平方録

懐かしい顔 第2弾

一昨日のブログで懐かしい顔に出会った話を書いた。
今朝はその第二弾。30代後半から20年近く交流のあったYが某新聞社系の週刊誌で自らをさらけ出している。

現代は週刊誌を読むのに、いちいち駅の売店に立ち寄って買わなくても、インターネットで月々400円くらい払えば数十冊の週刊誌が読み放題の時代なのである。
もっとも、あれほど隆盛を誇った駅の売店そのものが廃れてしまったから、いざ読みたいと思ったら、コンビニか書店をのぞくしかなくなってしまった。その代替を務めてくれて、ぐっと進化を果たしているのがネット閲覧で、コストパフォーマンスは抜群である。
惜しむらくはすべてに目を通す暇がないことである。
60年超を生きてくると、世の中というものは実にドラスチックに変わるものだなぁ、としみじみ思い知らされる。

それにしても、駅のキオスクのおばちゃんたちの計算能力の高さは驚愕ものであった。
朝の忙しい時間帯に次から次に殺到するサラリーマンが差しだすお金から、たばこ、ガム、新聞などの代金を瞬時に計算し、間髪いれずにお釣りまで計算して手渡してくれるのである。
まさに、一瞬の出来事で、お金を渡すと同時にお釣りが戻るタイミングなのである。今の駅の売店にある電子式のピッツという機械の数倍はスピードが勝っているはずである。まさに神業だった。

話が脱線してしまった。

Yが己をさらけ出しているのは、わが身に降りかかった病魔を何とか振り払おうとして奮闘する、現在進行形の体験ルポ記なのである。
どうやら認知症の初期症状が出て、それに必死に立ち向かっているのだ。
約束したことをコロリと忘れてしまったり、約束を果たせずに友だちを失いかねないことが続いたために心配になり、医者の診断を仰いだところ軽度の認知障害と診断されたんだそうだ。
いわゆるボケである。連載のタイトルもずばり「ボケてたまるか!」。

放置しておけば、完全な認知症になると脅されて、腰を抜かさんばかりに驚愕する。
しかし、もともと黙って静かに己の運命を受け入れるような奴ではなく、何とかして自分を有利な立場に持っていこうと“悪あがき”するタイプの人間である。
今回はその性格がプラスに働いているようなのだ。

認知症進行予防、改善のため、さまざまな取り組みに次から次に挑戦する涙ぐましい奮闘ぶりを晒しているのである。
それも実名で登場しているから、外国メディアからも取材を受けたり、ずうずうしく認知症学会で患者として己の体験を報告したりしている。
病を得て、と言っては変だが、まさに八面六臂の大活躍なのである。
しかも治療に取り組んで1年余り。どうやら病状の進行を抑えるというか、直近の連載を読むと、症状の改善が現れ始めたようなのだ。
こいつは自然と応援態勢に入ってしまうというものである。おまけに旧知の間柄である

しかし、「おい、どうだ。どんな塩梅だ」などと変に馴れ馴れしく近づくより、ここは黙って連載を読みながら事態の推移を見守っていった方がよさそうである。
それにしても、ジャーナリストというのは己の病気もさらけ出してメシの種にしてしまう、とんでもない人種であることか。



「空蝉」の蕾。立派に育ってきている。しかし、10月中旬以降の秋バラシーズンに三度盛りを迎えさせるために、もったいないが、一両日中にはせん定してこの蕾は切り落とす事になる。
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