ウイルス感染が原因の血液のがん「成人T細胞白血病(ATL)」の感染者のうち、喫煙者の発症リスクが非喫煙者に比べ、喫煙の本数や期間によっては2倍を超えることが、国立がん研究センターや長崎大、名古屋市立大などの20年近くに及ぶ追跡研究で判明した。感染者の長期追跡で生活習慣の発症リスクが明らかになるのは初めて。分析を担当した長崎大原爆後障害医療研究所の近藤久義准教授(疫
ATLは、HTLV1というウイルスへの感染が引き金となって細胞のがん化が進む疾患。厚生労働省などによると、献血者のデータから国内の感染者は72万~82万人と推定。発症率は5%程度だが、発症すると治療は極めて難しい。母乳による母子感染のほか、性交渉で特に男性から女性に感染する。
研究によると、1993年時点の感染者で40~69歳の1332人について、2012年までの平均17年間追跡。喫煙経験があったのは男性72%、女性2%で、追跡期間中に25人がATLを発症した。
喫煙と発症の関連性を分析したところ、1日に吸うたばこの本数が増えるほど、さらに喫煙期間が長くなるほど発症リスクが高まり、1日20本、40年間吸い続けた人は吸わない人と比較して発症リスクは2・39倍に達したという。飲酒による発症リスクも分析したが、影響はみられなかった。千人当たりの発症率は男性2・21人で、女性0・74人より高かった。
近藤准教授は「男性の喫煙者はとりわけ発症リスクが高い。治療法が確立していない現時点では、禁煙は有効な発症予防策」と指摘する。厚労省研究班などによる献血者データに基づく報告では毎年4千人の新たな感染者が発生していると推定されている。近藤准教授は「カウンセリングなどで感染を防げる可能性があり、感染への対応について普及啓発も重要」と提案する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161107-00010004-nishinp-sctch
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