平方録

日本の正しい夏?!

今年の夏はB級なんじゃないか?
そう思えるくらいに一風変わった夏なんである。

まず第一に、抜けるような青い空がない。青い空がないからぽっかり浮かぶ白い雲や、もくもく湧き上がる入道雲も現れない。
代わりに出現しているのは、どんよりと覆う大気で、晴れてはいるんだろうが、朝日は赤くボ~っと出てきてその姿のまま昇ってくるし、元々真っ赤に焼けて沈んでゆくはずの夕日にしたって、ただ赤く塗ったぼんやりした赤い丸が沈んでいくありさまである。
どちらも輝いていない。そう! 輝きを失ったかのような夏なのである。
本来の“真っ青な空に白い雲の夏”もあることはあった。梅雨明けした7月19日から22日までの4日間は、そういう正しい夏だったのだ。
それが、南関東では23日に一転雨が降って以降、そうした正しい夏は消えてしまったのである。

昨日も自転車で大磯の旧吉田茂邸跡まで往復54キロ走ってきたが、湘南海岸は晴れてはいるのだが、遠くは霞んでしまって箱根も見えない。茅ヶ崎辺りで江ノ島さえ霞んで見えるほどで、何ともスカッとしないのである。

確かに暑い! 暑い夏である。
例年だと海から吹きつける南の風が家の中も通り過ぎていくから、クーラーを使うことは台風で窓が開けられない時くらいだし、夜でも扇風機で間に合う。
ところが、今年は南風が少ない。吹いても弱い。東からの風が目立つようでもある。加えて、空気がじめっとしている。湿気を含んだ暑い空気が肌に絡みつき、まとわりつくようである。だから余計に暑苦しい。梅雨時じゃあるまいし、何だよ!と言いたい。
少なくとも海沿いのわが家の辺りでは、例え猛暑であってもちょっと風通しの良い日陰に入れば汗はす~っと引くのである。
それとは対極のような、潔くない夏なのだ。

次に、蚊が少ない。家で、庭で、まだ白黒のヤブ蚊には遭遇していないし、家の中に入り込んでくるイエカだかヒトスジシマカだかのお馴染みサンにもお目にかかっていない。
別にいなければいなくったっていっこうに構わないが、理由ははきりさせてもらいたい。サヨナラも言わないなんて、けじめがつかないじゃないか。
それらのお馴染みサンに代わって、何やらヤブ蚊たちの半分くらいしかない小さい蚊がいるんである。
小さいから刺されてもぷっくら膨れ上がるような事は無いけれど、如何にもチマチマしている。しかし、痒さはあまり変わらないから「オノレ憎っくき奴め!」に変わりは無い。
今こうしてパソコンの前でキーボードを叩いているが、ベランダに出たすきに入りこまれたらしく、足を2、3か所刺されて痒くてしょうがない。仕方なく、今年初めて蚊取り線香をたくことになった。8月に入ってからと言うのは遅い出番ではないか。
でも、この蚊取り線香の匂いは好きである。「正しい夏の匂い」なのだ。

蚊取り線香で思いだしたが、夏にはいろいろ思い出があるなぁ。
高校生の時、サッカー部は体育館でごろ寝しながら4泊5日の合宿を張った。正午頃から3時ころまでの炎天下の時間帯こそ外したが、早朝から日没前まで、へとへとになるまで走らされ、ボールを蹴った。
親友の一人はそのチームメートだが、仲間たちとどんな生活を送り、何を語らったか、まったく覚えていない。それくらい身体だけを痛めつけていたんだろうか。
心のもやもやを何とかしたくて円覚寺の居士林に10日ほど泊まり込んだのも高校3年の夏である。

小学校の夏休みは毎年房州の海辺の5人兄弟のいとこの家に遊びに行って、来る日も来る日も遠浅の海水浴場で思う存分遊んだこと。伯母さんが出してくれるスイカが美味しかったこと。いとこたちと一つの蚊帳に中に入って寝たこと。田舎だから戸も開けっぱなして寝たこと…
当時は房総西線と呼ばれていて、ディーゼル車はまだ少なく、蒸気機関車が主流だったから、鋸山のトンネルをくぐる時に窓を閉めないと入り込んでくる煙で大変なことになること…

昔を懐かしんでいる場合ではない。
東京や埼玉以北では日常化しているようだが、横浜辺りまでは時々降りてくる雷雨が、わが地域ではめったにお目にかかれなくなった。
別に雷や豪雨を待ち望んではいないが、夕立というのは俳句の季語にもなっているくらい「日本の正しい夏」には欠かせない自然現象なのだ。
夕立の過ぎ去った後の東の空には虹がかかり、ぐっと気温も下がって涼しくなるんだよな。
もっとも昨今のゲリラ豪雨なんぞは論外である。あっという間に洪水が起こってしまったり、被害が出るほど降ることもないじゃないかと思うんだけれど…。
ゲリラ豪雨なんて言葉も季語になっちゃうんだろうか。そぐわねぇなぁ~。
そもそも夕立ってのは、庭の水まきの手間が省けるんだよね。

立秋前だってぇのにツクツクボウシが鳴き始めたり、変な夏だ。少なくとも「日本の正しい夏」じゃぁないね。
国民の大多数がおかしいと思っているのに耳を傾けようともしない、「正しくない政治」がまかり通っている夏だしなぁ。



今朝の日の出の太陽も黄金色ではなくて、赤く染まってどろ~んと昇ってきた


昨日の湘南海岸。片瀬西浜の西には夏でも午前中なら富士山が見え、箱根連山や丹沢山塊が連なるのが見えるのだが…


かつて東洋のマイアミビーチなどともてはやされ、8月の最初の日曜日ともなれば、砂浜も見えないほどに海水浴客でにぎわい、空には新聞社のヘリが写真を撮りに群がってきたものだが、祇園精舎の鐘の声、諸行無常のなんとやら…


引地川沿いの浜では県内の中学生のビーチバレーボール大会が開かれていた。砂浜は熱いし、太陽も暑いけれど、さすがに海風は風は涼しいから中学生はへっちゃら
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