平方録

マロニエの実

姫の家2日目。
早朝は素晴らしく晴れていたが、プールに出かけようとする午前10時前には曇りはじめ、プールに入る頃にはすっかり青空が消えてしまった。
昨日今日のことではないが、天気予報は当てにならない。

陽射しがなくなってしまうと、いかに夏とはいえ、水に濡れた体を舐めてゆく風は冷たく感じられる。
身体を首まで水に浸からせておかないと寒くて居心地が悪い。
休憩時間にプールサイドに上げられた時は最悪で、姫と「寒い寒い」と縮み上がっていた。
それでもひと月前から通い始めた水泳クラブの「蹴伸び5メートル」のテストが間近に迫っているせいか、姫の士気は高く、繰り返し繰り返し簡単に諦めずに挑戦するところは、粘り強さがあって感心である。
与えられた課題には今のところ真剣に取り組み、手を抜かないところは中々よろしい。
手を抜くことなどを覚えないでもらいたいものだ。

結果は、まだどうしても身体の力が抜け切らないようで、4メートル程度である。それも力が適度に抜けて、体が水面にまで浮かび上がった状態の時。
しかし、鎌倉のプールで練習した時より体が浮くことが増えてきたようで、着実に進歩している。
これに軽いバタ足を付け加えられれば、5メートルは簡単にクリアできる。
上手にできた時に手を叩いて褒めてあげると、顔をくしゃくしゃにさせて、嬉しそうに微笑むのが、とても素晴らしい。

あっという間に2時間が過ぎた。予定では午後1時まで3時間程度を目論んでいたのだが、雲の切れ目は期待できそうになく、練習の合間に入れる悪ふざけの類も意気が上がらず、予定を切り上げた。
屋外プールには夏のギラつく太陽が欠かせない。

一旦家に戻って昼食を食べた後、再び公園に戻って高さ7.5メートルもの高さがあるジャングルジムのてっぺんまで登ったり、“だるまさんが転んだ”をして遊ぶ。
ふと足元の草むらを見ると、トチの実が幾つも転がっているのに気づいた。トチの木は栃木県のシンボルツリーである。

別名マロニエ。あのパリのシャンゼリゼ大通りの街路樹である。
トチの実以外にもドングリが落ちていて、北関東では秋の気配は色濃い。そういえばこちらに来る電車の車窓から見えた田んぼの稲は夏の盛りの濃い緑色ではなくて、薄っすらと黄色に変色しつつある。

こうなると季節の移ろいを認めないわけにはいかないが、かくなる上は一刻も早く真冬になってもらいたいものである。
冬がくれば次は春が待っている。冬来りなば春遠からじ、という。そういうことになれば、あとは夏の近ずく忍び足を探す楽しい日々が訪れる。
秋と冬には新幹線並みのスピードを期待している。



宇都宮の公園で拾ったトチの実


小猿のようにスルスルと7.5メートルのてっぺんまで登った姫
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