平方録

終戦記念日

69回目の終戦記念日。

先日、取材対象だった人から「退任の慰労会をしてやるから出てこい」とお誘いを受け、酒の肴になりに横浜へ出かけた。
3人とも公務員。しかも偉いポストに就いていた人ばかり。
近況報告や世間話であっという間に時は過ぎ、お開きが近づいたころ一人が東京に本社を置く新聞社の従軍慰安婦報道の検証記事に言及して「誤報だと認めましたね」と鬼の首をとったかのように言う。「吉田某という人の証言は裏付けがなく、記事を取り消したんでしょ。後で間違いに気づけば訂正しますよ」などと返事をしておいたが、収まらない。曰く「社長が謝罪すべきだ」「あの新聞は信用できない」。別の一人も加わって「特定秘密保護法や集団的自衛権に関する報道はひどかった」云々。そしてこちらが在籍していた元社についても「確か資本が入っていたよね。同じスタンスですよね」という。
現役時代も同じような反応にしばしば出会ってきた。ほとんど酒の席だし、本気で相手にせず生返事でやり過ごしていた。しかし、ねつ造だ、偏向報道だなどと口走られては…。酒の席だし大人げないとは思いつつ、現役を離れた身とはいえ、離れた身だからこそ、自身のレーゾンデートル、これまでしてきた仕事に対する誹謗中傷は見過ごせない。少しだけ気色ばんでおいた。
「何言ってやがる。植民地の女性を従軍慰安婦として使った事実は存在するんだよ。強制かどうかが問題なのか? 自由な選択も発言もできないような社会を作り上げておいて、しかも弱い立場の女性にどういう道があったんだ?」「特定秘密保護法になぜ反対するか。戦争に疑問を抱いていても、政府の方針に反対した途端、治安維持法で逮捕され、厳しい取り調べを受けた。普通の国民はその様子を見れば黙りこくるだろう。そういう社会が若い男を中心に何百万人も殺したんだろ。ただちにというわけではないけれど特定秘密保護法に同様の危惧を感じるから反対してるんですよ」「集団的自衛権は憲法で明確に否定されてるじゃないの。閣議決定は憲法違反だよ。どうしてもって言うなら憲法を改正するのが筋でしょ。何で国民に聞かないの」「メディアというところは主張するんだよ。違う意見はみんな偏向ですか。幸い今のところ言論の自由が利いているから、世の中いろいろな意見が表に出てくる。それを一色にしろってか? 冗談じゃない。俺はごめんだ」
一つ年下の一人が帰り道で賛意を表したが、70代の二人にはどう聞こえたか。


自宅から見た東の空。午前5時ころ。予報では「暑くなる」
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