4月の入学式以来の再会である。
駅まで迎えに行けなかったのだが、わが家の玄関を入ると「じいじ~」と大声で叫びながら居間に走り込んできた。
麦わら帽子をかぶり、お気に入りの水玉模様の紺色のリュック担いだ姿である。
相変わらず元気いっぱいで、なかなかよろしい。
リュックを下ろすと、あちこち部屋を覗いては「お久しぶりです」と無人の空間に向かって膝に手を添え、丁寧にお辞儀をしておどけている。
小学校に通い出して、お姉さんになったようだ。
書斎に入りこんで、机の引き出しをひっくり返して興味津々である。
何せ小学生の女の子の持ち物とはまったく違って、見慣れぬ物ばかりなのだ。
好奇心の塊で「これはナニ?」「じゃぁこれは?」と目を輝かせる。
手のひらにすっぽり隠れてしまうくらいの、木をくりぬいた小さなケースを開けると中から赤いテントウムシが出てくるおもちゃが痛くお気に召したようで、「あ~びっくりした。本物みたい」としばらくいじりまわしている。
ふたを開く度に振動で手足が動くところが、デフォルメされているのだけれど、妙にリアルなのである。
余りに目を輝かすものだから「欲しいの?」と聞くと、元気に「うん!」というのでプレゼントした。
ご飯を食べている時も時々いじっていたからよほど気に入ったと見える。
学校では山盛りの給食をお代わりするくらい、食欲旺盛らしい。
元気いっぱいに飛び跳ねているから、身体は引き締まって、むしろ痩せて見えるほどである。
エネルギーはたちまち燃焼させてしまうから、贅肉なんか付く暇がないんである。
小アジがあったので空揚げにして「頭も骨もみんな食べられるんだよ。骨も強くなるんだよ」と頭から食べてみせると、真似をして新しい歯でサクサク食べる。
「じいじ、これおいしい!」
入学したての小学生にはちょっと無理かなと思ったが、頭も骨もまったく気にならないようだ。美味しいものは分かるのである。飲兵衛なのかもしれない。
子どもの頃に頭は食べられなかった母親がびっくりするほどである。
殻付きのホタテもバター焼きにして出したところ「初めて食べた~。お~いしぃ!」。
紐の部分も「かんでると味が出てくるよ~。お~いしぃ~」ともう完全に飲兵衛である。「待ってるぞ!」
小アジの唐揚げもホタテのバター焼きも、初めての味はお気に召したようである。
時間はかかったが、出されたものは感情豊かに全部平らげ、幼稚園に通っていたころと比べると雲泥の差である。
これも一つの成長の証なのだろう。
膝小僧を深くすりむいたお陰で、まだ傷口が渇いていない。一緒にお風呂に入れなかったのがつくづく残念である。
早く治さないと、姫が楽しみにしている海水浴にも支障が出かねない。
何か良いおまじないは無いものか…
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