつです。
 しかしそのゴールデン期間に日本旅行があたり、炭水化物大国日本でおいしいものを食べまくる予定の私達は、話し合った結果、検査は帰国後落ち着いてから行う、それまで食餌療法で2~3ヶ月がんばる、という意向をクリニックに伝え、クリニック側も同意してくれたのでした。

 低インシュリンダイエット。始めてみると、これが日本人の私にはものすごくつらい。もともと炭水化物大好き。特に麺類はもう大好物。ケーキとか甘いものはもともとそこまで好きではないので、問題はないのですが、パスタとか食べれないのがつらい…。
 しかも私達の食卓ではけっこうな頻度でパスタなどイタリアンが登場するので、これまた大変。いきなり黒パン&ジャガイモばかりなんて、やるせなさ過ぎです…。しかもしかも、ダメだと思えば思うほど食べたくなるこの心理。子供がいるときは時間がなく、特にパスタ系になることが避けられず、おいし~!と食べた後に罪悪感が…とか、もう終わりが見えないダイエットなだけにほんと、つらいです。って、けっこう食べてるけど、実は…。

 そんな食餌療法を何となく続けて3ヶ月。やっぱり自然妊娠は難しいのね、と諦め、今度はいよいよ卵管通水検査へ!これで妊娠したというお友達も何人かいるので、期待度大。「痛いよ~特に卵管詰まってると」と散々痛い話を聞いていたので不安ですが、ベイベー(すでにH氏は女子と決定し?名前まで付けている)のために、突貫工事に取りかかります!!

ベイベープロジェクト1~不妊治療クリニックへ!~

2012年07月11日 | 妊娠関係
 ずーっとブログに書くか迷ってたんですけど、色々考えを整理したり、あとで「あ~そんなこと悩んでたわね~」と読み返してなんか初心に返るためにも、あともし同じようなことで悩んでる人がいたら、少しでも役に立つといいなと思って、書いちゃいます。

 今回2度目の人工授精をしましたが、今回も結果はネガティブでした。がーん。
 根がとことん楽天的なタイプなので、毎回毎回もう、期待し過ぎないように、色々妊娠した後のことを考えて興奮しすぎないように(!)、「いやいや、うまくいってない時のことを考えよう…」と冷静さを保つのと、がっかりしないようにするのが大変です…。
 
 まあ、あれですね。不妊治療っていつ終わりが来るのかわからないので、身体的はもとより精神的にきついわけで。もともと溜め込むのが苦手だし、出してすっきりデトックス!効果も期待して、ここまでの経緯などをまとめてみます。
(注:あくまで私の体験談で、状態とか個人差があるし、治療もクリニックや医師によって様々なので、その辺のところご理解よろしゅう)

~デンマーク de 不妊クリニック~

 H氏とはかなり早い段階から子供を作ることに関して同意していたので、1年ほど自然にトライしてみたのですが、だめで。H氏にはTとAという二人の実績があるわけで、なんとなく私の側に問題があるのかな~と思い、不妊治療クリニックに行くことに決めたのが去年の秋。

 まずは私のホームドクターのところで、自分の生理周期や状態、タイミング療法を試みたができなかったことを説明し、紹介状を書いてもらいます。ドクターによって診断の仕方は様々かと思いますが、ここまでどの程度「正しくトライしてきたか」が問われるようで(あと期間ね)、私も最初の診察では、超一般的なアドバイス(排卵検査薬を使えとか、足を高くして寝ろとか…)をもらっただけで、2ヶ月後に再度「紹介状ください!」とプッシュしてようやくもらえた感じです。

 私が住むTaastrupには、なんと不妊治療のクリニックが2つもあります。そのうちの一つに連絡を入れると、予約がいっぱいで新患は取れないとのことなので、もう一つのプライベートクリニックを紹介されました。
 ホームドクターからは電子カルテで紹介状が送られているので、電話で初診の予約を入れたときもCPRナンバー(個人の保険ナンバー)を伝えただけで、「はいはいKanaheiさんね~」と、話が早い早い。
 しかしその後、「じゃあラボで血液検査を一通り行ってきてください。性感染症(HIV)などの検査は結果が出るまでに2週間以上かかるので、結果が全部揃ったところで改めて初診の予約をして」と。なんかすっかり「いくぜ!やったるぜ!」な気分だったので、出鼻をくじかれた感じでしたが、まあ仕方ない。血液検査をし、結果が揃ったほぼ1ヶ月後にまた予約をしました。

 初診はまず助産師さんと。H氏と一緒に受診。まずは私の血液検査結果を見て、ホルモン状態もすべて良好とのお墨付きをもらい、まず一安心。しかしホームドクターのところで男性側の問題がないか検査をしていたH氏には、「うちはプライベートで、うちのオリジナルの検査、基準値をもって診断診察にあたっているので、他院で行われた検査結果は参考にしません。もう一度うちの指示する方法でやり直してください」と。

 これを聞いてH氏カチーン。もともと政治的に左側な考えの人なので、プライベート病院とかお金がある無いでサービスに差が出るシステムが大嫌いなこともあり、他院(公共病院)のデータを使わないとはどういうことじゃい、と。
 しかもです。ホームドクターの指示で行った精液検査は、かーなーり面倒くさいプロセス。検体採取にあたっては、最後の射精から必ず48時間をあける(それ以上でもそれ以下でもいけない。必ず48時間!)、採取後2時間以内に、ゆらさないよう、冷やさないよう、温め過ぎないよう、ジャケットの胸ポケットなどに入れて、コペンハーゲンのど真ん中にあるラボまで慎重に届ける、しかもラボが検体を受け取る時間帯は朝の8時~8時半までのたった30分!!そしてその検査を最低2度、行うのです。

 お子さんのいる家庭ならおわかりでしょうが、子供がいる朝は戦場です。うちはまだいい方ですが、それでも二人の息子達が朝ごはんを食べて、学校に行く準備をしている中、どうにか検体を捻出することの大変さといったらもう…。しかも街中のラボまでも新駅舎大工事中のノアポート駅に朝の8時です。あと5分でラボが閉まる!とH氏、渋滞で動かない車からダッシュで出て滑り込みで届けた、貴重な検体だったのです。それを結果も見ずに「使えない。やり直し」と言われれば、誰だってうんざりします…(しかもこの日の診察が終って駐車場に戻ったら、パーキングメーターが壊れていて駐禁キップが貼られており再度ショック!)。

 結局、いくら文句を言っても彼らのやり方に従うしかなく、渋々再検査をしたのですが、本来2度の検査をすべきところを、H氏のもとに助産師さんから連絡があり、「売りものしてもいいくらい、素晴らしく生きがいいので、2度目は必要ないわ!」とのことで、H氏のご機嫌復活!なんなんでしょう、男の人って。なんでこういうのが嬉しいのでしょうか。すっかり自信をつけたH氏、その日は私に花束を買って帰ってきました…。「花束の理由?そんなのないさ。君を愛してるからだよ」って、絶対、助産師さんの言葉が嬉しかったからに違いない…。

 というわけで、ようやく検査結果がすべて揃い、2度目の診察へ。今度はこのクリニックの所長、婦人科医との診察です。