どこに店を構えているのか知らないが、鮨屋の屋号の入った車から降りてきた親爺も魚を物色していたから、時々掘り出し物? が出るんだろう。
以前ここで大ハマグリを買ってきて焼きハマグリに挑戦したところ、見事に失敗した。
1個600円もするようなハマグリだっただけに落胆したが、魚に限らず、市場に出かけてあれこれ品定めし、それを買って帰るのはとてもわくわく楽しい気分にさせられる。
昨日の直売は魚がとても少なく、20番目くらいに並んでいたのだが、あっという間にめぼしいものは“収奪”され、雑魚ばかりが残っているに過ぎなかった。
そういうハズレの日だったようである。
仕方なく逗子の小坪に回ってみたが、開店の1時間半くらい前に着いてしまい、仕方なく三浦半島をさらに南下して佐島漁港まで足を伸ばした。
途中、坂の下海岸のシラス専門店に立ち寄ったが「今日はまだ船が戻ってこない。獲れないので群れを探しているのだが、期待できそうにない」という。
相模湾のシラス漁は資源保護の観点から年内いっぱいで操業が終了し、解禁されるのは2カ月余り先の3月11日まで待たなくてはならない。
今年は年がら年中不漁が続いて、シラス漁師はもちろん、シラス料理を看板に掲げて稼ぎまくっている湘南や鎌倉のレストランは大打撃だったろうに。
原因は黒潮の蛇行によって、黒潮本流が御前崎沖辺りから南下し、遥か八丈島のさらに南を流れているため、相模湾には冷水塊が残されて、イワシの稚魚たち、即ちシラスが育つ環境になかったことが最大の理由である。
なぜ黒潮が蛇行するのか、その辺りは良く分からないが、地球そのものの温暖化なども原因の一つであるなら、ゆゆしき問題である。
黒潮の蛇行が来年も続くようであれば、来年もまたシラスの不漁は続くのだろう。
釜揚げシラスはともかく、生シラスが口にできるのは海沿いの限られた地域の特権である。
生シラスで日本酒を飲むのは至福のひと時なのだが…
佐島漁港には店が2軒並び、ここも湘南や鎌倉、逗子辺りのレストランや料理屋の人間が買い出しに来たりしていて、比較的安定して魚の種類も豊富なのが特徴である。
ヒラメや生きたヤリイカに触手が動いたが、ヒラメは型がやや小ぶりで、美味しそうには見えなかった。
買ったのは体長10センチくらいの丸イカとキンメダイ、サバ、アジ。
サバも型はやや小さかったのだが、丸々と太って、きれいな銀色と青色の輝きに加え、えもいわれない複雑な輝きが混じった新鮮なもので、こいつを〆サバにしたらどんなにか美味しいだろうと、イの一番に籠に入れたんである。
1時間塩をし、酢の代わりにレモンを絞った汁に1時間弱〆ただけの、ほとんど生サバだが、これが絶品で、我ながらそんじょそこらではめったに口にできないような、上品な一品に仕上がったと自負する出来栄えなのである。
キンメダイもこれからがシーズンで、湯引きして刺し身にしたが、甘みのある上品な味で、こちらも良かった。
アジも新鮮なのでこちらの味も折り紙つきである。
丸イカはフライパンに刻んだニンニクを入れて香りを出したら、イカを投入し、そこに日本酒をどバッと振りかけて、バターをひとかけら放り込み、蓋をしてイカの色が変わったらさっと火を止めて、醤油をひと垂らしすれば出来上がり。
内臓やイカスミのうまみも加わって、口の中が黒くなるのは難点だが、超簡単な割には気取ったレストランじゃあ、対出てこない、絶品の一皿になるんである。
有朋自遠方来、不亦楽乎。
お陰で良い晩さんになった。すべて相模湾からの恵みである。
相模湾の幸。キンメダイ、サバ、アジ。獲れたてこそ御馳走。
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