茨木のり子
イヤリングを見るたびに おもいます
縄文時代の女たちとおんなじね
ネックレスをつらねるたびに おもいます
卑弥呼のころと変わりはしない
指輪はおろか腕輪も足輪もありました
今はブレスレット アンクレットなんて気取ってはいるけれど
頬紅を刷(は)くたびに おもいます
埴輪の女も丹(に)を塗りたくったわ
ミニを見るたびに 思います
早乙女のすこやかな野良着スタイル
ロングひるがえるたびに おもいます
青丹(あおに)よし奈良のみやこのファッションを
くりかえしくりかえし よそおい
波のように行ったり 来たりして
波が貝殻を残してゆくように
女たちはかたみを残し 生きたしるしを置いてゆく
勾玉(まがたま)や真珠 櫛やかんざし 半襟や刺子(さしこ)
家々のたんすの奥に 博物館の片隅にひっそり息づいて
そしてまた あらたな旅立ち
遠いいのちをひきついで さらに華やぐ娘たち
母や祖母の名残の品を
身のどこかに ひとつだけ飾ったりして
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イヤリングを見るたびに おもいます
縄文時代の女たちとおんなじね
ネックレスをつらねるたびに おもいます
卑弥呼のころと変わりはしない
指輪はおろか腕輪も足輪もありました
今はブレスレット アンクレットなんて気取ってはいるけれど
頬紅を刷(は)くたびに おもいます
埴輪の女も丹(に)を塗りたくったわ
ミニを見るたびに 思います
早乙女のすこやかな野良着スタイル
ロングひるがえるたびに おもいます
青丹(あおに)よし奈良のみやこのファッションを
くりかえしくりかえし よそおい
波のように行ったり 来たりして
波が貝殻を残してゆくように
女たちはかたみを残し 生きたしるしを置いてゆく
勾玉(まがたま)や真珠 櫛やかんざし 半襟や刺子(さしこ)
家々のたんすの奥に 博物館の片隅にひっそり息づいて
そしてまた あらたな旅立ち
遠いいのちをひきついで さらに華やぐ娘たち
母や祖母の名残の品を
身のどこかに ひとつだけ飾ったりして
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あら! 茨木のり子の世界にお洒落を発見
それで思った‥それで好いって、女の子だって
そして思った‥お洒落は進化する、少しずつね
お洒落の初め‥身だしなみだったんだろうな
清潔にして‥邪悪を寄せつけないためだったのかな
手を洗ったり、顔を洗ったり、髪を束ねたんだね
猫だって顔を洗ったり、頭や体を洗うからね
きれいさっぱり汚れを落として病魔を近寄らせない
お洒落の初めは身ぎれいにすることに意味があった
宝石を身につけ、お香を焚いたり、ネイルも忘れず
お洒落‥この世界を生きるための女性の智恵だよ
茨木のり子はやさしい‥改めてそう想う私だったよ
それ以上は要求すまい‥な想いだったんだろう
誰でもがジャンヌダルクになれるものでなし
苦しい想いは詩人が・自分が引き受ける覚悟なんだ
そんな茨木のり子像が私の脳裏に浮かんだよ
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