スパゲティー・ナポリタン!
あの、懐かしいスパゲティーを横浜のホテルニューグランドの本館1階にあるレストランで恭しく食べてきた。
たまたま大桟橋の付け根あたりに用事があって出かけたついでに、初めて試してきたのである。
浅薄な知識では、この老舗ホテルが戦後に考案したのが始まりと伝えられ、浜っ子はそれを信じ込んで育ったのである。
曰く、敗戦直後に厚木飛行場に降り立った連合国軍最高司令官のマッカーサーが最初に総司令部を置いたのがホテルニューグランド。そのマッカーサーに付き従う兵隊に出す食事のひとつとして、ケチャップ好きのアメリカ人の好みを忖度して総料理長が考案したのが最初だと。
実際、ニューグランドのホームページの「コーヒーハウス ザ・カフェ」の照会文書の中に「洋食の中でも特に人気の高い、ニューグランドから広まった料理『シーフードドリア』『スパゲッティ ナポリタン』『プリン ア ラ モード』は、こちらのレストランでお召し上がりいただけます」と書かれている。
何だって「日本で最初!」というのが自慢で大好きな浜っ子にとって、このナポリタンは戦後生まれという点で異彩を放っている。
運ばれてきたのは、細かく刻まれたハムと薄く切られたマッシュルームが目立つ、赤いケチャップに絡められたスパゲティーである。
イメージとしてはハムの代わりにウインナーソーセージだし、マッシュルームの代わりにピーマンだったような気もするが、タマネギが入っているところは一緒だった。
肝心の味。口にするのは何年振りのことだろうか。
しかし、これは特に感激することもない。単なるケチャップ味である。
ケチャップというものの前には老舗ホテルも場末の喫茶店も、さして変わりは無い?
特徴的と言えば、麺がちょっともちもちした感じで、ねっとりとケチャップが絡み、口の周りを気にしたくなるのは、イメージ通りだった。
特に美味しさに感激したわけでもなく、あぁ~、そうだったな、こんな感じ、こんな味だったな、というのが正直な感想。
パルメザンチーズだろうか、粉チーズの瓶が添えられてきたので、三口目あたりに降りかけたところ、コクが加わったような気がした。
昭和40年代前半の学生時代は喫茶店で昼食によく食べたものである。
その際はタバスコをかけて、ピリ辛にして食べたものだが、こちらの老舗では添えられていなかったので、郷に従い、あえて聞きもしなかった。
家でもよく母親が作って出してくれた。母親の作るナポリタンには、栄養も考えて肉やニンジンが加わることもあったような気がする。
手の込んだ料理ではないから、だれでも手軽に作れて、そこそこに美味しく、スパゲティーなどと洒落ていたのも人気があった秘密かもしれない。
地域ごとに、家庭ごとに、それぞれのナポリタンがあったんだろうネ。
何はともあれ、郷愁を誘う味であったことは間違いない。
ニューグランドのナポリタンは税込み1836円。
これにグラスの赤ワイン1杯税込み972円、サービス料280円が加わって計3088円はちょっと贅沢な昼食になってしまった。
郷愁料金込み、老舗代金込み、と言ったところですかネ。
ホテルニューグランドの「ナポリタン」
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