カメラ大好きおばあちゃん

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孤独死は不幸ですか?

2015年03月06日 | その他
2015.3.3 コラム 発信箱 毎日新聞夕刊編集部 小国 綾子

 
 お年寄りの孤独死がすべて悲惨で不幸なことのように語られるのを聞くと、 小さな違和感を覚える。本当に不幸な人ばかりなのだろうかかと。一人で暮らし、誰にもみとられずに息を引き取る…そんな自分の最後は、夫や息子のいる身であっても容易に想像できる。予測値によると2030年、65歳以上の約4割が単身世帯となるわけだから。
 話題の映画「おみおくりの作法」を見た。ロンドンで民生係として働く44歳の独身男性は、 担当地区で孤独死した住民の葬儀を執り行うのが仕事。 地味な映画が思った以上にヒット(配給会社)したのは、単に孤独死という社会問題を扱っているからではないだろう。一人暮らしの主人公の生活が、 死者を含む他者との出会いを通して彩りを持ち始める。 それがしみじみと美しい。 たとえ数多くのにぎやかな友人や家族に囲まれていなくても、誰かとつながっていて、社会で孤立していなければ、孤独じゃない。切ないのは、「孤独死」そのものではなく、 寄り添い語り合う相手の誰もいない「孤立生」の方ではないか。鑑賞後、そんなふうに思った。
 葬祭ディレクターの尾上正幸さんは最近、新しい動きに気付いたという。「一人暮らしが増えたからでしょう。身寄りのない友人同士が『いつか先に死んだ相手の葬式を出したいのだが』と生前に相談に来たり、『身寄りのない友人が亡くなった。自分たちの手で葬式を出したい』と相談に来たりするケースが増えてきました」
 一人で死んでも孤独ではない。ひとりぼっちで死を迎えても、孤独じゃない生き方はある。