「この国は永遠のものがほとんどない」。 日本を愛したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、 日本人の根気や忍耐力が絶え間ない災害による破壊で培われたという。他の文明を巧みに取り入れる適応力も揺れ動く大地に鍛えられたと見る▲一方、 フランスの文人で駐日大使を務めたポール・クローデルも、 日本人は絶えず身震いする巨人の上で暮らしているようなものだと記す。 そのために日本人は自らの身も家も家財も出来るだけ小さく、軽くし、災害時は途方もない自制力や忍耐力を見せるという ▲ それら明治や大正の昔とは異なり、 大地の揺れに耐える家や街、 文明を築いて来たはずの日本人である。 だが、 いざ身震いする大地のすざましさに身をさらせば、あらためてご先祖が感じたのと同じ無力感にさいなまれ
る ▲ それにしても九州でのこの揺れは一体どうしたことだろう。 昨日未明のマグニチュード(M)7・3 の地震が本震で、 その前の一連の揺れは前震だったと言われて天を仰いだばかりではない。 地震は熊本市周辺のみならず阿蘇地方や大分県でも続発する形となった▲「このような規模の地震が広域的に続発するのは記憶にない」は気象庁の専門家の言葉である。まさに九州中央部が巨人の体の上
に置かれたかのようである。 犠牲者数は前日までを大きく上回り、 余震と雨によ
る土砂災害の恐怖が疲れ果てた住民に追い打ちをかける▲人間をあざ笑う地下の巨人には、 小さく無力だが、 だからこそ助け合う者同士のネットワークで対抗
するしかない。 太古から災害と向き合ってきた列島住民すべてが心のスイッチを
入れる時だ。
る ▲ それにしても九州でのこの揺れは一体どうしたことだろう。 昨日未明のマグニチュード(M)7・3 の地震が本震で、 その前の一連の揺れは前震だったと言われて天を仰いだばかりではない。 地震は熊本市周辺のみならず阿蘇地方や大分県でも続発する形となった▲「このような規模の地震が広域的に続発するのは記憶にない」は気象庁の専門家の言葉である。まさに九州中央部が巨人の体の上
に置かれたかのようである。 犠牲者数は前日までを大きく上回り、 余震と雨によ
る土砂災害の恐怖が疲れ果てた住民に追い打ちをかける▲人間をあざ笑う地下の巨人には、 小さく無力だが、 だからこそ助け合う者同士のネットワークで対抗
するしかない。 太古から災害と向き合ってきた列島住民すべてが心のスイッチを
入れる時だ。