明日は免許の更新に下関警察署に行こう。
思えば人生初の一回きりのゴールド免許だった。
免許を取って還暦になるまで青色免許だったので、ゴールド免許は都市伝説だと思っていた。
ゴールドになってすぐに違反したので、次回の更新で青色免許になってしまう。
ゴールド免許になると自動車保険掛け金が青色より割安になり、更新の度に窓口で免許の区分を確認され、違反をするまでの正真正銘ゴールド気分の時は、思いっきり正面を見て言えていたが、違反後残りのゴールド期間の自動車保険更新時に、窓口担当者にゴールド期間なのでゴールドというのだが、うその供述をしているみたいで後ろめたい気持ちがして、相手の顔を正面からみられず、下を向き視線をそらし無表情で「ゴールドです」の言葉が細かく分解され口から小さな部品として零れ落ちる。
心の中では、「決してあなたを欺いているのではないのです。
次回の更新時には青色になりますが、残りの期間はまだゴールドです。私はゴールドに値しないつまらない人間です。偽りのゴールドだと言われても仕方ないのかもしれません」と心の中で呟いている。
心機一転、更新後は免許を始めて取った時と同じ、青春時代を思い起こす青空のような、青色の免許証になるぞ。