平方録

VW お前もか!

ドイツのフォルクスワーゲン社が製造しているディーゼルエンジン車が、アメリカの厳しい排ガス規制をクリアするために排ガス検査を感知すると作動するソフトウエアを車に組みこんで、あろうことか検査の時だけ排ガスを基準値以下にしていたんだそうな。検査以外の時は環境基準の数倍から数十倍の排ガスをまき散らしていたんだというから、あきれる。
世界中で売りつけた台数は1100万台というから膨大な数である。
消費者を裏切り、世界中を敵に回す前代未聞の出来事。確信犯の立派な犯罪だね。

アメリカのNPOの調査で不正がばれたそうだが、詳しいことは分からない。しかし、これが明るみに出るところとなって、世界中で大騒ぎになっている。
ドイツのモノづくりと言えば、質実剛健という言葉が最初に浮かぶくらい、堅実で質の良い製品の代名詞のようなイメージがあるが、それとはまったくかけ離れた出来事である。
ゲルマン魂もついに腐ったか、というところだろうか。
東芝の不正経理問題などチマチマした出来事のように見えてしまうくらい、大胆不敵、世間をなめきった犯罪行為である。

検査の時に基準値以下に抑えることが出来るんだから、それを常態化させればいいだけ、と考えるのは素人なのか?
基準通りに有害物質を抑えると、燃費が悪くなり消費者から喜ばれない、ということが不正の背景らしい。それでしかたなく、か。
こういうソフトウエアも先端技術なんだろうか。大したもんだねぇ。
世界中を見渡すと、こういうセコイことをして世間の目をくらまそうとすることに長けているというか、如何にもやりそうな国がいくつかあるのに、よりによってドイツだからねぇ、耳を疑ってしまう。

しかも、日本だったら経営責任者は記者会見に引きづり出されて、テレビカメラや新聞記者の前で吊るし挙げられるのが相場だが、彼の国にそうした文化は無いと見えて、最高経営責任者はビデオレターとか何とかで事実を認め、翌日にはさっさと辞意を表明してしまった。
地位に恋々としないところは良いのだが、こういう場合、説明責任というものがあるだろうに。
経営がまったく関知していなかったなどと言うことは信じられないことで、今後自力でどう収拾しようとするのか、見ものである。もう少し俗な言い方をすると、「ヤイ! どう落とし前つけようってんだ。はっきり言ってみろ!」ってところですかね。

一方で、被害国の一つのアメリカは犯罪行為として捜査を進めるようだ。当然である。この司法判断とは別に環境汚染の代償としての制裁金も数兆円の規模に上るらしい。
ユーザーは損害賠償を求めて集団提訴するようだし、金銭的なダメージは相当な額に上るだろう。
何より、損なわれるた企業イメージの代償は計り知れないのではないか。これからどういう展開を見せるのか、見ものである。
販売台数で世界一を争っているトヨタは思わぬ展開に驚きつつも、内心はライバルのつまずきを喜んでいるだろうね。
トヨタも数年前にアメリカでアクセルべダルの不具合による急加速事故が相次ぎ、死者が多数出たなどとして大規模なリコールを迫られる騒動に発展、社長がアメリカ議会の公聴会に呼び出されて説明し、対応を約束して謝罪するということがあった。

思えば良く立ち直ったものだが、トヨタの記憶がまだ残っている時に、世界一を争っているライバルが起こした不祥事である。
一メーカーの信用問題にとどまらず、自動車業界全体に及ぼす影響も小さくなさそうである。
それにしてもドイツまでが見せかけだけのものを製造して販売するようになったんだねぇ。

私? 国産車ばかりに乗ってます。それも大手メーカーのものではなくて、技術がきらっと光るような個性的な車ばかり。言い方を変えれば、一部では根強い人気があるものの、必ずしも万人に人気があるとは言えない車ですがね。
今乗っている車は大きなサンルーフのついた赤いワゴン車で、今年13年目。四輪駆動なので、ちょっと燃費に難があるけれど、それはそれはよく走ってくれてます。
規模がちっちゃい会社だから、悪さの規模も小さいんじゃないかと思って。これは冗談。



わが家の庭に咲いているホトトギスとミズヒキ、ヤブラン
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