平方録

今日はどこまで…

とんぼつり今日はどこまでいったやら

加賀千代女の作とされる句。
亡くなったわが子をしのんで詠んだといわれる。

そう聞かされるとちょっとセンチになるが、現代の不良爺はそんなことに関係なく元気なんですな。

午前9時に自転車で家を出て西に下り、小田原の酒匂川に達し、そこから15キロ堤防をさかのぼって戻ってきました。
8時間弱、走行距離110.13キロ。真っ青な青空のもと、爽快至極でありました。

今日は夏休みの宿題風に「絵日記」でも…。とはいっても現代の不良爺には高性能なカメラが付いた携帯電話という強力な武器があり、絵の代わりに写真を使うことにいたしましょう。

間もなく海に出ようか、という交差点で信号待ちしていると80歳前後のご老体がこちらの短パンにランニング、サングラス姿を見て「元気ですねぇ」と半ばあきれたように話しかけてきて、「熱中症に気をつけて」「梅干しを持ってますか」などと心配してくれる。ありがたく拝聴する。

太平洋岸自転車道はところどころまだ砂に埋まっていて、いちいち降りて自転車を押さねばならない。そんなボヤキとは別に朝の相模湾はどこまでも透き通る空の青さを映して真っ青に輝いているのが嬉しい。富士山はどうも恥ずかしがっているようだったが、箱根や伊豆の山々が薄紫色にくっきりと浮かぶ。視界に映るのは「青」一色。どこまでも「青!」
茅ヶ崎まで来ると浜辺でカモメの乱舞に出会う。これがまた真っ青な空に白いカモメが朝日を浴びて飛び回っているのだから、遠くからでも目に入り、なんとなく心が騒ぐ。漁から戻ってきた漁船が、取った魚をえり分けるときに捨てる小魚を狙っているのだ。

二宮の東海道一里塚(江戸から18里)までは何とか裏道をたどりたどり、車を気にせずのんびり走れるが、そこから国府津を抜けて酒匂川までは東海道線と西湘バイパスに挟まれているせいもあって、裏道をたどっても行き止まりばかり。仕方なく国道1号の歩道を進む。

正午ごろ、ようやく酒匂川に到達。富士山が迎えてくれる。家から40キロ。小田原城はここからたった2キロ。それではつまらないので、堤防の上を遡る。だるま市で有名な飯泉観音に詣でる。近くのコンビニでおにぎり4個と900mlのポカリスエットを買う。ご老体の忠告に従って梅干しの入ったおにぎりも入れた。

しばらく左岸を遡ったが途中の橋を渡って右岸へ。鮎の釣り師が増えだす。月曜日だからか、サイクリングコースになっている堤防の上はだれもいない。大きな松が土手に覆いかぶさるように生えていて、木陰を作っている。ここで30分ばかり昼食休憩。海から吹きあがってくる風がよく通る。

二宮金次郎が植えたのが始まりとされる松並木が大きく茂っていて涼しい。にわか造りにはとてもかなわない、歴史の厚みというものを感じさせる。だいぶ丹沢山塊に近づいた。積乱雲が沸き起こり、灰色の雲が怪しげだが、南風が比較的強く吹いているから、南には降りてこないだろう、と高をくくる。

小田急の線路をくぐると御殿場線と東名高速、国道246号が迫ってくる。釣り師がますます増えてきた。このあたりは松並木もない。炎天下だ。しばらく進むと「文命堤」というところに出た。55キロ地点。江戸時代の初期、小田原藩主だった大久保忠世、忠隣父子が始めた治水事業が元になって造られた堤。広いところは幅40メートルもあるそうで、今は雑木林になっていて、碑文が置かれていた。地図で見ると御殿場線の東山北駅が近い。

治水の歴史のお勉強に行ったのではありません。酒匂川がそれだけ暴れ川で、治水に苦しんだ。その苦労の痕跡が今に伝わっているということでしょう。

思えばはるばる来たもんだ。


茅ヶ崎の浜辺。空も海も青く澄み渡る。白砂青松も鮮やか。遠くの山影は箱根連山。残念ながら雲の湧き立つあたりに富士山がいるはず


青を背景に白いカモメが乱舞する


酒匂川に出る。箱根の山並みがぐっと近づく。


堤防を進むと富士山のお出迎え


だるま市で近隣に名高い飯泉観音


大きな松が堤防の上に覆いかぶさり、良い木陰を作っている。昼食休憩。


丹沢山塊には積乱雲がモクモクと


二宮金次郎が初めに植えたとされる堤防の松並木。歴史を感じさせて、とても立派。


鮎釣り師で川は大賑わい


「文命堤」の碑文


帰り道。西日を浴びる相模湾の空と海の色合いが”深さ”を増している。画面中央は江ノ島


自転車の距離計。110.13km
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