普段は4時前後に自然と目が覚めるが、気付いたら5時半だった。
8ヶ月間、目覚まし時計を使ったことがないので、これまでに2、3度こういうことがあった。
今朝はなんとなく4時ころに一度目が覚めたような気がする。その時、パッと起きていれば何てことはないのだが、ぐずぐずと何か夢見心地でいたように思う。
何の夢かは覚えていないが、心地よかったことは間違いない。
春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少
孟浩然の「春暁」である。
春の眠りと言うのは心地よく、夜が明けるのも気づかなかった。ここまでは「春暁」どおりである。
ただし、小鳥の声は聞こえなかったし、昨晩は雨は降らなかった。風もなかった。第一、サクラは未だ咲き始めだから、花がどれくらい散ってしまったか心配することもない。
これからの日々は心騒がせられる日々が続くことになる。
サクラにまつわる名句名歌の世界が繰り広げられる。
「春暁」の心配に倣えばまず次の1首。
春風の花を散らすと見る夢はさめても胸のさわぐなりけり 西行法師
大岡信によると、花が散るところを惜しみながらも、落花の情景そのものにただひたすら惹きつけられ、息をのんでその美しさに没入している、んだそうである。
確かに、たくさんの桜が幕を引くように散って行く様は息をのむほどに美しい。そして、別の何かも感じてしまうのである。
次は絶世の美女と伝えられる小野小町
花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに
山もとの鳥の声より明けそめて花もむらむら色ぞみえ行く 永福門院
桜咲く遠山鳥のしだり尾のながながし日もあかぬ色かな 後鳥羽上皇
足ひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む 柿本人麻呂 これは後鳥羽上皇の歌の本歌だそうな。
やどりして春の山辺にねたる夜は夢のうちにも花ぞちりける 紀貫之
久方のひかりのどけき春の日にしずごころなく花のちるらむ 紀友則
最後に
世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし 在原業平
さすがに桜には見るべき歌が多い。わけてもこの業平と西行の2首がぞくぞくするくらいのお気に入りである。
次は俳句。
肌のよき石にねむらん花のやま 斎部路通
花びらの山を動かすさくらかな 酒井抱一
ゆで玉子むけばかがやく花曇 中村汀女
ゆさゆさと桜もてくる月夜哉 鈴木道彦
人恋し灯ともしころをさくらちる 加舎白雄
空をゆく一とかたまりの花吹雪 高野素十
さすがですなぁ。
花はゆさゆさと山まで動かしてしまうんである。
29日は三渓園で句会を開く。まさに花の春。美味しい酒が飲みたいものである。
境川沿いの早咲きのヤマザクラ? オオシマザクラ? は既に満開
相模湾をふさぐように伸びる伊豆半島。正面の高い山が天城連山か。左は江ノ島。
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