le temps et l'espace

「時間と空間」の意。私に訪れてくれた時間と空間のひとつひとつを大切に、心に正直に徒然と残していきたいなと思います。

国家の命運

2011年10月16日 | BOOK

●国家の命運 薮中 三十二 著

いつだったか薮中さんがとあるテレビ番組にゲスト出演されていて、その時の話が興味深かったので、いつかは読んでみようと思っていた一冊。200ページ足らずの軽い新書で重いタイトルのわりには、さらさらっと読めた。

話は国家レベルの話ではあるが、内容は「交渉」に尽きる。そして、その交渉スタンス、技術は人とのコミュニケーションにも十分役立つものではないかと感じた。第四章の「外交交渉の要諦」がとくに参考になる。

「・敵を知り、己を知る

・互いを理解し、信頼関係を

・オフェンスとロジックが大事

・交渉争点の絞り込みと節目づくり

・最終局面では、勇気をもって決断、決裂も恐れるな

・51対49の原則」

が、四章の見出しである。人付き合いでも恋愛関係でも、これらを実践できれば、お互いが納得し次のステップへ進めるのではないかと思う。

人と向き合うとき、まずは自分という軸をしっかり持っていなければ始まらない。でも、それは得てして独りよがりになりやすい。だから、自分を持ちつつ敵を鏡にして己を深く知る。その上で、相手を理解し自分も理解してもらうよう努める。

とは言え、単にオフェンスばかりで「ああして欲しい、こうして欲しい」だけでは相手だって「やだっ」で終わってしまう。なぜ「あなたに」そうして欲しいのか、そうしてもらえればどんなことが解決され、相手に何がもたらされるのか、私はどうなるのかをロジックを持って伝えることが大切だ。

が、相手も仏ではないから、いくつもの事柄を同時に言うとやっぱり「わがままなヤツ」になってしまう。だから、優先順位をつけてゆく。下位のものは「捨てる」くらいの気持ちで、どうしても通したいものだけ選別していくのだ。そうやって、大切に温めてきたものだからこそ、伝える時機を間違えても逃してもいけない。普段は見向きもしないくだらないジョークに少しでも反応した時、なぜだか鼻歌まじりで過ごしているとき、そここそが相手の「時機」、そして今日ならすぐに折れない力がありそうなとき、それは自分の「時機」。両者が出会うときはそうそうないだろうが、なるべくそれに近い状態の時に、切り出す。それで失敗して、相手との関係が良くならなかったとしても、まあ、それはそれで仕方がない。仕事関係の人間なら、仕事と思って割り切る、恋愛や夫婦関係であれば・・・次を探す?!(笑)

それでも、勇気をもってこちらの主張をするのだから、少しはすっきりした。だから、51を目指す。でも、相手を不愉快にさせて勝ち取る51では意味がない。お互いフィフティーフィフティーの感覚を持ってその場を終えたい。ただ、「勇気を出して相手と対峙し、何とか決裂せずに次へと繋ぐことができた」という自分の安堵に+1。

ネゴは、「相手に伝えたいことを伝わるように伝えようとする技術」、アサーティブにも少し似たところがある。でも、ネゴの本意は何かを勝ち取るまたは守るために必要なこと。アサーティブは・・・最終目標は自分の主張を通すことではないと思っているのだけれど・・・最近少しわからなくなってきている。アサーティブの反対ってないのかな。つまり、「相手から伝わるように伝えられたときの対応方法」みたいなもの。伝わるように伝わるようにと頑張るのはとても素敵なことだけれど、伝わるように伝えられているのだなということに気づきそれに返すスキルも知っておかないと、結局は「形を変えた自己主張」で終わるような気もする。

少し話が逸れてしまった。