長女の出産、二女の娘の入学準備などで1月以降忙殺されていた妻にとっては、ようやく一息つける春が訪れたわけである。
ガーデナーさんたちへのお土産だと言って、鎌倉銘菓を持参しての訪問である。
園内はサクラが散ってしまい、チューリップは月曜日には切り取ってしまうとかで、今月下旬から咲き始めるバラの開花を前に端境期と言ったところである。
それでも足元には様々な小花が咲き競っていて、それなりのリズムがあり、熱心にカメラを向けている人もいる。
バラの生育は順調に見えたが、肝心の大アーチのつるバラの生育がやや遅れているのではないかと、気になった。
連休明けくらいの満開時期になると、下から見上げた場合に空が隠れるほど葉が茂り、花が無数につくのだが、見た目には空がスカスカに見えてしまっているのである。
あと2週間から3週間経てば相当に伸びてくれるだろうから、心配はいらないのかもしれないが、実際に剪定作業をした身には気になるところである。
昨年末に10日ほど、毎日5、6時間脚立の上に乗って棘と戦いながら、こんがらがった枝をほどきつつ、古い枝を切り捨て、アーチに縛り直す作業をしたのである。
その間ずうっと寒風にさらされたおかげで、情けないことにひょんなことから腰を痛めてしまって、往生したのである。
以来、腰をかばっての日々が続く。
わが身と引き換えに面倒を見てきた、と言っては言い過ぎだが、空を覆いつくすように、去年以上に見事に咲いてくれるかどうか、わがことのように心配なのである。
自分自身の若干の反省を述べれば、「やや」ではあるけれど、思いっきりが良過ぎたのではないかと、気になっているのである。
とはいえ、スーパーバイザーの河合伸之の指示通りの作業である。
一緒に剪定作業を行ったガーデナーたちはもっと慎重だったようだ。
だから、どうしても切りすぎたように見えてしまう。
前の年も手助けして同様の感想を持ち、実際には花はそん色なく、きれいに咲いたのだが、欲を言えば…というところが無きにしも非ずなのだ。
さて、どうなることやら。なかなか難しい。
一斉に剪定作業に入る時期にはどうしても人手が不足するから、わが身は「猫の手」なのである。
何事も経験なのだ。年季を積むことである。
中華街にはしばらく行っていないけれど、焼き鳥が食べたいというので野毛に回る。
その前に少し時間があったので、創業者の娘の社長と創業者の父親との間で接客方式など経営方針を巡ってひと悶着があった家具屋を覗いてみた。
関東有数の店舗らしく、大きなビルの4階から12階まで家具がびっしり並んでいる。
土曜日のせいもあるのだろうが、家具屋にはこんなに人が大勢いたっけ、と思うほどの客の入りである。
大半は冷やかしの客だろうけど、思わぬ宣伝になったんじゃないだろうか。
ん、出来レースか? まさか!
横浜は坂が多い。
午後6時、行きつけの焼鳥屋はどこも満員。空いている席は予約席だそうで、締め出された。
そのうちの一軒などは開店前から長蛇の列で、呆れることに、席につけた人の倍以上の列がなおも店の外に続いている。
まさかとは思うが、焼き鳥というものはあらかじめ予約して食べ、飲む時代なのである。
「人生には上り坂と下り坂があるが、永田町には3っ目の『まさか』という坂がある」
小泉純一郎さん、野毛の飲み屋街には5つ目の「まさか」がありますよ!

3週間もすれば天を覆うようにバラのトンネルが出現する

ハナイカダ(花筏)という優雅な名前の植物の葉の上に蕾が付いていた。花が終わると黒っぽい実に変わる

ガーデンの高木にからまったフジがもう白い花を風に揺らせていた。薄紫のフジの開花はまだ先である