あの朱塗りの鳥居が何本も連なっているところがクールらしい。
最近テレビでそんな話を何回も見聞きさせられたので、フン! わが鎌倉にだって佐助稲荷神社があるわい! と久しぶりに行ってみた。
あちらの鳥居の数は総数1万本を超えるらしいが、こちらはたかだか7、80本程度である。
住宅街の奥の谷戸の斜面に建てられているから、社の辺りはうっそうとした木々に囲まれて昼なお暗き…のイメージで、おごそかな雰囲気が漂う。
加えて、街中にある彼の地の朱塗りの神社と違って、木肌のままの社は地味でしかも小さいが、周囲の景色に溶け込んでとても幽玄でもある。
何も鳥居の数が多ければ良い、規模が大きければ良いというわけでもあるまい。日本はワビ寂びの国なのである。
外国人向けのガイドブックの編集者は何か勘違いをしているのではなかろうか。余計な御世話かもしれないが。
しかし、あの住宅街の狭く奥まったところに外国人がどっと押し寄せたら、と考えるとこのままでよい気がする。
大切なものはあまりひけらかさない方が有難味が増すというものである。日本人はそうやって奥ゆかしくしながら大事なものを大切にしてきたのだ。
つい最近、大多数の国民が大切にしてきたものを、勝手にどぶに投げ捨ててしまった輩がいるが…
佐助稲荷の良いところは、そのまま社の裏手を上っていくか、入口まで戻って左に折れて住宅街の道を行けば、そのまま大仏ハイキングコースに出られることだ。
ハイキングも楽しめてしまうのである。きのう、われら夫婦はそのまま隣の銭洗い弁財天に向かったが、何人もぞろぞろとハイキングコースへ向かう人たちがいた。なかなか散策上手である。
ハイキングコースはさぞかし混み合っていたことだろう。
佐助稲荷に寄って行こうという観光客はまばらだが、鎌倉駅から銭洗い弁財天に続く道筋に戻ると、歩くのもつかえるほどぞろぞろぞろぞろ人波が続いている。
皆、銭洗いへ寄ってお金を増やそうという、さもしい根性の人たち、否もとい、ささやかな望みを抱いて生きる健気な人たちである。
でも、正直言ってつくづく驚いた。
何と社へ続く急な坂道に入ってしばらく進むと行列がピタリと止まってしまい、どうしたことかと訝ると、トンネルをくぐった先にある狭い狭い境内に入りきれないので、境内に入る順番を待つ列が長蛇を連ねているのである。
団塊の世代の大学入試のようなもので、門戸は極端に狭いのである。人が多過ぎるのである。
何も好き好んで押し合いへしあいしながら狭い境内に、長いこと待ってまでして寄って行くほど切羽詰まってはいないのである。
長蛇が出来ているのを知ってか、敢えて知らんぷりを決め込んだか、列を無視して横入りしようとしている若者数人が袋叩きにあうかもしれないのを見物しても、馬鹿馬鹿しいだけなので素通り。
さらに坂を上った奥にある葛原が岡神社前の木立の中のベンチで休憩して、秋の日差しの中を再び家まで歩いて戻った。
それにしても、昨日の横浜港周辺や元町中華街周辺と言い、観光のメーンルートの何と人の多いことか。
しかし、一歩メーンルートを外れると、地元の人しか歩いていない静かな道が続くのである。
ま、それで良いんだけれどね…
佐助稲荷神社
銭洗い弁財天前の急坂にできた長蛇の列
最新の画像もっと見る
最近の「日記」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事