夏は1970年以来の2度目。45年ぶりになる。選抜で2度全国制覇しているからもっと勝っているのかと思っていたから、意外だった。
もっとも、強豪ひしめく神奈川を勝ち抜くほうが大変である。
かつての法政二、そして横浜、桐蔭、慶應…。だから甲子園出場を果たしたチームは必ず良いところまで勝ち進む。
テレビで見ていて、序盤の3回表で4-0になった時は楽勝かと思ったが、仙台育英高も大したものである。
その裏、連打を浴びせて一挙に3点を返す。さらに2点を追加され6-3になっていた6回裏、ショートのエラーを足がかりにチャンスを広げ、一挙に3点を奪って振り出しに戻してしまう。
さすがに決勝まで勝ち上がってくるだけのことはある。惜しむらくはここで勝ち越し点が欲しかった。
しかし、6試合目のエースのフォークボールは効果的で、東海相模は沈黙したまま、あっという間に9回表。
さすがに6連投では球威は衰える。先頭打者にホームランされ、あっという間の4点が入ってしまった。
結果を振り返ると、打線に差は無いように思えた。双方とも、選球眼がよいから打席で良く粘るし、好球必打で打球は鋭く、早い。
勝敗を分けたのは投手力だろう。
東海相模は完投したサウスポーの背番号1のほかに右投げの11番がいて、ここまでは11番が先発して6、7回まで投げていた。
1番はそれほど疲れていなかったと思う。片や1人。
夏の甲子園大会を勝ち抜くにはピッチャー1人では無理だと言われて久しい。
東海相模はそこをクリアできた、ということだろう。
それにしても双方の選手はよく戦った。決勝戦らしい打ち合いの、面白い決勝戦だった。
打撃も守備も、緊張する場面の連続で、カチンコチンになったりもせず、日ごろの成果をよくも発揮できるものだと感心する。
鍛錬に鍛錬を重ねてくると、自然に出てくるものなのだろうか。ま、とにかく選手たちは素晴らしかった。
ところで、どこのチームだったか忘れたが、私がまだ社会の第一線で働いていた時のこと。
甲子園出場が決まったチームが毎年、会社に報告に訪れる。その際は「勝つ!」に引っ掛けて、横浜で有名なカツレツ弁当を振舞いながら激励するのである。
「たるんでいると、朝までバットを振ってろと怒鳴られる。でも監督はさっさと寝ちゃうんです」
ある年の、その席で監督の厳しさを問われた選手たちから飛び出した言葉である。
これには正直耳を疑った。同席していた監督に問い返すと「そのくらいやらなくちゃあ駄目です」と涼しい顔である。
じゃあ君たちもいい加減で寝るんだろ、と聞くと「いえ、そんなことしたらどうなっちゃうかわかりません。朝までやります」
常識を外れた厳しい課題を課すなら、指導者はそれに付き添って見届けるのが筋ではないか?
それが教育というものだろうに、それが責任ある指導者の役目だろうに、と疑問を感じたのである。
翻って東海相模の監督。9回に先頭バッターでホームランを打って戻ってきた背番号1をベンチ前で抱きしめていた。
まだ試合は終わっていないし、今大会のホームランはこの1本だけではなかった。
高校野球の指導者というのは、もう少し冷静であっても良いのではないか、もう少し他の選手に対する配慮があっても良いのではないか、というのが私の持論である。少なくともゲームセットまでは。
そういえば、カツレツ弁当を食べながら聞いた話の監督と体型が似ていたような気もするが…。
よっ! 成田屋 !! 江戸時代から続く変化朝顔の「団十郎」
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