この映画のキーの一つに「靴」があるような気がしてなりません。
全てはこの靴が始まりでした。
この靴に、ウーヤン(金城武)が目をつけなけば、
三人は出会うことはなかったのです。
アルフ(アンディ・ラウ)がパン(ジェット・リー)に言った言葉。
「靴を見れば、わかる」
パンを軍の上官と見破った場面です。
みごとに太平天国の大将の首を取ったウーヤン。
その手柄に対して、パンはこの鋲を打ち込んだ靴を与えます。
ウーヤンは戦いに勝った喜びとパンに認められた嬉しさで
一生の宝物にするはず..。
この靴の代わりに、ウーヤンは今まで履いていた靴を、
次世代の頭になる若者に与えます。
あらら、勲章のようなものかしら?
それとも階級を表すの?
最初は軽く考えていました。
が、香港版を見て、
もっと重大な意味があったことに気づきました。
これから戦いに出発する若者(少年)に
母らしき人が草履を渡す場面が挿入されてます。
当然手作りの、
そして、何より我が子の安全を祈ってのお守り替わり。
意気盛んな若者を送り出さなければならない母。
哀しい心の触れ合いが描かれています。
更に、これもカットされてしまったシーンです。
辮髪姿のウーヤンが
戦士した少年の草履と命の代償としてのお金を母に渡します。
アップになった少年の草履には、「小五」の名札、
しかも後ろ手には「小七」の名札がついた草履まで持っています。
見分けが付かない遺体を識別するアイテム、
死亡を確認し報告するためのアイテム。
靴には、今でいう認識票(ドッグタグ)のような役割も持たせてたあったのでしょうか?
どんな死に方をしようと、名も無き兵士などいないのですから。
バタバタと死んでゆくのが当たり前の時代、
「死ぬのは容易い、生き抜くことこそ難しい」
が大きなテーマなのだとしたら、
このインターナショナル版でこそカットして欲しくなかった場面です。
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