で、妻に何か洒落たエプロンは無いか聞いたところ、とんでもないものが目の前に出てきた。
何と、かれこれ30年くらい前のエプロンである。
外国のビール会社が宣伝用に配ったのもで、首からかけて胸から腹をカバーするエプロンで、ビールのラベルがソックリそのまま模様になっている。
しかも、ラベル部分はそっくりポケットになった凝ったつくりなのだ。
色は下地がグリーンで、ラベルの部分は緑と白と赤と黒で彩られている。
ところが、出てきたエプロンは白地のラベル部分が寄る年波なのだろう、全体に白っぱげてしまっているが、グリーンは健在である。
いやはや、何とも懐かしいシロモノが出てきたものである。
こんなものを後生大事に取っておいたとは…
このエプロンが活躍したのは30代後半のことで、休みの日にも遠くに出掛けられないなどの“外出制限”みたいな状態にあった時、日ごろのストレスを発散するために、「男の料理」でもやって心の平衡を保とうとした時期がある。
まだ小学校に通っていた娘二人に香辛料をたっぷり効かせた、4、5時間もじっくり煮込んだカレーを出したりして、閉口させていた頃に愛用したエプロンなのだ。
しかも、この愛用のエプロンは2代目で、結婚直後の20代の半ば以降の写真に、同じエプロンをして長髪姿でパイプをくわえた姿で写っているものがあり、ウイスキーの瓶なども一緒に写っているから、当時はファッションで身に着けていたものかもしれない。
身に着けていた動機と言うものが判然としないが、とにかく、その時代からのもので、それが使い古して使えなくなったので、また新たに手に入れたところまではうろ覚えに浮かんでくる。
ただし、その頃には既に宣伝用の配布は終わっていたと思うので、簡単に手に入ったわけでもない。
大げさにいえば、何か八方手を尽くした末に手に入れたような記憶がある。
ただ、誰からとか、どうやってとか、肝心な部分がどうしても思い浮かばない。
ま、それくらい気に入っていたエプロンで、それがしかも忘却の彼方から突如、蘇ってきたのである。
30年余り、虫にも食われず、どうやって生き延びてきたのか。
エプロンを、と注文してから時間がかかるわけでもなく、さっと出てきたところを見ると、どこか奥深くにしまいこまれていたものを引っ張り出してきたというわけでもなさそうだし、不思議なことがあったものである。
妻の物持ちの良さにもあきれ返るばかりである。
実はこのエプロン、横浜の繁華街でロックカフェの店を開いている高校時代の同級生が最近まで店でしていた。今もしているかもしれない。
俺も同じの持ってたんだよと言ったら、たくさん持っていたけど、これが最後の1枚だ、と言っていたから、やはり、一時期流行したエプロンで、気に入った奴はたくさん抱え込んでいたようなのだ。
友人は仕事柄、酒屋とも顔なじみだろうし、大量にため込んでおいたものと見える。
ま、とにかく、今回わが家から出てきたエプロンには「びっくりぽんやわぁ」である。
突如目の前に現れた30年前の愛用のエプロン
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